クラウドソーシングとは「オンラインで業務の委託を公募する形態」
「不特定の人(クラウド=群衆)に業務を」「外部委託(アウトソーシング)する」という意味の造語です。
日本では2010年代あたりからインターネット上のWebサイトで、仕事の公募と受注が行われています。
依頼側・受注側双方が手軽に取引できることで取引実績・募集案件も多く、副業・フリーランス初心者の方におすすめの方法です。
クラウドソーシングの仕事内容一例|副業未経験・初心者におすすめの案件も紹介
クラウドソーシングサイトでは、多種多様な仕事があります。
今回は数ある中から、主要な仕事内容例を難易度順に紹介。あわせて、仕事内容ごとに1か月で稼げる金額を現場での依頼・受注経験から紹介します。
なお、クラウドソーシングを始めたての方は、難易度が低い「アンケート・口コミ投稿」「データ入力」。文章を書くのが好きならライティングの簡単な案件がおすすめです。
アンケート・口コミ投稿 | 単価は低めだがすぐに挑戦できる
難易度 |
非常に簡単 |
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1か月で稼げる金額 |
数百円~数千円 |
アンケート・口コミ投稿は、自分に興味・経験がある内容から挑戦できる点が魅力です。
1円~数百円の低単価で量をこなす必要があるものの、写真付き・記述有・インタビュー形式など回答のハードルが高いものなら高単価も狙えます。
また、通勤・通学・仕事の合間など隙間時間にスマホで簡単にできる案件も多く、時間を有効活用したい方にもおすすめです。
データ入力|スキルなしで稼ぐなら
難易度 |
非常に簡単 |
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1か月で稼げる金額 |
3万円程度 |
データ入力の場合、パソコンがあればスキルなしでも作業スピード次第で稼げます。
作業内容は「表に転記する作業」「文字起こしする作業」などさまざまです。
単価は作業量によって1件/1円~10円と開きがあります。
一般的なタイピングスピードで毎日数時間作業すると、3万円程度になることもあります。
作業スピードがものをいうため、なるべく継続できそうな案件を探して慣らしてくことがおすすめです。
ライティング|文章を書くのが好きな人におすすめ
難易度 |
簡単 |
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1か月で稼げる金額 |
1万円~10万円 |
文章を書くことが苦にならない方には、ライティング業務がおすすめです。
ライティングの報酬形態は文字単価制と記事単価制の2種類です。
- 文字単価制:1文字あたりの金額で報酬を決定する方法
- 記事単価制:1記事あたりの金額で報酬を決定する方法
例えば文字単価1円の案件で1,000文字記載をすれば、報酬は1×1,000=1,000円。2円の場合には2×1,000=2,000円の報酬がもらえます。
多くの場合文字単価制で、初心者の方で0.5円~1円、中級者の方で2円、上級者の方になると3~10円ほどになります。
実績を培えば、専門知識や文章のクオリティ次第で時給が2、3倍変わり、記事のチェック側やメディア運用などキャリアにも幅が出ます。
最初は、商品紹介やニュース記事など、500字程度の文字数が少ない案件から挑戦してみましょう。
テレアポ・営業代行 | 日中隙間時間があるなら挑戦してみよう
難易度 |
少し難しい |
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1か月で稼げる金額 |
1万円〜10万円 |
テレアポ・営業代行は在宅で企業へ日中の営業時間に電話をかける仕事が多くあり、日中隙間時間がある方は挑戦できる仕事です。
報酬体系は以下のように異なり、組み合わせて計算される場合もあります。
- 完全成果報酬型:高単価の案件ならおすすめ
- 月額固定型:単価は下がるが安定して稼ぎたい方はおすすめ
- コール課金型:1コール100円程度。隙間時間で実働した分だけ稼ぎたい方におすすめ
営業が好きな方、電話営業に抵抗がない方は、ご自身の状況に応じて挑戦してみるとよいでしょう。
動画編集・制作 | YouTubeやTikTokの需要増加中
難易度 |
少し難しい |
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1か月で稼げる金額 |
5万円~10万円 |
昨今の動画ブームから動画編集の案件が多く募集されており、マニュアル化も進んでいることから、少しずつハードルが下がっています。
