ライター業って自分との向き合いでもある

ライターの仕事って孤独を感じませんか。ひとりでパソコンに向かいキーボードをたたいていると、誰とも話さず時間が過ぎていきます。

気がつけば「こんな時間か」なんて思うときも多々あります。孤独であるがゆえに、自分と向き合わざるをえません。「今月の売上はいくらくらいになるか」「良い企画が思いつかない」など、自分との対話が繰り返されます。

この対話はまるで禅のようで、自分自身の好きなところや、嫌なところもあぶり出されてしまいます。書きたいテーマが企画で却下され、書きたくないテーマはPVが良いと言われて採用されると、複雑な気持ちになることもありました。

自分は何のためにライターになり、どんなライターになりたいのか、日々、自分との向き合いが続きます。

過去のネガティブな経験が執筆に活きた

過去のネガティブな経験が執筆に活きた

ただ、この自分との向き合いは決して無駄なものにはなりませんでした。

私は20年ほど前、会社員として働いていた際に、メンタルヘルスの不調で心療内科に通った時期がありました。当時の私は、ネガティブ思考で完璧主義だったので、悩みを抱えやすく、さらに悪化させてしまう傾向があったのです。

20年が経過し、この経験がライター業で活かされる日が訪れます。企業のメンタルヘルスに関する企画が採用され、社会保険労務士の先生を取材する機会をいただいたのです。

その先生は、ご自身もメンタルを病んだ経験をお持ちで、職場の心の健康に力を入れている方でした。私自身も同じ経験をしていたため、その先生と意気投合し、この取材以降も別の仕事でご一緒させていただくようになったのです。

ほかにも黒歴史とも言うべき私の過去は、ライター業によって「執筆作品」として供養されました。ライター業に出会っていなければ、ここまで自分の過去を受け入れられなかったかもしれません。

過去を受け入れたら今も楽になった

過去の自分を受け入れられるようになると、普段の生活にも変化が生じます。以前は、過去の失敗や恥ずかしい経験を思い出すたびに、自己嫌悪に陥っていましたが、記事にすることで、新たな視点で捉え直せるようになったのです。

失敗も恥ずかしい経験も、リアリティのある記事にするためのネタだと思えるようになりました。

さらに未来に対して不安を抱くときですら、「この経験が記事に活かされるだろう」と考えられるようになったのです。過去のネガティブな記憶も、未来に対する不安などの感情も、すべて記事にできると思うと、楽に捉えられるようになりました。

自分の人生を楽に捉えられるようになると、人に対して優しくなれる気がします。自分を許せた結果、人も許せるようになったのではないかと分析しています。

このように、過去を受け入れられたおかげで、現在の生活がより豊かで自由なものになりました。ライターとしての経験が、自己受容と個人的成長につながったのです。

人前で話す機会までいただけた

人前で話す機会までいただけた

先日、私がライターの仕事方法を学ぶために通っていたスクールにてプレゼンをする機会をいただきました。現在、スクールに通っている方や卒業生に向けた集まりで、20名ほどが参加する場でした。

これまでに、講師業として登壇したり、講話をしたりする機会があったので、人前で話をするのは得意にしています。ただ、何を話そうかと考えたときに、ライター業のおかげで自分を受け入れられた経験をテーマにしました。

「自己肯定感」や「自己受容」などをキーワードにしていたからか、話をした後の質問も、この手の内容が大半でした。

ライター業に取り組んだおかげで、今度は「話す」ことを通じて、人の役に立つ機会までいただけたわけです。ライター業に挑んでいる人に何かが届いていれば幸いです。

まとめ

近ごろでは「生成AIを使えば簡単にライターになれる」なんて広告を目にします。たしかに生成AIは便利で、ライティングに費やす時間を大幅に削減できるようになりました。将来的には、生成AIだけで完璧なSEO記事ができあがる時代が来るかもしれません。

だとしても、ライター業はそう簡単になくならないでしょう。私のように、読者の皆さんにも過去があり、その経験を文字にするのはあなたにしかできないですから。

生成AIに私の体験の文字化はできません。自分と向き合い、過去を受け入れた先には、あなたにしか表現できないライターの道が待っているのだと思います。

45歳の自分に「あの時、ライターを始めてくれてありがとう」と心から伝えたいなと思います。

この記事を書いたライター

執筆者

にのまえはじめ

パーソナルトレーナー、システムエンジニアなど複数の顔を持つ複業ライター。得意ジャンルはアニメ・漫画、ゲーム、特撮などのサブカルチャー、IT・システム開発関連、インタビュー記事など。クライアントからは「執筆速度の速さ」「斜め上の考...

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