「ペルソナ」を「設定」するとは?

「ペルソナ」を「設定」するとは?

まずはおさらいしておきましょう。

ペルソナとは「この記事を読んでいるのはこんな人!」という仮想の読者のことです。

職業、性別、年齢、家族構成、趣味はどんなことか、今どんな悩みを抱えているのか…など、かなり具体的に定めるのが一般的でしょう。

例えば、わたしはMojiギルドのコラムを書くときには、以下のような人物を想像しながら書いていることが多いです。

名前:森 はなこ(ほんわかした女性っぽい名前なら何でも。笑)

性別:女性

年齢:30代半ば

住所:千葉県(チーバくんの顎あたり)

職業:専業主婦(子育て中のママさん)←前歴は小学校の先生

家族:夫と3歳の娘

学歴:私立大学の文系学部卒

興味:妊娠中にWebライターの仕事を始めたら楽しくなってきたのでもっと学びたい

悩み:ママ友には在宅でWebの仕事をしている人がいないので相談相手や仲間が欲しい

好き:ナチュラル系が好み。本当は白木のおもちゃとかたくさん買ってあげたいけど高いし汚れるしな…と迷いがち

田中(筆者のこと)をどう思っている?:結構年上の、バリバリやっている先輩ライター。正直ちょっと怖い。でも塾の先生をしているくらいだから言っていることは正しいかもしれないと思い、気になって見ている。

全部書き出していくとキリがないのでこの辺りでやめますが、概ねこのような方をイメージしながら書いています。

こういう具体的な読者像を決めるのが「ペルソナ設定」というわけです。

似たような言葉として「ターゲット」がありますが、こちらは「首都圏で働く20代の独身女性」とか「30代の子育て中のビジネスパーソン」のように、やや幅の広い意味合いを持ちます。

ペルソナを設定する意味やメリットは?

ペルソナを設定する意味やメリットは?

Webライティングの案件を受けていると「ペルソナを設定してください」と言われて、ときには特定のシートに記入したり、文章の形で提出したりすることがありますよね。

でも、実は「なんとなく」やっている方も多いのではないでしょうか。

ドキッとしましたか?

大丈夫です。わたしも初めのうちはそうでした。

というわけで、そもそもペルソナって何のために設定しているのかを整理してみましょう。

ちなみに一般論ベースで解説しようと思ってはいるものの、実際にはわたしの解釈が7割くらい含まれていると思われますのでご注意くださいね。

①読者の役に立つ記事を書きやすくなる

いきなり核心を突くような内容になってしまいますが、結局はこれに尽きると思っています。

Webメディアの記事には、必ず「誰かの役に立つ」という目的があります。「このメディアを信頼できると思った」「この記事を読んだら商品を買ってみたくなった」など、読者の行動や判断に影響を与えることが求められるのです。

しかし、ただテーマに沿って正しい情報を羅列しても、人に伝わる文章にはなりません。ではどうすれば「役に立つ記事」を書けるのでしょう?ここでペルソナが機能し始めます。

例えば「Webライターの仕事について」と言われても、何をどこまで書けばいいのか想像しづらいですよね。ではここに「育児中の在宅ワーカーママ」というペルソナ情報を追加してみましょう。「在宅ママのWebライター事情について」というテーマで記事の内容を考えてみてください。

  • 家事や育児のスキマ時間で効率的に書くコツ
  • クライアントとの納期調整のやり方
  • ママ友に仕事の話ができない寂しさへの対処法


このように、その人が本当に知りたいであろう情報が浮かび上がってきませんか?これこそが「役に立つ記事」を作るための第一歩になるのです。

②読者が共感しやすくなる

「ペルソナ設定をすることで読者が共感しやすくなる」というフレーズを目にした経験のあるライターさんは多いでしょう。

でも「どうしてひとりだけに向けて書いたら読者みんなが共感できるの?」って思いませんか?

これには2つの側面があります。まず、同じ状況にある人が共感しやすくなるという効果は想像しやすいでしょう。はなこさんに向けて書かれた文章を読んで、小さいお子さんのいるママさんが「それ、わかる!」と共感を抱くわけですね。あるいは男性でも「初心者Webライター」に当てはまっていれば、内容に共感できる可能性があります。

では、はなこさんと共通するプロフィールがない人は?

実はここにも共感の心理が働きます。具体的なキャラクターを想像できれば、人間はそのキャラクターの気持ちに寄り添いながら文章を読むことができるのです。例えばドラマや小説で、自分と異なる境遇のキャラクターの気持ちに共感して、一緒に喜んだり、悲しんだりした経験のある方は多いでしょう。

また、第三者目線で「気持ちを理解する」という作用も働きます。

  • 独身の20代男性が読んでも「なるほど、子育てしながらの仕事ってこんなに大変なんだな」と気づきを得られる
  • 50代のベテランライターも「私もに昔はこんな悩みがあったなぁ」と懐かしく思い出せる
  • 別の職種の人でも「時間管理の工夫って、どの仕事でも大切だな」と参考にできる


このように、ペルソナ設定が明確な文章であれば、同じ立場にいない人にも「共感」と「理解」という2つの側面から働きかけることが可能になるのです。

③読者に合わせた情報の取捨選択ができる

ペルソナ設定があることによって、その記事に必要な情報とそうでないものの区別をしやすくなります。

例えば「初心者向けWebライティング入門」というテーマで記事を書く場面を想像してみましょう。これだけではやや漠然としているので、何をどこまで説明すればいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。

しかし、ここに「はなこさん」というペルソナが加わると、方向性が見えやすくなります。

  • 忙しい育児の合間に作業をするためのコツを伝えたい
  • 複雑な内容はわかりやすく、たとえ話を用いて説明しよう
  • 働いていた頃の知見の活かし方も紹介しよう
  • 息抜きのコツやSNSで仲間を見つける方法も取り上げようかな
  • 独立してバリバリ稼ぎたい!という人ではないので厳しい表現は控えよう


このように、具体的な人物をイメージしながら書くことによって、その人特有の背景や悩みに応えるような情報まで盛り込めるのです。

さらに、実際に記事を書いている最中にも「あ、この説明も入れておいたほうがいいかな」「はなこさんなら、ここで具体例が欲しいと思うかも」といった細かい判断をしながら書けるかもしれません。

「この人の悩みを解決してあげたい」という気持ちを込めて書かれた記事こそが「質の高い」「役に立つ」記事であると、わたしは思います。

記事の質を高めるのは「わたしはアナタに記事を届けたい」という書き手の情熱だと思う

記事の質を高めるのは「わたしはアナタに記事を届けたい」という書き手の情熱だと思う

さて、ここまでペルソナ設定の重要性について説明してきました。なんとなくでも「そういうことなのね」と思っていただけたでしょうか?

ペルソナ設定は決してただの面倒な作業ではありません。わたしはむしろ良い記事を書きたいと思うのであれば必須の工程であるとすら考えています。たとえ架空の人物であっても「この人に届けたい」と思いながら書けば、その内容は確実に良いものになるでしょう。

さあ、次の記事を書くとき、あなたはどんな人に思いを届けますか?ぜひ考えてみてくださいね!

この記事を書いたライター

執筆者

歌耶子

副業Webライター。本業は国語をこよなく愛する塾講師です。文章を読むのも書くのも好き過ぎて、ライターの世界に足を踏み入れました。休日は夫が引くほど長時間PCに張り付いて文章を打ち続けています。実はかなりのゲーマーで、個人では趣味のゲ...

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