モノの数え方:助数詞とは

私たちがモノを数える際に使う、「匹」や「本」のことを、助数詞と言います。
助数詞は、数える対象の性質や形を反映して、使い分ける言葉です。基本的には、数える対象の形状や大きさ、性質によって使い分け方が決まっています。
例えば小さいモノを数えるときは「個」、細長いものであれば「本」と数えます。また、建物の階数を数える「階」や年齢を数える「歳」も助数詞です。
しかし、豆腐を数える際に使う「丁」やお箸を数える際に使う「膳」など、例外的な数え方も存在します。一説では、日本語の助数詞は500種類を超えるとされ、さまざまな数え方が存在しています。
参考:日本語 文法 助数詞:解説(東京外国語大学言語モジュール)
ジャンル別:基本的な数え方と珍しい数え方

ここでは、ジャンル別に物の数え方を紹介します。基本的な数え方から珍しい数え方まで幅広く取り上げ、さらにライティングに役立つポイントや注意点も併せて解説します。
動物
動物を数える際、一般的には昆虫や小さな動物を「匹」、人より大きな動物を「頭」で数えるという考え方があります。
この使い分けの基準は大きさだけではなく、その動物の危険性も、数え方の選択に影響しているようです。
例えば、ライオンやクマなどの猛獣は「頭」で数え、羊やヤギは「匹」で数えます。また犬の場合、小型犬や中型犬は「匹」、大型犬は「頭」と数えます。
ペット記事や動物園レポートなどを書く際に、数え方に悩んだときの参考にしてください。
また、ウサギの数え方は珍しく、「匹」ではなく「羽」と数えます。この由来には、肉が食べられない僧侶が2本足で立つウサギを鳥だとこじつけた説や、ウサギの長い耳が鳥の羽に見えるためだという説があります。
動物を数える際の助数詞に迷うことがあるかもしれませんが、基本的なルールと一部の例外を理解していれば、適切に使い分けられるでしょう。
参考:赤ちゃんパンダは「匹」か「頭」か。数え方の違い・使い分けは-NHK
書籍・出版物
書籍・出版物は、基本的に「冊」で数えます。他にも、巻物や漫画などを数える「巻」、週刊雑誌で使われる「号」があります。
書籍・出版物の数え方で、特に難しいのは新聞の数え方です。新聞には、場面に応じて多くの数え方が存在し、以下のように使い分けます。
- 【部】
1日分の朝刊、または夕刊の数え方。例「駅で新聞を1部買った」 - 【面】
書籍の「ページ」にあたる部分の数え方。例「朝刊の1面に面白い記事が載っていた」 - 【枚】
新聞を構成する紙の数え方。1枚で新聞4面(ページ)分を指す。例「子どもが朝刊から1枚取り出し、紙飛行機を折った」 - 【紙】
異なる新聞を数えるときの数え方。例「我が家は、A新聞とB新聞の2紙を読んでいる」 - 【号】
創刊からの、通し番号の数え方。例「今日で創刊から1,000号を突破した。」
新聞の記事や特集の数え方を理解することで、より正確な情報伝達が可能になります。
さらに、新聞だけでなく雑誌や漫画といった他の出版物についても、適切な数え方を知っておくと便利です。雑誌の紹介や漫画の感想を執筆する際や、出典を記載する際には、それぞれの数え方を正しく使うことが重要です。
正確な助数詞を選ぶことで、読者にわかりやすく信頼性の高い情報を提供できます。
乗り物
乗り物の数え方は、乗り物の種類で違います。
車は「台」、飛行機やヘリコプターは「機」です。電車はつながった状態であれば「本」、単体の車両であれば「両」と数えます。
基本的に、電車以外の車輪がある乗り物は「台」、空を飛ぶ乗り物は「機」と覚えておけば、ほとんどのケースに対応できるでしょう。
乗り物の数え方で難しいのは、船の数え方です。多くの数え方があるため、今回は良く使う数え方を紹介します。
- 【艇(てい)】
- 【艘(そう)】
中型から小型船を数える単位で、帆掛け舟や和船などが含まれます。後述の「隻」と明確な使い分けはないとする説もあります。」 - 【隻(せき)】
大型船を数える単位で、タンカーやフェリーに使います。
ライティングでは、乗り物の数え方を正しく使い分けることが大切です。例えば、観光記事で取り上げる際には、乗り物の種類に応じて適切に数える必要があります。数え方を適切に使うことでことで、種類や大きさが、より正確でわかりやすくなるでしょう。
建物・施設
建物を数える際に、よく使われる数え方は「軒」です。「軒」は建物全般に使える一般的な助数詞です。他には、アパートやマンションなどの大きな建物に使う「棟(とう)」や、建設や売買の対象となる住宅に使う「戸(こ)」があります。
ホテルの数え方は、少しややこしいです。建物を指すときは「棟」ですが、宿泊施設として数える場合は「軒」で数えます。宿泊施設の記事を書く際には、どちらを数えているのか、確認しましょう。
また、歴史的な建物には、独特の数え方があることも特徴的です。
例えば神社は「社(しゃ)」と数え、鳥居や灯篭は「基(き)」と数えます。
お寺の場合は「軒」や「寺(じ)」、「宇(う)」と数え、深い山にあるお寺は「山(さん)」と数えます。
ライティングで悩みやすいのは、場面に応じた数え方の選択です。例えば観光記事で「このエリアには3軒の神社があります」と書くか、「3社の神社があります」と書くか。どちらを選ぶかで読者が受ける印象も変わります。
「3軒の神社」という表現では、神社そのものを建物としてとらえ、わかりやすく伝えたい場合に適しています。例えば、散策や観光スポットを紹介する記事などにおすすめです。
「3社の神社」という表現の場合、神社を厳かな場所として伝え、格式や伝統を意識させるニュアンスがあります。歴史や由緒を紹介する際に適しているでしょう。
こうした細かな選択が文章の印象を左右します。
参考:寺の数え方が知りたい | レファレンス協同データベース
私が実際に悩んだ数え方