最初は、スマホアプリのみで編集する案件から始めて、慣れてきたら専用ソフトを購入して、本格的な動画編集の案件に挑戦することがおすすめです。
プログラミング | システム開発・構築に携わりたいなら
難易度 |
難しい |
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1か月で稼げる金額 |
5万円~50万円 |
アプリやWebサイトなどシステム開発・構築・保守の案件が多く募集されています。
ただしプログラミングの場合、すでに開発経験がある方向けの案件が大半です。依頼側からは即戦力を求められる傾向にあります。
プログラミング未経験の方は、企業で開発経験を得てから応募することがおすすめです。
デザイン | ホームページやランディングページの制作が得意なら
難易度 |
難しい |
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1か月で稼げる金額 |
3万円~10万円 |
プログラミングと同様、デザインも実務経験が求められるため、デザイン未経験の方は制作経験を積んでから応募しましょう。
普段から、Webサイトのワイヤーフレーム制作、UI設計を作成している方におすすめです。
クラウドソーシングの仕組み
仕事を依頼したい側と仕事を受注したい側は、サービスサイトを通してやり取りを行います。
- 募集の掲示板機能
- コミュニケーション機能
- 決済機能
- 本人確認
- 利用規約の事前締結
サービスサイトでは上記のような、クラウドソーシングに必要な機能を取り揃えており、依頼側・受注側双方が安心して利用できます。
受注までの流れ
- 1.依頼側が募集を行う
- 2.受注側が応募・相談する
- 3.事前のやり取り・仮払いなどを済ませて契約が取り交わされる
- 4.受注側が仕事を完了させる
- 5.依頼側からのチェックで承認される
- 6.依頼側から報酬が支払われる
なお報酬が支払われる際、クラウドソーシングサービスの多くは仕事の受注側がシステム利用手数料を10~20%程度負担します。
募集の形式には主に3種類があるため、次章で記載します。
受注形式はプロジェクト型・タスク型・コンペ型の3種類
- プロジェクト型:受注側が依頼側と条件をすり合わせて契約する
- タスク型:募集内容をもとに受注側が完成物を提案し、依頼側の修正なしで報酬が支払われる
- コンペ型 :募集内容をもとに受注側が完成物を提案し、依頼側に選ばれたものが報酬を支払われる
その他サービスサイトによっては、依頼側からスカウトメールも直接届いたり、案件募集の検索結果に上位掲載されやすくなったりと、依頼側の有料オプションがあります。
クラウドソーシングを活用するメリット
クラウドソーシングを利用すると、以下のメリットがあります。
【仕事を受注する側】 |
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【仕事を依頼する側】 |
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それぞれ説明します。
【仕事を受注する側】自由に仕事を受けられる
クラウドソーシングの掲載サイトでは、多くの案件が募集されています。受注側は、自分の興味関心やスキルに合わせて仕事に応募できます。
納期はありますが、着手時間、作業場所も自由なため自分のライフスタイルにあった働き方ができるのがメリットです。
【仕事を受注する側】経験・スキルを付けやすい
クラウドソーシングには、単発案件が多くあり、スキルアップしたい方には最適です。
例えば、クラウドソーシングで実務経験を積んで転職活動に活かしたり、クライアントとの交渉次第では難易度の高い案件に挑戦できたりします。
【仕事を依頼する側】業務を手軽で迅速に依頼できる
依頼の仕方次第で応募を集めやすいのが、依頼側のメリットです。
受注側がよく検索するカテゴリや、案件の種類からクラウドソーシング内の相場を吟味して公募することで、多くの方から応募・相談が届くようになります。
また、緊急で人員不足があっても、「報酬を相場よりも高くする」「急募オプションを付ける」など、やり方次第では短納期で納品してもらえることもあります。
クラウドソーシングを活用するデメリット
クラウドソーシングにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
【仕事を受注する側】 |
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【仕事を依頼する側】 |
