納期に遅れてしまう原因は?

納期に遅れてしまう原因は?

適切な対策を取るためにも、まずは納期に遅れてしまう原因を理解することが大切です。

基本的に、納期に遅れる原因は大きく以下の4つに分けられます。

1.納期管理が不十分だった

2.納期を勘違いしていた

3.病気や急用などでスケジュール変更が発生した

4.自分ひとりのスケジュールのみを考慮していた

それぞれ、なぜ納期遅れの原因が発生するのかを見ていきましょう。

1.納期管理が不十分だった

「納期管理が不十分」とは、仕事を進める初期段階で適切なスケジュール計画が立てられていない、または進行中のタスク管理が適切に行われていない状態です。

特に、作業の見積もりが甘く、実際の作業量に対する認識のズレが原因で納期を守れなくなるというライターは少なくありません。

例えば、タスクの優先順位付けが適切に行われていなかったり、他の業務との兼ね合いでリソースが不足している状況で新規案件を受けてしまうと、ほぼ確実にパンクします。

また、途中で要件の変更があったり、予期せぬ問題が発生した場合に、それに対応するための時間的余裕が計画に含まれていないと、納期の遅れに直結します。

これらの問題は、納期に対する現実的な見積もりを出すことと、案件の進捗状況を定期的にチェックし、必要に応じてスケジュールを調整することで、大半の場合は避けることが可能です。

2.納期を勘違いしていた

納期を勘違いしていて納期に遅れるというのは、意外にも頻繁に起こるトラブルの1つです。

「5日納期だと思っていたら実は4日が納期で、クライアントから連絡が来て飛び起きた」

というような話を聞いたこともあります。また、案件開始時に納期についてクライアントと共通認識を持っておらず、その後のコミュニケーションで誤解が生じたまま進行するケースもあります。

例えば、「納期は月末まで」と聞いていて月末当日に納品したら、実際は初稿ではなく最終稿の納期が月末までで、先方との修正を繰り返すうちに納期が過ぎてしまったなんてことも。

こういった問題を防ぐためには、仕事を受けた段階で納期を適切に管理することが大切です。カレンダーやタスク管理ツールにミスなく納期を登録しておきましょう。

チャットやメールでとりあえず先方とやり取りだけして後でまとめてタスクを登録しようとすると、抜け漏れが発生するリスクがあります。案件を受けた時点ですぐにメモをする癖をつけるのがおすすめです。

また、納品日に納品すべきものが何かということもあらかじめ明確にしておくのが良いでしょう。

例えば、納期までに最終稿の納品が必要な場合は、修正のやりとりがどの程度発生するのか、先方が確認作業に要する日数を明らかにしておく必要があります。

タスクが曖昧な場合は、認識の齟齬がないように必ずクライアントに不明点を確認しましょう。

3.病気や急用などでスケジュール変更が発生した

病気や急用といった予期せぬ事態は、スケジュールに大きな影響を与えることがあります。これはどの職業においても避けられない事象であり、特に体調不良や家族の緊急事態などは予測が困難です。

こうした状況が発生すると、計画されていた作業が予定通りに進行しなくなり、結果として納期に遅れをもたらす可能性が高まります。

タスク管理においては、こうした不確定要素をある程度前提として考えることが重要です。病気や急用が発生した場合に備え、あらかじめスケジュールには余裕を持たせておきましょう。

例えば、重要なタスクの完了予定日の前にバッファ期間を設ける、リソースギリギリまで仕事を受けないなどが有効な対策です。

ただし、どれだけ気をつけていても不測の事態は起こりうるもの。緊急事態が発生した場合は、その時点でクライアントに連絡を取って状況を伝え、スケジュールについてなるべく早く相談しましょう。

4.自分ひとりのスケジュールのみを考慮していた

仕事を進めるにあたって、自分ひとりのスケジュールのみを考慮して作業を進めるというのは、特にチームで協力して案件を遂行する場合に問題を引き起こす一因となります。

ライターであればディレクターや編集者、校正者、翻訳者などの方々と一緒に仕事をすることがあります。

チームで動く場合、他の方々のタスクおよびスケジュールを把握していないと、自分の元でボールを止めてしまい、案件全体の進行を遅らせてしまいかねません。

例えば、あるタスクが完了しなければ次のステップに進めないにも関わらず、先行するタスクの担当者が自分の都合のみでスケジュールを組んでしまうと、全体の納期に影響が出てしまいます。