筆者はライティング中、数え方で「どっちが正解?」と頭を抱えたことが何度かあります。今回は、そんな数え方で悩んだエピソードを2つ紹介します。ちょっとした悩みでしたが、皆さんの参考になれば幸いです。
例1:ゲームソフトの数え方
ゲームソフトの紹介記事を書いていた時に悩んだ例です。「RPGゲーム好きにはたまらない1本です」とするべきか、「RPGゲーム好きにはたまらない1作です」のどちらが良いかで悩みました。
調べてみると、一般的には1本が多いようだったので、筆者も「1本」で執筆しました。ゲームだけでなく、プログラムの数え方は「本」が一般的であるためです。
日常会話でも「ゲームソフト、何本持ってる?」といった表現がよく使われますよね。
ゲームソフトで「作」は、「シリーズ第3作」や「〇〇社の10作目」など「作品であること」に焦点を当てた場面で使うケースが多いようです。
例2:刀の数え方
『鬼滅の刃』の紹介記事を書いていた時に悩んだ例です。
「炭治郎は1本の刀を手に入れた」
「炭治郎は1振りの刀を手に入れた」
とどちらで書くか悩みました。
最終的にはわかりやすさを重視し、「1本」で執筆しました。
刀の数え方はいくつかあり、他にも「腰(こし・よう)」や「口(くち・こう)」、「刀(とう)などがあります。
しかし、いくら正しい数え方を使っても、「1腰」や「1口」などと言われてピンとこない読者も少なくないでしょう。正しい表現であっても、読者に伝わらなかったり、わかりにくかったりすると意味がないと感じた経験です。
まとめ
ここまで、モノの数え方を紹介しました。
モノの数え方には、さまざまな種類があります。正しく使うことで、数えるものの大きさや性質を、読者にそれとなく伝えられるというのが、助数詞が持つユニークな特徴です。
しかし、特殊な数え方は伝わりにくい場合もあるため、媒体や読者に合わせた工夫が大切です。
数え方を上手に使いこなせば、文章に説得力や魅力が加わります。次のライティングから、意識してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター

水木ゆう
フリーランスのWebライターです。自身でネットショップを運営していた際に、ブログを執筆したことでライティングに興味を持ちました。得意なジャンルは「歴史」「アニメ」「ゲーム」「観光」などです。また、ナレーターの勉強をしていた経験があ...