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以下でデメリットと、その対処法を解説します。
【仕事を受注する側】受注単価が低くなる
似たような案件・簡単な案件・人気案件には応募が殺到し、受注単価が市場原理で低くなってしまうリスクがあります。
また、システム利用手数料で報酬の額面から10~20%程度引かれ、手数料の負担がかかる比重が多いのは受注側です。
そのため、依頼側が想定する相場の報酬よりも、受注単価が低くなってしまいます。
高単価の案件を受注するには、手に届く範囲の難易度で案件をこなし、サイト内での受注実績・案件の経験・スキルを培うことが重要です。
【仕事を受注する側】依頼側に信頼されにくい
クラウドソーシングのユーザーは匿名や個人の方が多く、どうしても依頼側に信頼してもらいにくくなります。場合によっては、「依頼側から雑に扱われる」「依頼側にとって返信の優先度が遅くなってしまう」ことも。
クラウドソーシングのサイト内には「認定制度」が取り入れられていることが多いため、取得も検討してみましょう。多くの場合、認定制度は「受注金額」「評価」によって決まります。
各サイトの認定条件を確認しながら、クライアントからの見え方を改善しましょう。
【仕事を依頼する側】品質にムラがある
個人の期日管理やクオリティにムラがあるため注意が必要です。
メッセージでやり取りできる簡単な審査や、事前面談でスクリーニングを行うことで、高い品質を担保できる方とのマッチング率は上がります。
ただしクオリティの低い方を100%排除する方法はありません。テストライティングを活用して、正式な候補者を決定するなど、テスト段階を挟むのもひとつの案です。
クラウドソーシングは副業でも月5万円の収入が十分に可能
案件によって異なりますが、重要なのは時給換算と実働時間です。
クラウドソーシングでは成果報酬型が多くあるため、普段から時給換算を行いながら、作業を進めましょう。
例えば、スキルが不要なデータ入力の時給相場は1,000~1,400円という言及があります。(※)
また、5万円を稼ぐには、手数料14.2%(クラウドワークスの消費税込みで計算)が差し引かれることを考慮すると、6万円程度(58,275円)を額面で稼ぐ必要があります。
上記を踏まえて計算すると、毎月40~60時間の実働が必要です。
- 時給1,000円の場合:58,275円 ÷ 1,000円/時 ≒ 58時間
- 時給1,400円の場合:58,275円 ÷ 1,400円/時 ≒ 41時間
もちろん、最初は案件の見極めが困難です。そのため、量をこなしながら着手スピードや案件の最適化を行いつつ、限られた時間内で月収を5万円、10万円と進めていきます。
※参照:クラウドワークス
クラウドソーシングで稼げない理由・稼げない人の特徴
以下のとおり、つまづきやすい理由とその対策を事前に押さえて、クラウドソーシングでうまく稼ぎましょう。
- 受注確率が低い:身の丈に合う案件から徐々に受注実績・経験を重ねる
- 受注案件数が少ない:低単価でも案件の数をこなして合計月収を上げる
- 受注単価が低い:案件獲得・資格の取得などを経て、経験・スキルを重ねて高単価の案件に応募する
- 受注頻度:今以上に案件の応募着手する時間に割く
稼げない人は、依頼側が求めている人物になれるよう、プロフィールに書ける実績を増やすことが重要です。
つまり、案件の数や実働時間を増やすことを優先して受注実績・スキルを増やし、プロフィールを充実させてから、高単価の案件に挑戦するのが最適です。
クラウドソーシングサイトで初心者におすすめなサービス3選
主要なクラウドソーシングサイトの特徴・選び方を紹介します。
副業やフリーランスでクラウドソーシングを実用している人は、複数サイトに登録することで閲覧できる案件を増やしています。
登録するだけでも案件依頼の通知が来ることもあります。まずは登録してみて案件に応募することから進めてみてはいかがでしょうか。
クラウドワークス | 業界大手のクラウドソーシングサービス
クラウドワークスの基本情報(※2023年8月時点)
登録者数 |
575万人以上(※2023年6月末時点) |
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案件 |
総合 企業・個人事業主からの依頼が多い |
手数料(消費税込の表記)(※) |
受注側
依頼側 無料 |
特徴 |
調査時点で、案件掲載数1万件超 副業がしやすい |
※ワーカーシステム利用料【クラウドワークス】をもとに消費税込の表記に改変
業界最大手のクラウドワークスは、案件が多種多様で初心者の方でも始めやすい案件が多くあります。
などで検索してみると、比較的ハードルの低い案件を閲覧可能です。
