基本的に副業がバレても法的な罰則はない
基本的に副業がバレたとしても法的な罰則はありません。
憲法の第22条1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有する」と定められています。
副業禁止というのは法律ではなく、会社側の都合で社内のルールとして定められているに過ぎないのです。
副業について会社の就業規則で定められていなければ、副業しているからといって処分されることはありません。
しかし副業禁止の会社で副業がバレた場合は、会社の就業規則に則ってペナルティが科せられる可能性があるので注意が必要です。
参考|日本国憲法第22条1項
ただし公務員は副業が原則禁止されている
法律で副業自体は禁止されていませんが、公務員に関しては国家公務員法や地方公務員法などの法律で副業は原則禁止されています。
一方で、公務員でも家業の手伝いや株式投資などは例外として認められており、さらに副業は勤務先との利害関係や事業内容などによっては認められる場合もあります。
最近では公務員も副業解禁の動きが進んでおり、実際に許可を得て副業している職員がいる神戸市や奈良県生駒市などの自治体も出てきました。
就業規則を破って副業した際に考えられる5つのペナルティ
就業規則を破って副業した際に考えられる主なペナルティとしては次の5つがあります。
程度 | ペナルティ | 内容 |
---|---|---|
1 | 戒告・けん責 | 口頭での注意や始末書の提出。 |
2 | 減給 | 会社の場合は最大10%、公務員の場合は最大20%の給与が減額される。 |
3 | 出勤停止 | 会社の場合は処分にふさわしい期間、公務員の場合は最大1年間の出勤停止。 出勤停止中の給与は発生しない。 |
4 | 降格 | 組織内でのポジションが下がる。 ポジションが下がることにより給与も下がる。 |
5 | 懲戒解雇 | 解雇される。 退職金の全額あるいは一部をもらえない可能性が高い。 |
口頭での注意や始末書の提出など比較的罰の程度が軽いものから、降格や懲戒解雇など処分が重いものもあります。
副業による会社への影響の度合いによって変わってくるでしょう。
会社が副業を禁止したい4つの理由
会社が副業を禁止したい理由としては次の4つが挙げられます。
- 社員の長時間労働を助長する可能性があるため
- 企業の情報漏えいのリスクを回避したいため
- 人材流出のきっかけを作りたくないため
- 副業先が競合の場合は利益相反につながるため
労働者の副業によって会社に悪影響を及ぼす可能性があるため、副業を禁止したいのです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①社員の長時間労働を助長する可能性があるため
会社が副業を禁止したい理由として、社員の長時間労働を助長する可能性があるためというのがあります。会社は社員の本業と副業を合わせた労働時間を週40時間以内にしなければならないからです。
労働基準法において、会社は労働者に対し休憩時間を除き1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならないと定められています。
もし社員の労働時間が1日8時間、週40時間を超えてしまった場合には副業側の会社から割増賃金が支払われます。このため会社は社員の労働時間を把握する必要があるのです。
しかし社員が副業をすると労働時間の把握・管理が難しくなり、長時間労働を助長する可能性が高くなります。
また長時間労働は業務効率や心身の健康の悪化につながります。会社としては従業員を守る目的もあり副業を禁止している場合も多いでしょう。
②企業の情報漏えいのリスクを回避したいため
会社が副業を禁止したい理由として、企業の情報漏えいのリスクを回避したいためというのがあります。
社員が副業することによって自社の機密情報が外部に漏れる危険性が高まるからです。
ノウハウや顧客情報などの機密情報が流出することは会社にとって大きな損害となります。
意図的ではなくとも、パソコンやUSBなどに保存していたデータが副業中いつの間にか外部に流出してしまうという可能性もあります。会社の信用や利益を守るために副業を禁止している場合も多いでしょう。
③人材流出のきっかけを作りたくないため
会社が副業を禁止したい理由として、人材流出のきっかけを作りたくないためというのがあります。社員が副業することは副業先への転職や独立など人材流出のきっかけになるからです。
せっかく手間ひまかけて育て上げた社員が辞めてしまうのは会社にとって大きなダメージとなります。
