推敲の意味・やり方とは?
まずは、推敲の意味とやり方について説明します。
推敲とは、文章の表現をより良くするために吟味と修正を繰り返すこと
文章を最後まで書いたあと、自ら音読するか読み上げツールなどを使用し、読みにくいと感じる箇所や違和感を覚える箇所を修正していきます。文章を音で聞くと、誤字脱字などのミスを発見しやすく、読みやすさも確認できます。文章が読みやすければ自然と内容を理解できるため、重要な作業です。
推敲・見直しを行う際のコツは、パソコン画面で何度か読み返したあと原稿を印刷したり、デバイスを変えたりして、読み返すと効果的です。さらに、一晩寝かせてから読み返すのもおすすめ。文章を読む際の視点が変わり、間違いや違和感に気づきやすくなります。
また、文法のミスやわかりにくい表現を指摘してくれる校正ツールも推敲に役立ちます。自分が書く文章の癖を把握できて文章力アップにつながり便利です。
わかりやすい文章にするための推敲ポイント7選
一文の長さ・一文一義
最適な一文の長さは40~70文字です。文は長すぎても短すぎても読んだ時のリズムが悪くなり、読みにくい文章になってしまいます。ここで意識したいのが、一文一義。ひとつの文章にひとつの事柄だけを書くという意味です。
一文が長くなると意味がわかりにくくなるので文を分けるか、なくてもよい情報があれば削除し、ちょうどよい長さの文章にします。短い文にしてはいけないわけではありませんが、何回も連続しないように注意しましょう。
同じ文末表現の連続使用
下記のような、一文の最後を締めくくる言葉を文末表現と言います。同じ文末表現を連続で使用してしまうと、リズムが単調になってしまい、印象に残らないため確認が必要です。
例:
~です。/~ます。
~だ。/~である。
~でしょう。/~ましょう。
~だろう。
~。(体言止め)
~ではありません。
同じ文末表現を連続で使用できるのは、2~3回までが許容範囲と心がけているので、上記のようなパターンを使って表現を散らしていきます。
同じ助詞の連続使用
助詞とは、言葉に意味を加える付属語です。
格助詞:~が/~の
接続助詞:~ので/~れば
一文の中において助詞を連続で使用すると読みづらく、意味もわかりにくい文章になってしまうため、下記のように言い換えていきます。
NG例:母の友人のAさんのおすすめのパンを買った。
OK例:母の友人であるAさんがおすすめしていたパンを買った。
LINEなどSNSでよく見かける構文ですが、文章になるとわかりにくくなってしまいます。話し言葉でスラスラ書いているときには注意し、2~3回までに留めましょう。
冗長表現
冗長表現とは、内容と関係がない不要な表現を指します。
「~こと」「~という」が代表例で、なくても意味は通じるため削除して問題ありません。
例:
~することができます→~できます。
~ということです→~です。
~するようにしましょう。→~しましょう。
会話ではニュアンスを和らげるために冗長表現(クッション言葉)が必要になりますが、文章では回りくどい印象を与えてしまいます。推敲の際に見つけたら修正しましょう。
ねじれ表現
主語と述語だけで意味が通じる文章でなくては、わかりやすい文章ではありません。この状態を「ねじれ」と言います。
NG例:私の夢は新聞記者になります。(ねじれている)
OK例:私の夢は新聞記者です。
短い文であれば見直しをすればすぐに気づけるミスですが、修飾語を使い、長めの文を書いている際にねじれがよく起こるため、入念な確認が必要です。
NG例:急に声をかけてきた人が有名な映画監督と知り、私は緊張し始めた。
OK例:声をかけてきた人が有名な映画監督と知り、急に私は緊張し始めた。
NG例だと「急に緊張し始めた」ことを伝えたい場合に、伝わりません。ねじれが起きないように主語と述語、修飾語と被修飾語をできるだけ近くに置いたり、文を分けたりして正しく意味が通じるようにしていきます。
結論から書く
本文の各見出しでは、結論から書きましょう。結論がわかりにくい記事は、悩みや疑問に対する答えを早く知りたい読者にとってストレスです。
結論を述べたあとに原因・根拠・手段を明確に示せば、結論の説得力が増し、読者が抱える悩みや疑問を解消する記事になります。
取り扱うテーマに対して「とは?(定義)」「なぜ?(原因・根拠)」「では?(手段)」「だから何?(結論)」と深掘りして導き出します。
