自分の文章を読んでも魅力を感じられない
Webライターの執筆業務では、読者の感情を動かす文章が求められます。情報だけを端的に伝えるのではなく、読者が期待する未来を先読みするような文章です。
感情を動かす文章執筆は「ベネフィットライティング」と呼ばれています。例えば「ドリルを買うお客さんは、ドリルが欲しいのではなく、ドリルであけた穴がほしいのである」という考え方は、ベネフィットライティングのよくある例です。
もちろん、私自身もベネフィットライティングの重要性を理解しているつもりでした。しかし、どうしても自分が書いた記事を読むと、淡々と解説している印象が強く残ります。
自分の書いた記事が「本当に読者の感情を動かせるのか?」と不安を感じてしまいました。
コラムに挑戦したきっかけ
「コラムを書いてみよう」と考えたきっかけは、私自身が参加しているライターコミュニティの企画に参加したこと。毎月のテーマに沿って「自由にコラムを書いてみよう」といった企画です。
2024年にWebライター5年目を迎えた私は、コラムを書いた経験がありませんでした。指定のキーワードでリサーチした情報をもとに執筆するSEO記事やブログ記事は、どちらかといえば客観的な事実がベースです。
しかし、コラムは筆者自身の見解や経験をもとに執筆します。同じテーマでも書く人によって内容がガラリと変わることもあり、どちらかといえば主観的な考えや経験談がベースです。
つまり、コラムのテーマが決まっていても、執筆する内容は人それぞれです。例えば「あなたの人生に欠かせないアイテムは?」の共通テーマでコラムを書いても、人によって選ぶ題材が異なります。
挑戦して気づいたコラムの難しさ
コラム企画に挑戦してみて、自分の想いを伝えることの難しさを感じました。
というのも、SEO記事の読者は、検索意図に対する結論を求めて記事を読みます。そのため、結論をわかりやすく伝える文章を執筆すべきです。
しかし、コラムの読者は、基本的に記事の結論を求めていません。「今回は何を書いたのかな?」と期待しながら、コラムを楽しんだり、内容に共感したりします。
つまり、文章で読者の感情を揺さぶらないと、コラムの内容に満足してもらえません。淡々と情報を解説するような文章ではなく、自分の考えや想いを伝えるような文章が求められます。
過去の執筆業務で解説ばかりしてきた私にとって、コラムは書き方から学びなおすほどの難しさがありました。
コラムを書いて気づいた「感情を動かす文章」
コラムに挑戦して気づいたことがあります。文章で読者の感情を動かすためには、筆者自身も感情を込めて書く意識が必要でした。
相手の熱意や想いが言葉から伝わると、受け手である自分の感情は自然と動かされます。とくに対面のコミュニケーションでは、言葉に素直な感情を込めて話し合うこともあるはずです。
では、文章で熱意を伝えるには、どのような工夫をすればよいのでしょうか?個人的にコラムを書いて実感した2つのポイントを紹介します。
- リアルな体験談を伝える
- 自己開示をする
リアルな体験談を伝える
私がコミュニティの「コラムの感想を伝えあう会」に参加したときのこと。参加者のコラムを読んでいると、いつの間にか自分の過去や経験に置き換えて読み進めていました。
とある参加者さんのコラムを読んだときには、学生時代の自分と姿を重ねて涙を流したほどです。「読みながら感情移入しちゃいました」なんて感想を伝えていたときに、まるで自分のことのように感じてしまう実体験だからこそ読者の感情に響くのだと実感しました。
参加者さんの特別な実績や優れた文章力に惹かれたわけではありません。素直な思いを綴った文章を読み、自然に感情移入していました。
感情を動かす文章に必要なことは、スキルではなく筆者から伝わる想いや「自分自身と重なるようなリアルな体験談」であると考えさせられる経験でした。
自己開示をする
noteにコラムを書くと、アクセス数やリアクション(いいね)などの反応を確認できます。反応の多い・少ないに差はありますが、全体的によい反応を得られるのは自己開示しているコラムです。
自己開示とは、ありのままの自分をさらけ出すことです。過去の失敗や自分の弱さを素直な感情で発信すると、同じ経験をもつ読者から共感してもらえます。
「自分をさらけ出す」と聞くと、弱さを見せるようなネガティブな印象があるかもしれません。しかし、実際はネガティブ・ポジティブのどちらを発信しても問題ありません。
人の経験はさまざまであり、喜怒哀楽の感情に訴えかける文章が求められます。だからこそ、自分自身の経験談を背伸びせずに伝える文章のほうが、読者が自分事として共感できるはずです。
コラムに挑戦するメリット
コラムを書くメリットは、読者の感情を動かす文章表現力が身につくことです。とくに以下の気づきにつながったので、個人的に「コラムに挑戦してよかった」と実感しています。
- 読者に伝える力が向上した
- 自分の文章に魅力を感じられた
読者に伝える力が向上した
コラムを書くことで、筆者自身の体験や思いを「伝える力」が鍛えられます。読者の感情を動かすためには、筆者自身も感情を込めて伝える意識が必要です。
SEO記事では、文章のわかりやすさや読みやすさが求められます。しかし、コラムでは読者に「伝えたいこと」「共感してほしいこと」を、より深く考え、整理する力が必要です。
その積み重ねによって「どうすれば読者の心に響くか」を考える習慣が身につきます。筆者自身も感情を込めて文章を執筆すべきであり、それが読者に伝わるからこそ共感を得られるはずです。
自分の文章に魅力を感じられた
感情を動かす文章には「ベネフィットライティング」が用いられています。しかし、ベネフィットライティングは、あくまでも読者の行動を後押しするテクニックです。
読者の感情を動かすような熱量や共感を得るのは、対面のコミュニケーションですら難しさを感じます。文章であれば、なおさら小手先のテクニックで解決できるほど単純ではありません。
私自身はコラムに挑戦したことで、ようやく熱量のある文章を書くコツがつかめました。コツをつかむための練習には、自分自身の考えや想いを伝えるコラムが適しています。
コラムに挑戦して魅力のある文章を書いてみよう!
今回は、私自身の経験をもとに「コラムを書く魅力やメリット」を紹介してみました。個人ブログやnoteを運営しているWebライターさんは、自分自身の想いを発信するコラムに挑戦してほしいと思っています。
とはいえ、Webライターの執筆案件は「SEO記事」が主流です。SEO記事にコラムのような文章を書くイメージは、思い浮かびにくいかもしれません。
しかし、生成AIの普及により「体験談ベース」のSEO記事が重要視されています。自分自身の体験談・他者の体験談のいずれを書くにしても、読者は熱量や感情が伝わる文章に魅力を感じるはずです。
もし、自分の書いた文章に「魅力を感じない」と悩んでいる方がいたら、ぜひ練習も兼ねてコラムに挑戦してみませんか?
この記事を書いたライター
taku
愛知県在住のフリーランス。SEOから取材記事まで幅広く対応するライターです。執筆業務をとおして「人や社会の役に立つ」をモットーに活動しています。水族館で生き物を見たり、ボーっとしたりするのが好き。たまに海の中に潜ります。