また、依頼側から直接案件が届くこともあり、登録時にプロフィールを埋めるだけでもスカウトの確率が上がります。
ランサーズ | 10万円までの手数料はクラウドワークスよりも小さめ
ランサーズの基本情報(※2023年8月時点)
登録者数 |
129万人以上(※2021年10月時点) |
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案件 |
総合 企業・個人事業主からの依頼が多い |
手数料(消費税込の表記)(※) |
受注側:一律16.5% 依頼側:一律5.5% |
特徴 |
難易度が比較的高く、高単価な案件が多い フリーランスになる足がかりになる |
ランサーズは、クラウドワークスに肩を並べる規模のクラウドソーシングサイトです。
案件の種類や掲載数は、クラウドワークスよりも比較的見劣りするものの、ランサーズにしかない案件もあり、登録する価値はあります。
また、ランサーズの案件は難易度が高く、かつ高単価な案件が比較的多く、フリーランスを本格的に目指したい方には、おすすめです。
ココナラ | 趣味を仕事にするならおすすめ
ココナラの基本情報(※2023年8月時点)
登録者数 |
300万人以上(2022年9月時点) |
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案件 |
イラストや占いなど、趣味に根差したものが中心 消費者向け(悩み相談など)の案件も多い |
手数料(消費税込の表記)(※) |
受注側:22% 依頼側:5.8% |
特徴 |
出品の仕方次第で、販売を自動化できる |
ココナラは、クラウドワークス・ランサーズと比べると、独自路線のクラウドソーシングサイトです。
特に、イラスト・デザイン関連や、悩み相談・占い関連の案件が多くあります。その理由は、Vtuber向けのキャラクターデザイナーや占い師の開業・出店先として、多く利用されているためです。
該当の趣味でビジネスを始めたい方にはおすすめのクラウドソーシングサイトです。
クラウドソーシングに関するよくある質問
以下のとおり、クラウドソーシングを行う上で気になる疑問に回答します。
- スマホでクラウドソーシングの仕事を受けることは可能でしょうか?→可能
- クラウドソーシングで得た収入は確定申告が必要ですか?→条件による
- クラウドソーシングを行う際のセキュリティ・プライバシーは問題ないでしょうか?→100%安全とは言い切れないが、かなり強化されている
スマホでクラウドソーシングの仕事を受けることは可能でしょうか?
可能です。誰でもできる内容になるため、低単価にはなってしまいますが、隙間時間で気軽に挑戦できます。
- アンケート投稿
- 体験談のライティング
- アプリの動作確認
子育て中でまとまった時間が取れない方や、通勤時間・休日の隙間時間を有効活用したい方にはおすすめです。
クラウドソーシングで得た収入は確定申告が必要ですか?
以下のいずれかに当てはまる方は、確定申告が必要です。
- クラウドソーシングを含めた副業の所得が20万円を超える方
- 副業収入にかかわらず医療費控除・ふるさと納税で確定申告を行う方
なお所得とは、クラウドソーシングを含めて得た収入から、必要経費を差し引いたものです。まとまった経費や、クラウドソーシングの作業で定期的にかかっている固定費があれば、計算しておきましょう。
その他、詳細な条件については国税庁のサイトをご確認ください。
参照:確定申告が必要な方(国税庁)
クラウドソーシングを行う際のセキュリティ・プライバシーは問題ないでしょうか?
100%完全に安全とは言い切れませんが、今回紹介した3つのサイトは、政府関連も使用しており、上場企業が運営しているので安全性は高いといえます。
また依頼側は利用時に、NDA・利用規約の締結を行っていることが多く、取引先の選定に配慮すれば十分に対策可能です。
さらに、クラウドソーシングサイトは匿名でも登録可能なので、身バレを避けたい方も安心して利用できます。
まとめ | クラウドソーシングを活用して収入をうまく得よう
クラウドソーシングはうまく活用すれば、普段の収入にプラスで収入を得られたり、フリーランスになる足がかりになったりと、十分なメリットがあります。
また、スキルがなくても挑戦できる案件が多くあります。まずは、登録だけでも行い、できそうな案件を閲覧してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
Mojiギルド編集部
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