具体的な内容を書く
具体的な内容とは、日付や事柄、出来事、データにおける数字や固有名詞などです。具体的な内容がないと中身の薄い文章になってしまうので、原稿内で取り扱う内容を5W1Hに沿って書き出していきます。
ちなみに5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)。これら6つの要素を押さえることが大切です。
また、「おすすめ」「多様性」などのよく使う言葉を使用する際は、具体的な内容と一緒に書くと良でしょう。便利な言葉ですが、この言葉を単体で使用すると伝えたいメッセージがぼやけてしまいます。
NG例:
・推敲・見直しには、校正ツールがおすすめです。
・私は多様性がある会社に転職した。
OK例:
・推敲・見直しの際に校正ツールを使うと、文章の癖やミスの傾向が把握できるのでおすすめです。
・私は、お互いの個性を認め合う多様性のある会社に転職した。
How(どのように)を書き、読者が記事の内容を具体的にイメージし、理解を深められるようにしましょう。
記事の完成度を上げるために必ず見直すポイント4選
情報の正確性
固有名詞や数字情報の確認は必須です。誤字脱字を含め、正確性に欠ける記事はライターの信用にも関わるので、必ず確かめましょう。
執筆した内容が通説やイメージを元に書かれていないか、参照元など情報自体が信頼できるのかも確認していきます。通説やイメージは仮説として捉え、リサーチして事実確認ができていれば問題ありません。
「これは事実なのか?」と疑問を持つ癖をつけるとよいでしょう。
文章の論理性
提示した根拠や手段、結論において「〇〇(根拠)だから△△(結論)なのだ」という話の筋道が通っているかを確かめます。下記のような2つの事柄を強引に結び付けてしまう「論理の飛躍」がないかも、必ず確かめたい項目です。
例:ひとりっ子は、協調性がない。(根拠がなく、強引な主張)
主張したい結論を先に決めて情報収集をしてしまうと、自分の都合の良いように情報を解釈したり、都合の良い情報だけを参照したりしてしまいます。そのため、リサーチした内容との事実関係を冷静に見ていきます。
先入観を捨て「本当に言い切れるのか?」と自問自答し、事実を確認しましょう。
趣旨の一貫性
クライアントが意図する内容かつ、読者が読みたい内容になっているのかを確かめる重要な項目です。趣旨が一貫していない記事は、誰のために、何のために書かれているのか、主張したいメッセージがわからない記事になってしまいます。
- リード文(問題提起)とまとめ(結論)が、かみ合っているか
- クライアントの意図に沿った内容なのか(記事を執筆する目的)
- 読者目線で書かれているか
このような視点で記事全体の流れと各見出しの内容を確かめるとよいでしょう。
言葉・表現の適合性
記事の内容をスムーズに理解するには、記事が掲載される媒体や読者に見合った言葉・表現を使用する必要があります。
一般の方が読む媒体であれば、専門用語の言い換えが必要です。どうしても専門用語を使う場合は説明を加えましょう。表現に関しては、クライアントが用意するレギュレーション、掲載予定の媒体にすでに載っている記事の雰囲気や言い回しを参考にします。
媒体や読者を念頭におき、記事の内容が一番伝わる言葉や表現を使いましょう。
思考力・文章力をアップし信頼されるライターになろう!
推敲・見直しは文章をブラッシュアップするだけでなく、文章力とそれを支える思考力を鍛える作業です。
ライターの仕事を始めたばかりの頃に、推敲と見直しに時間をかけて行ったことにより、徐々に思考力と文章力がアップしてきたと感じています。今では、ポイントを意識しながら構成案を作成し、執筆しているので短い時間で記事を書けるようになりました。
確かな情報を元に論理性のある「わかりやすい文章」を書ければ、クライアントから信頼され、案件獲得や契約の継続にもつながります。
推敲と見直しを行うには、記事をたくさん執筆するしかありません。執筆と推敲・見直しを繰り返し、スキルアップしていきましょう!
この記事を書いたライター
栁本理花
「得意を活かして人生を謳歌したい」と思いライターになりました。映画館やドラッグストアでのアルバイト経験から有形商材、無形商材のPRが得意です。フィリピンに英語留学、一人旅(国内・海外)、30歳過ぎてヨガ、トレッキング、ロードバイク...