規格では明確なルールが定められているのか?
日本語の表記に関する規格では、どのように定められているのでしょうか?
そこで、日本語の組版に関する規格や、書き方についての本を調べてみました。
「JIS X 4051」には明確な記述がない
日本語に関する組版の工業規格である、「JIS X 4051」。組版とは、印刷物などで文字や写真・図形を配置する作業のことです。
「JIS X 4051」は、日本語の文字の配置について定めている規格であるため、この中に記述があるか調べてみました。すると、「?」や「!」のあとに全角スペースを入れるという記述は見当たりませんでした。
W3C の「日本語組版処理の要件」では、「?」や「!」のあとに全角スペースを入れると記述がある
W3C (WORLD WIDE WEB CONSORTIUM)とは、Webの技術に関する標準化を行っている国際的な団体です。そのW3Cが記述している、「日本語組版処理の要件」は「JIS X 4051」を基づいて作られていますが、一部「JIS X 4051」には記載されていない事項も記述されています。
参考:W3C HP「W3C (WORLD WIDE WEB CONSORTIUM)とは」
W3Cの「日本語組版処理の要件」も調べてみると、「?」や「!」が文末にくる場合は全角スペースをあける、と記述がありました。さらに、文中にくる場合はスペースをあけないか、その前後を四分アキにする、とされていました。
参考:W3C「3.1.6 区切り約物及びハイフン類の配置方法/日本語組版処理の要件(日本語版)」
また、W3Cの編集に携わっている小林 敏さんが、公益社団法人日本印刷技術協会に寄稿しているコラムも拝見しました。すると、こちらにも、一般的に「?」や「!」の後には全角の空白を入れると記載がありました。
参考:公益社団法人日本印刷技術協会「疑問符と感嘆符の組版処理」
全角スペースを入れる効果
「?」や「!」のあとにいれる全角スペースのルールは、日本語の組版の工業規格である「JIS X 4051」内では言及されていませんでした。一方、W3Cの「日本語組版処理の要件」では、Webメディア上での処理方法として記述されていました。
明確には決まっていない、「?」や「!」のあとにいれる全角スペースのルール。では、全角スペースを入れることで、どのような効果があるのでしょうか?
「?」や「!」は、文中や文末に配置されることがあります。そのため、区切りが明確でなければ、文章の意味合いが大きく変わり、結果として読者のとらえ方も変わってしまいます。
では、「?」や「!」のあとにくる全角スペースの効果について、具体的な例を見てみましょう。
【文末で使用される場合】
何が食べたいんだろう? どのお店がいいかな?
何が食べたいんだろう?どのお店がいいかな?
文末で使用される場合には、全角スペースがあると文章の区切りがわかりやすく、視覚的に読みやすくなりますね。
【単語に係る場合】
食べ盛りの私? にもおすすめです。
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単語に係る場合は、全角スペースを入れてしまうと、一つの文章にもかかわらず二つの文章に区切られて見えてしまいます。そのうえ、文章にも違和感があります。
また、「?」や「!」に単語が係る場合、下記のような表現が使われる場合もあります。
食べ盛りの私(?)にもおすすめです。
括弧をつけることで、「?」が文中の単語に係っていることがわかりやすくなりますね。
具体例からもわかるように、「?」や「!」のあとにくる全角スペースは、ぱっと見て読みやすい文章にするための必要な空白としての働きがあるのです。
さいごに
Webメディアでは、一定のレギュレーションを決めて統一感を出す必要があります。そしてその中でも重要なのは、読者が読みやすいかどうか。
とくにWebの記事はじっくりと読まれない傾向にあるため、表記の統一はもちろんのこと、ぱっと見たときのわかりやすさが重要になります。読みやすい文章であれば、読者の離脱も防げるでしょう。
今回の調査をとおして、記事を届けたい読者により伝わりやすくするためには、文章の書き方以外にも方法があると気づかされました。「?」や「!」のあとに全角スペースをつけるといった細かい編集作業が、意味の伝わりやすさや、文章の見やすさを生み出すのですね。
この記事を書いたライター
中丸琴琳
双子男児の子育てに奮闘する転勤族ママライター。会社員としてバイヤーや営業、Web代理店を経てライターの道へ。得意ジャンルは子育て、フリーランスの働き方。自分の経験がだれかの役に立てれば嬉しいです!