また、他のチームメンバーがそのスケジュールに合わせて自分の作業を調整する必要が生じ、効率が悪化する可能性もあるでしょう。

この問題を避けるためには、案件開始の初期段階で全員がスケジュールを共有し、互いのタスクとの関連性を理解しておくことが重要です。

ライターであれば、構成や納品物の確認者、確認に要する時間などを把握しておく必要があります。

ライターはひとりで仕事をしている感覚に陥りやすいですが、自分ひとりのみで完結する仕事は絶対にないということを改めて肝に銘じておきましょう。

そもそも納期に遅れないために実施すべき5つのこと

そもそも納期に遅れないために実施すべき5つのこと

『いい人すぎるよ展 ₊ やだなー展 2nd Season』にて撮影

納期遅れの原因がわかったところで、ここからはそもそも納期に遅れないためにはどうすれば良いのかを考えていきましょう。

ここでは、私が普段やっている納期に遅れないためのTipsを5つご紹介します。

1.納期に間に合わなそうな場合はすぐにクライアントに相談

2.自分の仕事のペースを把握する

3.自分以外の人も関わる仕事は早めに捌く

4.あらかじめ余裕を持ってスケジュールを組む

5.納期がある仕事・ない仕事をバランス良く受ける

納期に遅れてしまうと、先方に迷惑がかかってしまうことは言うまでもありませんが、今後の自身の仕事にも大きな影響を及ぼします。

クライアントと良好な関係を築き、長期的に案件を依頼していただくためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.納期に間に合わなそうな場合はすぐにクライアントに相談

納期の遵守はビジネス関係において非常に重要ですが、何らかの理由で納期に間に合わなさそうな場合、まずはその事実をいち早くクライアントに伝えましょう。

一般的に、納期に間に合わないことが明らかになるのは、作業の最終段階に近づいてからであることが多いです。

しかし、ギリギリになってから報告するのではなく、「間に合うかもしれないけれど、間に合わない可能性もある」と感じた時点で、直ちにクライアントにその旨を伝えるのが良いでしょう。

早期に現在の状況を共有することで、クライアントは必要な調整を行う時間を確保でき、状況に応じた対策を講じることが可能になります。

納期の当日になってから間に合わないことを伝えると、クライアントは必要な準備や対応ができず、案件全体の進行に大きな支障をきたしてしまうかもしれません。

また、問題が発生する前に事前に相談を持ちかけることで、クライアントからの信頼を損なうことは少なく、むしろ責任感を持って対応していると好印象を与えることができるでしょう。

納期は必ず守るべきものであることは大前提ですが、やむを得ない事情が発生した場合は、すぐにクライアントに相談し、指示を仰ぐことが大切です。

2.自分の仕事のペースを把握する

いただいた仕事を期限内に完成させるためには、自分自身の作業ペースを正確に把握し、それに基づいてタスクを計画することが大切です。

そのためには、まず自分がどれくらいの速度で仕事を進めることができるのかを知り、リアルなスケジュールを作成しましょう。過去の案件での経験や、同様のタスクを行った際の時間を参考にするのがおすすめです。

また、一度時間を計りながら仕事を行い、自分の仕事のペースを詳細まで把握することで、スケジュールのズレを小さく抑えることができます。

ちなみに、私は自分のタスクをスプレッドシートで管理しています。

以下は、普段自分が使用しているタスク管理のシートを基に作ったサンプルスケジュールです。

このように、納期や仕事内容、そしておおよその所要時間をまとめています。私は月あたりのトータル稼働時間を200時間と設定して、その範囲内で受注案件をやりくりしています。

ただし、まとめて稼働できる仕事とそうでない仕事があるので、その点には留意しなくてはなりません。

例えば、上記のサンプルスケジュールで言うと、9行目にある「プロジェクトマネジメント業務」は、月のトータルで50時間の稼働が予想される仕事です。マネジメント業ということもあり、10時間×5日間のような進め方ができるわけではないので、ここに関しては1日あたりの稼働量も別途考慮する必要があります。

私は一周回ってスプレッドシートが一番使いやすいと感じているので、少しアナログかもしれませんが今のところはこのように管理しています。

現在はTrelloやBacklogなど便利なプロジェクト管理ツールがたくさんあるので、いくつか試してみて自分に合うものを使うのが良いのではないでしょうか。

Trello

Backlog

3.自分以外の人も関わる仕事は早めに捌く

複数の関係者が関与する案件においては、作業の進行をスムーズに保つために、各タスクを早めに処理することが極めて重要です。

特にディレクターや校正者など、第三者の確認やフィードバックが必要な場合、それが返ってくるまでの期間も予定に組み込む必要があります。

例えば、ディレクターによる構成の確認が必要な場合、戻ってくるまでにおよそ2〜3営業日かかると想定し、それを踏まえたスケジュールを組むことが求められます。

具体的には、納期が7日(火)の場合、遅くとも2日(木)にはその確認を依頼する必要があるでしょう。

ちなみに私は、月の初めに構成案のみを作成する時間をまとめて設けています。確認作業が必要なタスクをとにかく自分の手元に残さず、ボールを早めに投げておくことで、構成が返ってきた後の中旬から下旬にかけては自分のペースで仕事ができるようになるのでおすすめです。

