SNSでリアルなクチコミを調べてみた
そもそも、ノマドワーカーを煙たがる人は本当に存在するのでしょうか。その真相を探るため、試しにX(旧Twitter)で「ノマド うざい」と検索してみると、実にさまざまなクチコミが出てきました。なかでも目を引いたポストをいくつか引用します。
ノマド系の話をする人の中には「今の生き方が息苦しかったらノマドになってもいいじゃないか!」という小乗ノマドと「みんなノマドになろうぜ!」という大乗ノマドとがいて、後者の中でも「組織で働くなんて前世紀的な!21世紀はノマドの時代だ!」って感じの大乗ノマド過激派がマジうざい
引用:X(旧Twitter)
同意だわーRT ノマドしたい人がするのは別にいいんだけどサラリーマンは終わったとか働きかたは変わるとか煽ってるのがうざい
引用:X(旧Twitter)
俺ノマドってるぜ!って奴のアカウントに限って情報商材売りだからうざい。帰れ
引用:X(旧Twitter)
(*`Д´)ノほんとノマドうざい。
PC電車でやんな。肘でガシガシつつかれてキモチワルイ。
引用:X(旧Twitter)
ノマドのフォローうざい。自己満足で止めとけ。
引用:X(旧Twitter)
ノマド女子@なんたらかんたらアカウントがうざい
引用:X(旧Twitter)
ノマド団体の自分語りや集合写真が本当にうざいから結構な数ミュートにしたのにまだ湧いてでてくる。どんだけ人数いるんや!それに最近出合い系旅団体が新たな金づるを探そうと活発に動き出したからもうお手上げ。
引用:X(旧Twitter)
同様に、Googleで「ノマドワーカー うざい」と検索したところ、次のようなタイトルのブログ記事が多数ヒットしました。
- ノマドワーカーがうざい4つの理由!なぜ嫌われるのかを解説!
- うざいノマドワーカーが嘘をつく3つの理由!よくつく3つの嘘と見抜き方
- パソコン一台で成功している人は胡散臭くてうざい?隠された真実!
- 【うざい?邪魔?】カフェで仕事するノマドワーカーについて解説します
こうしたXやブログの声から、悲しいかな、ノマドワーカーを「うざい」と思っている人は世間に一定数存在する、と推測できます。
ノマドワーカーが「うざい」5つの理由
それでは、なぜノマドワーカーは「うざい」のでしょうか。インターネット上で飛び交うさまざまな意見をつぶさに調べるうちに、ノマドワーカーが「うざい」と思われてしまう背景には、次の5つの理由が垣間見えてきました。
これらの理由には、ノマドワーカー側の工夫や意識次第で解消できる問題もあれば、致し方ない事象もあります。それぞれの理由と対処法について、詳しく解説します。
1.タイピング音やオンラインミーティングの声がうるさい
ノマドワーカーが「うざい」存在になり得る理由のひとつは、彼らが発する「音」です。カフェの空間を例にとって考えてみましょう。
カフェとは、世代を問わず多くの人々が、各々さまざまな目的で立ち寄る、実に多様性に満ち溢れた空間です。なかには「集中して本を読みたい」「静かな空間で頭をリセットしたい」という目的でカフェを訪れる人も多いはず。
そんな人からすれば、隣の席で猛々しくバコバコとキーボードを叩くノマドワーカーの存在は、極めて不快なものでしょう。オンラインミーティングに参加するノマドワーカーの声も同様です。
公共の場所を使う限り、ノマドワーカーは周囲の人々にできる限り気を配る必要があります。カフェを利用するなら、集中したいと思っていそうな人とは距離を空けて座る、オンラインミーティングをする場合はイヤホンを着用することはもちろん、自分の声量にも気をつけるなどの注意が必要です。
2.カフェに長時間居座る
次は、お昼どきのカフェを例に考えましょう。ランチタイムで満席になったカフェの一角で、パソコンを開いて何時間も作業しているノマドワーカーがいたら、周りはどう思うでしょうか。
順番待ちをしている利用者は「飲食が済んだなら席を替わってほしい」と憤ることでしょう。飲食店側としても「追加注文がないなら、次のお客さんを入れたい」と考えるのは、経営上とても自然なことです。
ノマドワーカーは、この辺りの気遣いも欠かせません。かくいう僕も、作業場所としてカフェやファミレスをよく利用しますが、次のように自分にできる範囲内の配慮を心がけています。
- ランチタイムやディナータイムなど、お店が混雑する時間帯は利用を避ける
- 「仕事NG」「勉強NG」と張り紙のある席やお店は利用しない
- できるだけ郊外にあって、席が空いているお店を選ぶ
- 同じお店に2時間以上滞在する場合は、必ず追加でなにか注文する
決まった仕事場を持たないノマドワーカーにとって、快適な作業環境を提供してくれるお店は大切な存在です。ノマドワーカーはワーカーである以前に、お店側に「また来てほしい」と思ってもらえるような顧客になることが肝心でしょう。
3.SNSで過剰に自己宣伝をする
SNSで滅多矢鱈に自己宣伝、通称「キラキラアピール」をするノマドワーカーに対して、嫌悪感を示す意見も散見されます。
具体的には、訪れた国やリゾート地の写真であったり、「今月は〇〇円稼げた!」といった文章をSNSにアップするノマドワーカーに対して、「自慢たらしくて不快だ」という声が多く見受けられるのです。
これは一概に「ノマドワーカーに非がある」とは言えません。大前提として、ヘイト行為や犯罪行為を除いて、SNSはすべてのユーザーが自由に発言できるプラットフォームです(参照:Xヘルプセンター|ルールとポリシー)。ノマドワーカーが旅先で見た景色や、自らのがんばりをSNSに投稿することは、至って自然なことです。
