文字だけ打ってればイイってものではない!こだわった「鉄の中華鍋」
木の柄がついてて持ちやすいのがポイント…もちろん使用後は洗剤を使わずタワシで洗い流し、油を張る
────毎度どーもです。今回は兵藤さんから「こだわりのライター道具」を拝見できると伺いましたが…いきなりなんですかそれ?
見ての通り「鉄の中華鍋」ですよ!
ライターってどうしても締切に追われるというか、人にもよると思いますが、余裕をもって受注したつもりでも気がつけば締切が迫っていたり、仕事を詰め込みすぎて時間がなくなったりで、外食のための移動時間すら惜しいことは多々あります。
MojiギルドのXアカウントなんて、毎日優雅に外食の投稿してますけど、実際そんなの首都圏在住で金に困っておらず、近場にヨサゲな飲食店が多いとか、恵まれてる一部のライターだけじゃないですか?
だから地方都市の郊外にあるアパート住まいの私なんか、徒歩5分圏内だとスナックしかありませんし、コンビニ弁当も今となっては高い少ないですから自炊メイン、米を炊いてこの中華鍋でサッと一品、あとは味噌汁に漬物つけば上等というわけで。
────ははあ、節約だけじゃなく時短まで考えて自炊と…他にも調理器具はあると思いますが、なぜ中華鍋を代表に選んだのでしょう?
元はフライパンでやってたんですけど、常に安いモヤシ、それにキャベツとか安い時に買って、強火でグワッと炒めるにしても、一度にボリューム満点でやろうと思えば中華鍋が最高なんですよ!
だから東京に住んでる姉から誕生日プレゼントを買ってやると言われた時、迷わずこの中華鍋を選びましたね…油ならしとか、手入れをちゃんとしてればテフロン加工のフライパンと違い、気取った使い方しなくても豪快にオリャー!カンカンカン!と調理できちゃいます。
まーだいたい野菜炒めか豚キムチですが、底が深いので麻婆豆腐とか「飲み物系」を作ってもイケますし、たまには豪華にステーキ焼いてもいいですし、中華鍋は万能ですよ!
────中華鍋、それも鉄鍋へのコダワリはわかりましたが、なぜこれを最初に…?
何をおっしゃいますか?腹が減っては戦はできぬ、ライターでも当たり前のことです!
シートのホールド性は抜群!デスクワークでも長時間全開だ!
画像だとシートだけに見えるが、通常のビジネスチェアーと同じ車輪つきの台にドッキングしており、ガラガラ動ける…左上はこのシートが元々ついていた過去の愛車、「リーザTR-ZZ EFI」
────次はビジネスチェアーということで…変わった形というか、これ、車の椅子じゃないですか?
ダイハツの軽自動車、平成2年(1990年)式「リーザTR-ZZ EFI」の純正運転席シートです。
競技会にも使っていた昔の愛車用ですが、今から22年前に購入してすぐ運転席はもっと本格的なスポーツシートへ交換したので、このシートはしばらく実家の自室でホコリかぶってたんですが、2012年に独立起業した際、まずはこのシートを業者に出して改造しました。
同じダイハツの「ミラTR-XX EFI」(平成2年式)にも乗ってたんですが、このシートは軽自動車用の割にスポーツ走行でもカラダがズレにくい「ホールド性」に優れており、神戸から仙台へ給油以外はノンストップの長距離ドライブでも、全然疲れません。
個人的に純正シートの隠れた傑作だと思ってますが、愛着のある車の装備品と一緒に過ごしたいというだけではなく、長距離ドライブで疲労しないなら、長時間のデスクワークにも最適だろうと選んでいます。
────ほほう…当たり前ですが座り心地は車そのもの、しかもちゃんとリクライニングしますね。
リクライニングできれば座ったまま背伸びできますし、ドライブ中の休憩でもよくやるように、シートを寝かせて仮眠も自在です。
背もたれが長くてヘッドレスト(首を支える枕状のパーツ)もついてますから、上半身を預けてもビクともしませんし、ライターを長く続けたい人ならまず、椅子へこだわることをオススメしたいですね。
これで安物のビジネスチェアーだったら、長続きしなかったかもしれません…それくらい大事です。
自らメンテナンス、こだわり抜いて12年のデスクトップPC
見た目は地味だが内側に電動ファンを取り付けた穴がアチコチ開いており、CPUクーラーは水冷式と、冷却性能重視のデスクトップPC
────パソコンはデスクトップPCなんですね?どこ製ですか?
これはその名も「パソコン工房」という、パソコン用部品の販売から組み上げまでなんでもござれというショップで、12年前に組んでもらったカスタムPCでして、特殊な部品を使った特注品というわけではないんですが、メモリだけは64GBとかなり多めに積んでます。
────12年も動いて今でも現役って、物持ち良すぎませんか?!
