「オタク」は今や褒め言葉!
少し前までは、「オタク」というと、チェックシャツをズボンにインして、バンダナを巻いて、メガネをしていてコミュニケーションが苦手…というようなステレオタイプな印象があったかもしれません。
そもそも「オタク」とは、同人誌販売会に集まる青少年たちの特異な行動様式や外見をステレオタイプ的に揶揄して表現したものが最初なんだそうです。つまり、元々は差別的でネガティブな意味を含む表現でした。
しかし、現代においては、下記のようなオタクに関連する新語も増えており、
- オタ活(「オタク活動」の略で、趣味の分野をオタク的に活動すること)
- ドルオタ(「アイドルオタク」の略)
- オタ芸(アイドルのコンサートやイベントで、ファンが行う独特のパフォーマンス)
「オタク」という存在が以前よりも身近になったことで、マイナスな印象を抱く人は少なくなっています。むしろ、「何かを極めた人」として、尊敬の対象となることすらあります。
ちなみに、特定の何かに対して人並外れた情熱を持っている人を一般的にオタクと称しますが、オタクという概念に明確な定義はありません。
そのため、「アイドルの〜さんが好きだけど、私はグッズやライブに全然お金を使っていないからオタクとは言えないかもしれない」というように、「オタ活」に使用している時間やお金の量、知識量などに対して頭を悩ませる必要はありません。
一口にオタクといっても十人十色なので、それぞれの推し方で、自分が自分をオタクだと思えば、それはもうオタクと言えるでしょう。
一点留意すべきなのが、「オタク」という呼称に対して不快感を覚える方もゼロではないので、他人に対して使用する際には、相手の気分を害さないように注意しましょう。
マニア・オタクはライターに向いている
オタクへの意識が変革していることについてご理解いただいたところで、いよいよ本題に入っていきます。
私が本記事を通して一番伝えたいのは、「マニア・オタクはライターに向いている」ということです。
ここでは、その理由を大きく5つに分けて解説していきます。
- 好きなものに対する探究心が計り知れない
- 独特な着眼点を持つ
- 好きなものを語らせたら止まらない
- 細部にこだわりまくる
- 溢れ出す情熱が人の心を動かす
好きなものに対する探究心が計り知れない
マニアやオタクは、自分の好きな分野において他の追随を許さないほどの探究心を持っています。
これはライターとしての強みに直結します。
なぜなら、オタクライターは単に情報を伝えるだけでなく、その背後にある意味や文脈を読者に伝えることができるからです。好きなものに対する知識、そして気持ちがあるからこそ、愛するものの魅力を他の誰にも真似できないほど豊かに、そして情熱的に表現できます。
独特な着眼点を持つ
マニアやオタクは、一般的な人が見落としがちな細部に価値を見出すことがあります。その独特な着眼点は、読者に予想外の角度から物事を考察する機会を与えるでしょう。
例えば、アニメの背景描写からその作品が持つ深い社会的意味合いを読み解いたり、一つのゲームキャラクターのデザインに込められた創作者の思想を分析したり、マニアやオタクならではの視点から広がる世界があります。このような分析は、ただのレビューや解説を超え、読者にとってより深い理解や共感を生み出すことができます。
好きなものを語らせたら止まらない
オタクは、好きなものについて語り出すと早口で饒舌になります。もちろん個人差はありますが、オタクに好きなものについて語らせたらとにかく止まりません。
この熱意を文章にすることで、読者にその魅力を伝えることができます。マニアやオタクの書く文章が持つ情熱によって、読者はそれまで気づかなかったある対象の魅力に目覚めるかもしれません。自分の書いた文章が布教活動にもなるという点は、自分にとっても嬉しいことではないでしょうか。
細部にこだわりまくる
マニアやオタクは、細部にまでこだわりまくる傾向があります。例えば、キャラクターの表情、衣装の色や形など、ともすれば一般の方にとっては「どうでもいい」と思えるほど細やかな部分まで気にすることも。
細部へのこだわりは、単に事実を列挙することを超えたライティングを生み出します。例えば、マニアやオタクが書くレビューや分析記事では、表面的には見えないさまざまな層を掘り下げることができ、読者に新しい視点をもたらすことができます。
溢れ出す情熱が人の心を動かす