また、副業を禁止することで社員が他の仕事に気を取られず本業に専念できるため組織の生産性を維持できます。会社の組織体制や利益を守るために副業を禁止している場合も多いでしょう。
④副業先が競合の場合は利益相反につながるため
会社が副業を禁止したい理由として、副業先が競合の場合は利益相反につながるためというのがあります。
副業先が競合だった場合は、副業先が利益を出すことで本業の会社が損をするという状況をつくりかねないからです。
社員が自社で培ったノウハウをもとに競合で副業し成果を上げることは、会社にとっては大きな痛手となります。会社の利益を守るために副業を禁止している場合も多いでしょう。
副業がバレて解雇有効(クビ)となった判例
法律で副業自体が禁止されているわけではありませんが、副業が会社にバレて解雇が有効(クビ)となった判例もあります。
- 労務提供上の支障となる場合
- 競合により企業の利益を害する場合
それぞれについて見ていきましょう。
参考 厚生労働省|裁判例
労務提供上の支障となる場合
労務提供上の支障となると判断され解雇有効となった判例があります。キャバレーでの副業を毎日6時間行っていたためです。
副業が深夜に及ぶものでアルバイトの域を超えており、会社への労務提供に支障を来す可能性が高いと判断され解雇が有効とされました。
競合により企業の利益を害する場合
競合により企業の利益を害すると判断され解雇有効となった判例があります。
これは競合の取締役に就任したためです。競合の経営には直接関与していませんでしたが、企業の利益を害すると判断され解雇が有効とされました。
副業がバレてしまう要因
副業がバレてしまう要因として主に次の2つがあります。
- 税金や保険料の変化
- 副業しているところを見られる
税金や保険料の変化
税金や保険料に変化があると、会社に副業がバレてしまいます。バレやすいのは住民税と社会保険料です。
住民税は前年の所得をもとに計算され、所得が多いほど住民税の金額も上がります。社会保険料は副業先の会社でも加入しなければならず、勤務先ごとに社会保険料が割り振られるようになっています。
本業での所得に対して住民税の金額が高くなっていたり、社会保険料に変化があったりすると経理担当者に気づかれ、会社にバレてしまうでしょう。
副業しているところを見られる
副業しているところを見られて副業がバレてしまうこともあります。
仲の良い上司や同僚なら黙っていてくれるかもしれませんが、社内で噂になり会社に副業がバレてしまう可能性も大いにあります。
副業がバレて会社とトラブルになったときの対処法
副業がバレて会社とトラブルになったときの対処法として次の3つがあります。
- 会社と交渉を行う
- 弁護士に相談する
- 労働審判や裁判で処分について争う
それぞれについて見ていきましょう。
会社と交渉を行う
副業がバレたときには、まず会社と交渉を行いましょう。
副業をしている理由や、あくまで本業がメインで副業は片手間にやっていることなどを説明することで、トラブルを解決できる可能性があります。交渉次第ではお互いの主張の折り合いがつかず、さらにこじれてしまう可能性もあるので注意が必要です。
慎重に交渉するようにしましょう。
弁護士に相談する
交渉が行き詰った場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士は法律のプロのため、会社からの対応が妥当であるか判断し代理人として交渉してくれます。会社との交渉をスムーズに進めたいと考えている場合も弁護士に相談すると良いでしょう。
労働審判や裁判で処分について争う
会社との交渉の末、納得できない結論に至った場合は労働審判や裁判で処分について争うことになります。労働審判は、会社と労働者間のトラブルを解決に導くための制度です。
スムーズに進めるためには専門的な知識が必要になるため、代理人として弁護士を立てることをおすすめします。
また、労働審判をせずに裁判を起こすこともできますが、労働審判より時間とお金の両方においてコストがかかります。まずは労働審判で争い、解決しなかった場合に裁判を起こすというのが無難でしょう。
副業がバレる前に会社に相談するようにしよう
副業は法律で禁止されているわけではありませんが、さまざまな理由から会社のルールとして就業規則で禁止されている場合があります。
副業の内容によっては懲戒処分を受ける可能性もあるため、副業をする際はバレる前に会社に相談するようにしましょう。
この記事を書いたライター
Mojiギルド編集部
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