確かに物持ち良いとはよく言われてまして、扇風機なんか私どころか姉が生まれた時にはもう実家にあったと言われてますから、もう60年モノですかね?(笑)。
このパソコンも最低10年は使うつもりで、耐久性のためにケースは静粛性より放熱性重視、CPU(中央演算装置)の冷却は水冷クーラーで、東日本大震災(2011年3月)の後ですから、地震でも倒れにくいように電源はケース底面設置と、かなりこだわりました。
中でも一番こだわったのがメモリの量で、実際に仕事するのがCPUなら、メモリの量は「仕事する机の大きさ」なんて言われてましたので、CPUが時代遅れになってもメモリさえ大容量なら長く使えるはず…という計算で、実際にそうなってます。
────でも10年以上たったらWeb環境も、画像素材の容量や圧縮技術もだいぶ変化してますし、実際ついていけるものですか?
そのへんは多少バージョンアップしてて、最初はとにかく動けばいいやって適当なものを挿していたグラボ(グラフィックボード)はさすがに更新してます。
仕事用としては何とかなっても、合間にちょっとゲーム楽しむくらいはしますから、ゲーミングPCとしてはグラボの性能不足が…キャラがヌルヌル動いてくれた方が…いやもちろん、仕事用としてもバッチリ性能アップで役立ってますよ?(笑)
他にCPUの水冷クーラーや電源は経年劣化で故障しますから、何度か自分で交換してます。
こういう仕事してると、スリムなノートPC、それもMacBook Proあたりをカフェに持ち込み、カチャカチャ、ターン!というイメージがありますけど、私はそういう優雅なスタイルとは無縁ですし、自分でイジって直してができる大型デスクトップPCが好きです。
前は「離島でワーキングホリデー」とか、「車の展示会に出かけて現地で原稿打ち、速攻でアップ!」とか、外での仕事も多かったんでノートPCもありましたが、今はそういう仕事もないので…しまいこんで、どこ行ったかな?というくらいでして。
ただ、これだけ古いと最新OSのWindows11にはアップデートできないため、いずれそれでは困るという日がくれば、また同じようなデスクトップPCをフルカスタムで組んでもらうと思います。
────ちょっと気になったんですが、部品交換までやるなら自分で「パソコンを組む」くらいできそうなのに、そこまでしないのはなぜでしょう?
趣味なら自分で組んだ方が面白いですけど、あくまで仕事用ですからね。
そうなると、こちらから要求仕様や用途を正確に伝えれば、パソコンショップの店員の方がはるかに最新情報に詳しいですし、最適なパーツの組み合わせを導き出してくれるんですよ。
しかも客も店員もどっちもオタクですから、「その部品を選んだ理由はなんでしょう?」なんて質問をしたが最後、話が盛り上がりまくって最後は「じゃあよろしく頼みますよォ!」なんて気持ちよくお願いできますから、もうそこでパソコンへの愛着も始まります。
車でもそうですが、自分が好きで知識もそれなりにある分野ほど、プロと接する時間は大事でもあり、何より楽しいですから、むしろ信頼できる人任せにしたいんです。
仕事に使う道具だからこそ、格好より質実剛健な実用性、それも作り手の顔が見えるようなものが望ましいですね!
不器用を補う!マルチディスプレイとトラックボールマウス
6枚フルに使いこなせれば情報処理能力は非常に高い…早く買い替えたいが、今は予算不足のため4枚でガマン!左上はロジクールのトラックボール式マウス
────デスク上にもいろいろと特徴が…ディスプレイは6枚もありますし、マウスもトラックボール式ですか。
お恥ずかしいことに、予算の都合でディスプレイ6枚のうち実働は2枚だけですが(笑)、13年前の起業直後はまだライターやってなかったんで、14インチのCRTディスプレイ2つだけでしたけど、その頃から「用途に応じて使い分ける」という考え方でした。
当初からWebライターとしてホームページなども作ってましたから、Webページと見比べながら画像素材の加工をしたいのでもう1枚、東日本大震災の後だから地震情報を常時モニターするのにもう1枚、ライター業をするのに原稿と資料と画像を見比べるのにまた1枚。
そんな感じで増やしていくと、デスク上に並べきれないので、上下にディスプレイを2枚並べられるアームを3つ買って、気がつけば2列6枚ものディスプレイになってました。
初めて見た人からは「株取引か、ハッカーみたいな怪しい仕事をしているに違いない」と思われますが、文字情報に1枚、画像に1枚と資料開いて考えながら、チャットワークとか業務用チャットツールでクライアントと打ち合わせつつ、原稿も書く。
これをディスプレイ1枚でできちゃう人って、私はむしろ器用だなと尊敬します…不器用を補うためにディスプレイ増えたというのが、本当のところかも?
────マウスがトラックボール式なのも、やはり不器用を補う理由ですか?