マニアやオタクが持つ「溢れ出る情熱」は、単に情報を伝えるだけでなく、文章に生き生きとした力を吹き込みます。対象への愛と尊敬が込められた記事は、書こうと思って誰もが書けるものではありません。
記事に込められた推しへの深い愛情が読者に伝わることで、その対象に興味を持つきっかけとなるでしょう。また、情熱を持って語られる話は、その分野に新しく興味を持った人だけでなく、長年のファンにとっても魅力的なものとなります。
こういったマニア・オタクの特徴はライターに大変適しています。
特に、昨今の情報社会では膨大な量の記事がネットに溢れているので、他の記事にない価値によって記事を「差別化」することが非常に重要です。
また、SEO(検索エンジン最適化)の観点でも、オタク・ライターの専門性は大きな強みになります。
Googleは検索結果の品質を評価するために、外部の検索品質評価者向けに「検索品質評価ガイドライン」というマニュアルを公開しています。
かつて検索品質評価ガイドラインで定義されてるWebサイトの評価基準は
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
の3点で、これらの頭文字を取って、「E-A-T」と呼ばれていました。
しかし、2022年12月15日に検索品質評価ガイドラインが更新された際に、「E-A-T」にもう一つのE「Experience(経験)」が加えられ、現在の評価基準である「E-E-A-T」に変更になりました。
オタク・マニアが記事を書けば、専門家でなくとも「Expertise(専門性)」「Trustworthiness(信頼性)」「Experience(経験)」の3点は満たすことができるでしょう。
一般的な記事に対してより尖った、個性的な記事は、検索エンジンで上位表示されやすいだけでなく、読者にとっても有益なものとなります。
マニア・オタクライター活躍の場
最後に、マニア・オタクがライターになろうと思った時に、「どこで書けば良いのか」という点について解説していきます。
ライティングを行うにはさまざまなプラットフォームがあり、趣味としてライターを行うことも、ライティングを通してお金を稼ぐ方法もあります。まずは自分に合ったやり方で、少しずつ文章を書いてみてください。
- ブログ
- note
- SNS
- Webメディア
ブログ
ブログでは、自分の知識や経験を読者と共有できます。特定の興味の領域について深く掘り下げる機会になるとともに、同じ興味を持つコミュニティとつながる手段ともなるでしょう。
ブログは無料で始められるものも少なくありません。また、フォーマットが柔軟ということもあり、短文から長文まで、自分の書きたい内容によって記事のスタイルを調節することができます。
個人運営の場合、細かいルールやブログのテーマを自分で設定できるため、デザインなどにこだわりたい、誰かに縛られたくない、趣味の範囲で文章を書きたいという方にぴったりです。慣れてきたら、アフィリエイトブログの運営や、Google AdSenseの活用などによって収入を得ることもできます。最近では、副業としてブログを運営している方も珍しくなくなってきました。
さらに、自分の書いた記事や分析を通じて、専門知識やライティングスキルを示すこととなるので、個人のオンラインポートフォリオ(ライターとしての実績を紹介するもの)としても機能します。将来的に報酬の発生するライティング案件を受注する際に有利に働くので、ポートフォリオに掲載できる実績作りという点でもおすすめです。
note
noteは、日記やエッセイ、写真、イラストなど、多様なコンテンツを気軽に公開できるプラットフォームです。難しい設定は必要なく、シンプルな操作で記事を作れるので、ブログは少しハードルが高いと感じている方にもおすすめです。
noteは一部機能を除き、無料で使用できます。文章を書き、一般公開するために必要な基本的な機能は無料で利用できるので、無課金でも十分に活用可能です。
noteもブログ同様に、基本的に個人で運用していくものとなるので、趣味の範囲で気軽にライティングを始めてみたい方にうってつけです。
また、noteでは無料記事だけでなく、有料記事(閲覧するのに筆者が指定した料金が必要となる記事)を書くこともできます。つまり、記事が購読されれば、その記事から収益を得られます。アフィリエイトブログやGoogle AdSenseに比べて収益化のプロセスも複雑ではないので、自分の書いた記事でお金をもらう経験を積むのにもおすすめのプラットフォームです。
SNS
