プロジェクトマネジメントとは?
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクト憲章で定められたプロジェクトの目的・前提条件・制約条件・スケジュール・予算などに基づき、開発プロジェクトを発足しプロジェクト管理を行っていく業務です。
プロマネの業務を標準化し、体系立てて整理したガイドブックとして「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」があります。米国の一般社団法人であるPMI(Project Management Institute:米国プロジェクトマネジメント協会)で策定されたガイドブックであり、プロマネの教科書として有名です。
PMBOKによると、プロマネの業務は以下の10種類があると規定されています。
プロマネ業務 | 業務概要 |
---|---|
①プロジェクト統合マネジメント | プロジェクト発足~終結までプロジェクト全体をコントロール |
②プロジェクト・スコープ・マネジメント | プロジェクトでの開発対象範囲を顧客と合意し、遵守 |
③プロジェクト・スケジュール・マネジメント | プロジェクトがスケジュール通りに進捗するようコントール |
④プロジェクト・コスト・マネジメント | プロジェクトが当初のコストに収まるようにコントロール |
⑤プロジェクト品質マネジメント | プロジェクトの成果物の品質を担保 |
⑥プロジェクト資源マネジメント | プロジェクトメンバーのアサイン・育成・マネジメント |
⑦プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント | プロジェクト内外の情報共有・情報交換をコントロール |
⑧プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント | プロジェクト内外の利害関係者(ステークホルダー)の利害調整 |
⑨プロジェクト・リスク・マネジメント | プロジェクトに発生しうるリスクの洗い出し・対応策の検討推進 |
⑩プロジェクト調達マネジメント | プロジェクト推進のために必要な物の購入調達をコントロール |
システム開発プロジェクトのミッションとしては、「あらかじめ規定されたシステム機能を、所定のスケジュール内に、要求された品質のものを、コスト内で開発」することです。
ライターチームのミッションに言い換えると、「クライアントから受注した記事を、所定のスケジュール内に、クライアントから要求されたクオリティで、決められたコスト内で納品」することです。
システム開発プロジェクトの目的を勘案すると、以下の4種類のプロマネ業務が特に重要となります。この4点はライターチームのマネジメントにおいても、重要な業務であるため、実例を踏まえてポイントの紹介をします。
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・スケジュール・マネジメント
- プロジェクト・コスト・マネジメント
- プロジェクト品質マネジメント
プロマネ業務推進のポイント
ここでは、前述の4つのプロマネ業務について、円滑に推進するためのポイントをそれぞれ紹介します。
プロジェクト・スコープ・マネジメント
開発プロジェクトのスコープとは、システム開発対象範囲のことであり、プロジェクト発足前に顧客と合意しておくべき重要なタスクです。
プロジェクトのスコープにより、工数・スケジュール・コストなどが決定されます。スコープを曖昧なままにしておくと、開発プロジェクト推進中にさまざまな問題が発生するリスクがあります。
代表的な実例としては、システム開発プロジェクト発足前にスコープが曖昧であったため、システム開発中に、顧客からシステム機能の追加を要求されることがありました。
スコープが不明瞭な場合には、顧客からの要求を飲まざるを得なくなる可能性があり、その結果、スケジュールの遅延や開発要員不足を招き、円滑なプロジェクト推進が行えないリスクが高まります。
ライターチームによる記事の執筆においても、スコープをクライアントと合意しておくことは非常に重要なことです。ライティング業務においては、どんな目的で記事を執筆するのか、読者は誰を想定し、記事を読むことでクライアントは何を訴求したいのかといった点が当てはまるでしょう。
ライティング前に、上記のポイントについてクライアントと合意していないと、クライアントのニーズに反する記事を執筆する可能性が発生し、クライアントから差し戻しを受け、その修正のために多くの要員と時間が費やされてしまいます。
