取材に大切なのは何事にも動じない心構え
取材で大切なのは、何事にも動じない心構えです。何かあるたびにへこんだり、落ち込んだりしていては、取材ライターにはなれません。
ライターが取材をこわがる理由に「取材対象者やクライアントから受けた注意やお叱りの言葉」があります。「ちゃんと勉強してきてよ」「もっとうまく進行して」などと言われ、これらがトラウマとなり、取材がこわくなってしまうのです。
しかし、取材での注意やお叱りは、実はよくあるもの。萎縮したり、オドオドしたりせず、プロとして毅然とした態度で対応します。
注意やお叱り自体は真摯に受け止め、次に活かせるようブラッシュアップしつつ、動じないハートを作りましょう。
事前準備が肝!取材準備のポイント
ここからは、取材のポイントを時系列で紹介します。まずは「準備が取材を制する」と言っても過言ではないほど大切な準備についてです。重要な取材準備のポイントを3つ紹介します。
取材の流れを押さえておく
そもそも、取材の流れがわかっていなければ話になりません。大まかな流れは、以下のとおりです。
企画→アポイントメント→準備→取材→原稿の執筆や写真の選定→初稿の提出→校正→修正→取材先による原稿確認→再稿を提出
企画から携わったり、取材自体は行わず取材の音源を聞いて原稿を執筆したりと、案件によってライターの関わり方はさまざまです。なお、この記事は、ライターが取材を行う前提で書いています。
持ち物や服を用意する
取材時に必要なのは、取材を記録する録音機器やメモ帳・カメラです。メモを取るのに必死になると、大切な話を聞き逃したり相手が不快になったりする場合もあります。レコーダーで録音し、メモ帳を補助的に使用するのがおすすめです。
そのほかには、企画を説明するための企画書や名刺なども用意します。
また、服装は取材先に合ったものを選びましょう。スーツが一般的ですが、企業や工場・畑など、取材先は多岐にわたります。動きやすさや素材などに配慮し、取材先に馴染む服装を選ぶのがおすすめです。
リサーチし質問を考える
取材での的を得た質問をするには、丁寧なリサーチが欠かせません。
リサーチ内容は、取材対象だけではなく、業界の事情や専門用語・SNS・周辺情報などさまざまです。リサーチ内容に基づいて、取材対象の魅力を引き出せそうな質問を考えます。
何をリサーチすれば良いか、どんな質問を作れば良いかわからない方は、取材目的の理解からはじめましょう。目的がわかると、自ずとリサーチ内容や質問を導き出せます。
しかし、準備通りにいかないのが取材です。咄嗟に機転を利かせるためにも、取材目的の把握やリサーチ・質問の作成を十分にしておく必要があります。
ここが腕の見せどころ!取材時のポイント
事前準備をしっかりと行ったら、いよいよ取材本番。緊張する場面ですが、良い現場となるかどうかは、ライター次第です。
ここでは、取材時はもちろん、その後の対応までのポイントを3つ紹介します。
アイスブレイクで空気を和らげる
取材にアイスブレイクは欠かせません。話しやすい雰囲気は、情報を引き出しやすくさせるのです。緊張している取材対象者は少なくなく、ライターが雰囲気作りを担えば、取材も流れを作りやすくなります。
内容は、天気や取材現場までの道のりなど、誰もが話せる話題がおすすめです。また、手土産も話のきっかけとなります。取材対象者の好みのものや自分の地元の名産など、話が膨らむような手土産があっても良いでしょう。
場の主導権をにぎる
ライターが場の主導権をにぎるのは重要です。ライターが主導権を持っていないと、限られた時間内に必要な情報を引き出せません。
情報に漏れがあった場合、改めて話を聞きにいったり、誰でも書けるような完成度の低い記事になったりします。相手の話を掘り下げ、ときには自分の話を盛り込みながら取材を進めましょう。
場の雰囲気作りや柔軟な進行などのためにも、ライターが主導権をにぎるようにします。
取材後は、今後につながるような行動を取る
取材後は、原稿を執筆して終わりではありません。取材後の行動で、自分の今後が変わります。
まず大切なのは、取材の振り返りです。録音した音源を聞き、学びや反省点を考え、次に活かせるようにします。カメラマンや取材対象者・クライアントなど、その場にいた方に「今回の取材はどうでしたか?」と、感想などを聞くのも客観的な意見が聞けておすすめです。
また、今後につながる可能性もあるため、取材先へお礼の連絡をしたり、紙媒体であれば掲載物、Webメディアであれば公開された記事のURLを送ったりして、関係作りを行いましょう。
失敗は成功の母!私の挫折エピソード
仕事の幅を広げたくて、なんとなく取材案件に取り組むことになった当時の筆者。初めての取材案件で、大きな挫折を味わいました。
自分なりに事前準備を行い、意気揚々と本番に挑んだものの結果は撃沈…。緊張で頭が真っ白になり、話の深堀りはおろか、自分がしゃべりまくり、自分で話を脱線させてしまったのです。
欲しい情報はもちろん取れず、クライアントからは「取材対象者に話をさせて」と叱られ、取材後の原稿は最低の完成度。かなり落ち込み「もう取材なんてやるもんか」と心に誓いました。
今思えば、あの頃の自分は「話を聞いて掘り下げるだけ」が取材だと思っていたのです。また、取材目的すらもわかっておらず、本番で話を展開できなかったのも原因でしょう。
そんな挫折を経験した筆者が、再び取材に挑むようになったのは、ある方から叱咤激励を受けたからです。筆者の背中を押した言葉をここに記します。
「取材で緊張するのは、上手にやろうと思っているからで自分をよく見せようとしている証拠。注意されても怒鳴られても、取材目的を達成するために行動するのが、ライターの仕事だ」
この言葉をいただき、取材ではなく自分にフォーカスを当てていたと気がつきました。相当落ち込んだ出来事ではありましたが、あの失敗がなければ今の自分はいないでしょう。
どんどん取材に挑戦して、仕事の幅を広げよう
思い通りにならなかったり、注意やお叱りを受けたりすると、誰でもやりたくなくなってしまうものです。しかし、取材ではよくあることだと割り切り、取材の目的や心構え・ポイントを押さえ、どんどん挑戦すれば何事にも動じないハートが育ち、取材も上達していきます。
取材ができるようになると、ライターの仕事の幅もグッと広がります。そのためにも場数を踏み、取材目的を達成できるライターになりましょう。
この記事を書いたライター
竹野はる
猫と運動と家が好きな一児の母。20年近く携わった福祉畑から飛び出して、専業ライターとして活動しています。これまでの経歴から、社会的養護や介護・障害など福祉系全般を中心に、その他のジャンルも幅広く執筆し取材やインタビューにも対応。...