したがって、個人的には「ノマドワーカーは、投稿したい写真や語りたい内容があるならば、誰に忖度することもなく自由にSNSで発信するべきだ」と思います。
もしも
「最近ノマド系の投稿を連発してるから、あの人たちにうざがられてるかもしれないな」
と心当たりがあるとしましょう。
その「あの人たち」が自分の自己顕示欲よりも大切な相手なのであれば、ときには投稿を自重する必要もあるかもしれませんね(幸か不幸か、僕にはそんな相手はいないので、常に節操なくSNSを利用しています)。
4.SNSで勧誘してくる
前項の「SNSで過剰に自己宣伝をする」行為が、さらに行き過ぎた進化形です。
実際、SNSの「ノマドワーカーは自己宣伝がうざい」というクチコミを詳しく調べていくと、その多くが「自己宣伝だけならまだしも、その働き方をこちらにも勧誘してくるのがうざい」という声でした。
具体的には、
- ノマドワーカーは素晴らしい生き方ですよ
- ノマドワーカーになれば人生が変わります
- あなたも自由な生き方を始めませんか
- もし興味があるなら、ノマドワーカーになる方法を教えますよ
といった塩梅で、DMを送りつけてくるノマドワーカーがいるというのです。
また、勧誘からマネタイズにつなげようとするケースがあることも、人々が勧誘ひいてはノマドワーカーに嫌悪感を示す大きな要因と考えられます。情報発信系ノマドワーカーのなかには、次のようなコンテンツを一部有償で販売している人もいます。
- ノマドワーカーを始める・続けるうえでやっておくべき行政手続き
- ノマドワーカーにおすすめな職業紹介
- ノマドワーカーとして目標金額を稼ぐための目標設計
- ノマドワーカー同士が交流できるコミュニティ
など、僕もこれまで、他のノマドワーカーが発信しているコンテンツを、有償・無償問わず数多く手にとって勉強しました。
情報発信系ノマドワーカーのほとんどは素晴らしい方々ですし、コンテンツ自体にも罪はありません。これらの情報商材を、売り手側が買い手側に押し売りしようとするから、問題が生じるのです。
この問題の対処法はただ一つ。ノマドワーカーは、ノマドワークに興味を持っていない第三者にノウハウを押し売りしないこと。とてもシンプルで簡単なことです。
実際、僕がいつも参考にしている情報配信系ノマドワーカーは、コンテンツを配布するときに決まって次のような文言を使っています。
- 無料配布の資料を作りました!欲しい方はコメント欄で好きなお菓子を教えてください!
- 抽選○名に限定コンテンツを配信します!下記URLから公式LINEに登録して、トーク画面で合言葉「〜〜〜」と送信してください!
これなら押し売りにならずに済みますよね。
もしもあなたが「たまたまこんな投稿が自分のタイムラインに流れてきた。押し売りされているみたいでうざい」と感じるなら、ノマドワーカーではなくSNSのアルゴリズムを恨みつつ、流れてきた投稿をそっとブロックすればOK。
ノマドワークに興味がないあなたにとっても、ノマドワークに興味があるユーザーにリーチしたい情報発信者にとってもWin-Winな、やさしい世界の出来上がりです。
5.ノマドワーカー以外を見下すような発言をする
前項では、ノマドワーカーのキラキラアピールが行き過ぎると、他人への勧誘につながると説明しました。
そして勧誘がさらに度を超えると「組織で働くなんて古い」「満員電車で通勤するなんて馬鹿馬鹿しい」などと主張する人が現れるのです。
ノマドワーカーとしては最も望まれざる、最悪の最終形態と言えます。実際、ノマド界隈のX(旧Twitter)やInstagramをフォローしていると、ごく稀にこのような趣旨のポストやストーリーを目にすることがあります。
また、こういった発言はSNSだけでなく、オフラインの会話で出てくる場合もあります。実際、僕の知り合いのノマドワーカーは以前「毎日同じ時間に、同じ電車に乗って、同じ職場に行って、同じ仕事をするなんて考えただけで気が狂いそうになる」と、明らかに蔑意を含んだ表情で話していました。
こんな攻撃的な発言をすれば、周囲から反感を買うのはもはや自明です。これはなにもノマドワーカーの是非に限ったことではありません。
社会問題を議論しているのならいざ知らず、人の生き方に普遍的な正解なんてありません。
「僕はこっちなんだよね。あなたはそっちなんだね。どちらにも良さがあるよね」という良い意味での相互無関心、つまり、異なる生き方に優劣をつけるのではなく、どちらも等しく正解なのだという相対主義的な距離感が、人間関係を円満に保つためには必要だと、個人的には思います。
ノマドワーカーは、オフィスワーカーをはじめとする他の働き方も尊重すること。そして、あなたの周囲に他の働き方をバカにするようなノマドワーカーがいる場合は、その人からそっと距離をおいて関わらないことです。
まとめ
今回はノマドワーカーが「うざい」と思われる理由と、その対処法について考察しました。
記事を書き進めるなかで、「この行動は自分にも当てはまるから直さなきゃ」「確かに、こんな思いやりもノマドワーカーには必要だな」と気づかされる場面も多々ありました。
すでにノマドワークを実践している方はもちろん、これからノマドワーカーを目指す方にとっても、今回の記事が何らかの参考になれば幸いです。
この記事を書いたライター
榎本力良
ノマドワーカー。学生時代はカナダ・中国・ドイツの3か国への交換留学を含め世界10か国以上に滞在。民間就職後、「時間と場所に縛られない自由な人生」を志向してライターに転身。2024年1月からは妻と2人で日本一周のバンライフを開始。2025年以...