何かしらのSNSはすでに始めているという方が多いのではないでしょうか。これも立派なライティングです。
SNSでは瞬時に広範囲の読者と直接的に交流し、自分の作品や考えを共有することができます。他のプラットフォームに比べて、気軽に、素早く発信できる点が大きなメリットと言えるでしょう。長文を書けないことはデメリットですが、普段なかなか文章を書く習慣がない方が、短文から練習をするのにはうってつけです。
また、SNSでの活動は他のメディアでの活動を宣伝する際にも役立ちます。例えば、note記事をXでシェアすることで、より多くの方に記事を読んでもらえる可能性が高まります。
Webメディア
最後に、Webメディアです。Webメディアとは、今お読みいただいているMojiギルドのようなインターネット上のメディアのことです。
Webメディアでの執筆活動は、基本的に報酬が発生します。いわゆる「Webライター」と呼ばれる方は、Webメディアに記事を寄稿することでお金を稼いでいます。
各メディアにはメディアごとのルールがあるので、そのフォーマットに従って記事を書く必要がある点が、他のプラットフォームとの大きな違いです。
例えば、あらかじめテーマが指定される、文字数に指定がある、納期などの制限がある場合があります。
また、自分の記事に対してお金が発生する分、当然責任が付きまといます。
「書きたい時に、書きたいものを気ままに書ける」というわけではないので注意しましょう。
Webメディアでのライティング案件を獲得するには、さまざまな方法があります。Mojiギルドでは、ライターの案件獲得方法やライターとしての経験談などを紹介しているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
お前もライターにならないか
ネットミーム化して久しい、「お前も鬼にならないか?」 という『鬼滅の刃』に登場する鬼の猗窩座が煉獄杏寿郎に対して言ったセリフのオマージュですね。本記事は自身もオタクである筆者が鬼、もとい「オタクライター」を増やそうと画策して執筆いたしました。
…という目的もありつつ、もう一つの狙いとしては、オタクの方にオタクであることを誇って欲しい、そうなれるための一つの手段がライターである、ということを知っていただきたいという思いから本テーマについて書きました。
同じくオタクの方であれば共感いただけるかと思うのですが、何かに熱中していることに罪悪感を感じた経験があるという方…結構多いのではないでしょうか。
「気づいたらスマホゲームへの課金額が国内旅行ができるぐらいまで膨れ上がってて、そろそろヤバい」
「アニメを見てる時間を勉強に充ててたら、今頃英語を習得できていたかもしれない」
「周りの友達は結婚して子供ができてるっていうのに、アイドルのライブでうちわ振ってる私って…」
時間、お金、経験など、ふと振り返ってみると大事なものを浪費してしまっている感覚に苛まれ、オタクである自分を恥じたり、後ろめたく思うこともあるかもしれません。
しかし、それだけ一つのものに打ち込んでいるオタクにしか書けない記事があります。
これは私の経験談ですが、取材仕事に行った際に「私○○というゲームが好きでよく遊んでいるんですよね」と話したことがきっかけで、そのゲームタイトルの取材をさせていただいたことがあります。また、私はアイドルに関するブログを個人で運営しているんですが、初めてアフィリエイトで報酬が発生した時に、自分のこれまでのオタク人生を少し肯定的に見られるようになりました。
そもそもオタクであることを恥じる必要はありませんが、せっかく費やした自分の時間やお金を、何らかの形で昇華したいと考えている方は、選択肢の一つとしてライターになることを検討してみてはいかがでしょうか。
「好きなものを仕事にする」のは簡単ではありませんが、ライティングは趣味からでも始められるので、参入障壁も比較的低いです。
自分の好きなものについて文章を書いている時間はとても楽しく、自分の文章がきっかけで推しが布教できた時の喜びは計り知れません。
これを読んでくださった皆さんがライティングに興味を持ってくだされば、私はライターとしてもオタクとしても本望です。ある種これは「ライターという職業」を布教するための記事かもしれませんね。
皆さんのライターデビューを楽しみにお待ちしております。
この記事を書いたライター
Haruka Matsunaga
おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...