また、校正やファクトチェック後に修正が必要になることも多いため、必要に応じて実際の納期よりも2〜3日早めに納品を目指す計画を立てることが賢明です。

ただし、納品日までに初稿を納めれば良いとされている案件では、期日当日に納品しても問題ない場合もあります。

これに関しては、クライアントごとに対応が異なるので、案件を受ける段階で納品日にどの状態での納品物が必要かをあらかじめ明らかにしておきましょう。

4.あらかじめ余裕を持ってスケジュールを組む

納期に遅れずに納品するためには、スケジュールに余裕を持たせることが非常に重要です。

あらかじめバッファ期間を設けておくと、予期せぬ問題や緊急事態が発生した際に、対処するための時間的な余地を確保できます。

また、新しい仕事を受ける際には、既に手がけている他の案件の進捗状況と締め切りをしっかりと確認し、体の仕事量が現実的な範囲内であるかを検討する必要があります。

特に納期がギリギリの案件を受ける場合、他の仕事を一旦ストップして取り組まなくてはならないので、十分な注意が必要です。

基本的に納期はクライアント側から提示されることがほとんどですが、依頼を受けた時点で無理のあるスケジュールだと判断した場合は、承諾する前に納期の延長を相談してみましょう。

参考までに、以下は私とクライアント様との実際のやり取りです。

4月末にご依頼をいただいた時点でGWに何件か取材仕事を控えていたので、5/6納期の案件がかなりギリギリな対応になってしまうと判断したため、納期についてご相談しました。

元々余裕を持ったスケジュールでご依頼いただいていたようなので、無事納期の延長が叶いました。

このように余裕を持ってスケジュールを組むことは、クライアントとの信頼関係を保つ上でも非常に有効です。

納期を守ることはクライアントからの信頼を得る上でも大変重要な要素であり、計画的に余裕を持たせることで、より安心して案件を任せてもらうことができます。

5.納期がある仕事・ない仕事をバランス良く受ける

これはすべての方が実施できるTipsではないかもしれませんが、納期がある仕事・ない仕事をバランス良く受けることで、月の仕事の進行状況に応じてスケジュールを柔軟に組むことができます。

納期がない仕事というのは、複数のライターが所属するライターチーム単位で進める案件などが主なケースです。

例えば、1つのWebサイトに掲載する記事をライターチームで協力して作っている場合に、担当できる人が担当できる時に記事制作を進めていくという形式が取られる場合があります。

こういった案件と、毎月決まった分量だけ依頼が来る案件を両方持っておくと、金銭的な安定と時間的な安定の両方が保ちやすくなるのでかなりおすすめです。

参考までに、私の場合は以下のようなご依頼方法の案件を担当させていただいております。

  • 毎月決まった件数の案件をご依頼いただく:前月末に、大体1週間に1本程度の納期をご提示いただき、相談の上で合意する

  • 決まった件数ではないが毎月数本ご依頼いただく:ご連絡が来るタイミングも件数も月によって異なるが、毎月コンスタントにご依頼いただく。納期に無理がある場合はお断りしたり、納期の延長をお願いしている

  • ライターチームに所属し、担当できる時に担当できる分だけ執筆する:管理シートがあり、時間が空いている時に名前を記入して進める形式の案件。ノルマもないので、0件という月もあれば月に5件ほど担当することもある

  • ライター以外の案件:コンサルティング業やマネジメント業など。ライティング案件と違って、一気に進められるものではなく、週単位、月単位で動くことが求められるので、基本的に毎日数時間ずつ細かく稼働する

このように納期が厳格に設定されている仕事と、比較的柔軟なスケジュールで進められる仕事をバランス良く組み合わせることで、ストレスの軽減にも役立っている実感があります。

長くライターを続けていくには、締め切りのプレッシャーが連続してかかることを避け、精神的なバランスを保つことも必要です。

短期間で集中的に取り組む必要がある案件をこなした後は、スケジュールに余裕のある長期的な案件に取り組むことで作業のペースを調整するなど、持続可能な労働環境を維持するよう意識しています。

高品質な成果物を安定して提供し続けるためにも、無理のないスケジュールを組むことが大切です。

納期厳守はライターの基本!

納期厳守はライターの基本!

「当たり前のことを当たり前にできるだけで、ライターとして90点」

誰が言ったか知りませんが、こんな言葉を耳にしたことがあります。

納期を守ることはライターの基本の「き」にも満たないくらい当たり前のことかもしれませんが、意外とそれが徹底できていないライターがいるのも事実。

つまり、納期を守ることができるライターは、信頼性が高く評価され、推薦やリピートの仕事を得やすくなります。

納期厳守は単なる義務ではなく、自己のブランド価値を高め、キャリアを長期にわたって維持していくための重要な戦略とも言えるでしょう。

納期厳守はライターにとってただ単にタスクを完了すること以上の意味を持ち、クライアントからの信頼を得るため、さらには自身のキャリアを発展させるための基本的なお作法です。

「ライター」という職業に悪い印象を持たせないためにも、ライターとしての矜持、責任を持って仕事を進めていきましょう。

なんて偉そうなことを言っていますが、かく言う筆者は、納期は守れているものの、「納期>睡眠」となりがちで、納期厳守のために睡眠を犠牲にする節があるので働き方改革を試みています(笑)。

1日3食、8時間睡眠、週2〜3回の定期的な運動…というような健康的な生活を維持しながら、納期もしっかり守れているライターさんがいたらコツを教えてほしいので連絡ください。

この記事を書いたライター

執筆者

Haruka Matsunaga

おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...

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