その結果、ライティングスケジュールの遅延や、ライターのリソース不足などを招く恐れがあります。
プロジェクト・スケジュール・マネジメント
プロジェクトの進捗については、常に最新の状況を把握しておく必要があります。
特に進捗が遅延を来している場合には、遅延日数・遅延対象の担当者・遅延理由などの情報を適宜正確に収集し、把握することが重要です。そして、これらの情報をベースにスケジュールの差し替えや、担当者の変更・作業順番の変更などの対策を打つ必要があります。
一度、プロジェクトの進捗が遅延してしまうと、その状態をリカバリするには多大な労力がかかるため、さらに進捗が遅延してしまうということが往々にしてあります。そのため、大きな遅延となる前に、早めに対策を打っておくべきです。
ライティングの世界でも同じことがいえます。ライターチーム内の各人の進捗状況は常に把握しておく必要があります。進捗に遅れを来しそうな場合には、遅延の原因・日数・担当者などの情報を正確に収集し、スケジュールのリスケや執筆担当者の変更・執筆順番の変更・ライターの要員追加などの対策を打つ必要があります。
システム開発と同様に、ライティングであってもチームの進捗が遅延すると、そのリカバリには多くの労力とコストがかかってしまいます。そのため、遅延が拡大する前に早めの対策を打つことが求められます。
プロジェクト・コスト・マネジメント
当然のことながら、プロジェクトのコストを当初の予算枠内で収めることは大変重要なことです。成果物の品質が悪く製作がやり直しとなったり、開発スケジュールが遅延しそうになったため、追加で要員を投入したりする場合にはコスト増となってしまいます。
そのため、スケジュール・品質のマネジメントと連携して、コストのマネジメントも行っていくことが重要です。
コストが超過しそうな場合には、要因が顧客側にある場合は追加予算の請求を行わなければなりませんし、要因が開発プロジェクト側にある場合には、顧客との追加予算折衝や自社からの費用持ち出しなどを検討する必要があります。
ライターチームのマネジメントにおいても、コストのマネジメントは必要不可欠です。執筆記事のクォリティが低く記事の書き直しが発生したり、執筆スケジュールが遅延しそうなときには、ライターの追加投入が発生しコスト増となってしまいます。
スケジュール・品質のマネジメントと連携して、コストのマネジメントを行い、当初の予算をコストが超過しそうな場合には、クライアントに追加予算の請求を行ったり、場合によっては自腹を切らざるを得ないこともありえます。
プロジェクト品質マネジメント
品質のマネジメントも重要なプロマネ業務の1つです。具体的には、どのように品質を担保するのかその方法や定量的な基準などをあらかじめ決めておき、プロジェクト推進中に遵守することが重要となります。
品質マネジメントが重要な理由としては、品質が悪く不具合が内包されているシステムを顧客に納品し、実際に利用してトラブルが発生した場合に、顧客側に重大な影響を及ぼし社会的信用を失墜させてしまう可能性があるためです。
特に、金融機関・インフラ・輸送機関・官公庁のシステムなどは、トラブルによってシステムが利用できなくなったり、誤作動を起こしてしまったりすると、社会に対して甚大な影響を与えかねません。
ライティングにおいても品質マネジメントは、プロマネの重要な業務の一つです。例えば、クライアントから提示されたレギュレーションが遵守されていなかったり、誤字脱字があったり、ファクトチェックが行われていなかったり、不適切な表現を用いた記事をクライアントに納品し、公開してしまった場合にはクライアントの社会的信用も失墜する恐れがあります。
まとめ
本記事では、ライターチームのリーダーを初めて担当する方を対象に、システム開発プロジェクトのプロマネの仕事と比較しつつ、チームマネージメントの基本について紹介してきました。
チームマネージメントの業務は多岐にわたり、特に「スコープ」「スケジュール」「コスト」「品質」のマネジメントが大切ということがわかったのではないでしょうか。
これから初めてチームマネジメントを担当される方は、本記事を参考にしてチーム運営を推進することをおすすめします。
この記事を書いたライター
ていえむ
思うところがあり長年勤めたIT企業を退職し、現在はフリーランスのWebライターとして活動中。得意ジャンルは、金融・国内旅行・ペット・IT関連など。私生活では、愛犬(コーギー)とのんびり過ごしたり、お出かけすることが大好きです。