これも最初はマウスパッド上をゴロゴロ転がすボール式、次いでレーザー使った光学式マウスで普通のを最初は使ってましたが、ディスプレイが増えると端から端までカーソル動かすのにマウスをブンブン振ってるより、トラックボール転がしてる方が楽なんです。
そういう意味では「不器用を補う」でもあるんですが、私は「机の上の整理整頓」とか無頓着で、ヘタするとゴミの中で仕事してるような有り様ですから、マウス本体は1mmも動かさなくていいトラックボール式は、机の上を片付けなくても仕事ができちゃいます(笑)。
だから不器用というより「不精者」ってことになりますけど、一旦仕事を始めたら余計なことを一切考えなくていい、考えたくない!ってライターには、トラックボール式マウス、最高ですよ。
中には本当に器用な人もいて、ライティングから画像処理からプログラムまでスマホ1台、タッチパネルを触る指1本で全部こなす人もいますが、自分のスタイルに合わせて無理のない道具を揃えるのも、まあ仕事のうちです。
最大の「こだわり」、20年以上使っているPS/2ポートのキーボード
別に高価なものでなし、最新機種も一応は売り場でチェックしているものの、このACK210以上にシックリくるキーボードがない!
────一見地味キーボードの使い込みがすごいですね…よく使いそうなキーなんか、表面の文字が消えるのを通り越し、穴まで開いてるじゃないですか!
このキーボードが実は一番の「こだわり」ですね。
2000年頃だったか、知り合いが買い替えるというのでお下がりでもらったパソコンについてきた、中国製の「ACK210」というキーボードで、日本ではテクノボードジャパンという会社で販売していたWindowd95時代の代物です。
端子は今のキーボードみたいにUSBではなくPS/2という規格で、今のパソコンを12年前に組んだ時ですら「PS/2端子のあるマザーボードなんてイマドキありませんよ!」と呆れられましたが、私みたいなユーザー向けにPS/2アダプターがあるので、まだ使えます。
これが私の初パソコンであり、もちろん初キーボードなわけですが、それからもノートパソコンや勤め先のパソコン、今の仕事用でも予備機や出先の業務で使うためのキーボードと、いろんなものを使っても、このACK210に勝る製品に未だ出会っていません。
ちょっとしたことで本体ごとズレたりしない重量感…本体もキーも手頃なサイズで私の指先にマッチしており、何よりヘコヘコして安っぽくないキータッチ…ACK210は別に高級機ではありませんし、キー配置も何の変哲もない「ごく普通のキーボード」ですが。
工業製品として本当に偉大なのは、こういう「ものすごく質のいい”普通”」だと思います…自動車でいえば、トヨタのカローラだったり、今では伝説として語られる、メルセデス・ベンツのW190型(バブル時代に流行った、通称「小ベンツ」)のようなものでしょうか。
このキーボードがパソコンを覚えたての私にその楽しさを教え、仕事で使うようになったら気持ちを支える重要な道具となり、どれだけ酷使しても全く壊れませんし、たぶんこのキーボードが壊れた時は私のライター人生も…
────ハッ!なんかキーがひとつだけ斜めに?
あ、掃除するのにキーを外した時、「ESC」キーだけ根本からバキッと折れましたが、まだ使えます、大丈夫、壊れてません!(笑)
────文字が消えたり穴開いてるのはいいんですか?
ブラインドタッチさえできれば、文字なんて飾りですよ!偉い人にはわからんのです!(※)
(※「機動戦士ガンダム」終盤、乗れと言われたジオン最後のモビルスーツ「ジオング」が未完成で足がないと文句をつけたシャア・アズナブルに、名もなき整備士が言い放った名ゼリフ…多少の難があろうと使えるんだから問題なし!という開き直り)。
兵藤忠彦なりの「道具の選び方」
────最後にこれからのライター達へ向け、道具を選ぶ時の基準など?
そうですね…やっぱり「仕事」って考えた場合に一番大事なのはコストパフォーマンス、「それを使ってどれだけ稼げるか」を、一番大事にしないといけません。
これは単に「ケチって安いのを使え」という意味ではなく、「長く現役の第一線で使えるという見通しで使うものなら、むしろ金を惜しむな!」ということでもあります。
私の例で言えば、20年以上使っているキーボードみたいに「買うどころかむしろタダでもらったのに、思わぬ拾い物だった」でもいいんですが、パソコンなんかは逆に当時(2012年)としては高価な30万円以上を注ぎ込んだおかげで、まだまだ現役です。
自動車用を転用したビジネスチェアーも、改造費で3万円近くと安くはないですが、あと10年でも快適に使えますし、座るだけで嫌な椅子で仕事したいと思いませんから、稼ぎには少なからぬ影響を与えているでしょう。
最初は今あるものをそのまま使うで構いませんが、何か事情があって買い替える時には「安物買いの銭失い」だけは避けて長く使えるものを選ぶ、それが見つからなければ焦ってカッコつけない方がいい、とオススメします。
この記事を書いたライター
兵藤忠彦
失われた10年?30年?まあボチボチ気楽に生きましょうや!という1974年生まれの専業ライター。自動車関連が専門の中では珍しいダイハツ派で、過去に全日本ジムカーナへスポット参戦時はストーリアX4やリーザTR-ZZ、現在もソニカRSリミテッドが愛...