衝撃を与えたあの発表から10年
2013年に「アメリカ人の仕事の47%はAIやロボットに代替可能だ」という論文が、オックスフォード大学マイケル A.オズボーン教授(当時 准教授)らによって発表されました。
2015年12月には、株式会社野村総合研究所との共同研究により、10〜20年後、つまり2025〜2035年に日本国内の職業の49%がAIやロボット等に代替される可能性を予測しました。
※参考:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に
このニュース、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。10年近く経ってAIが進歩した今、スーパーのレジ係やコールセンターのオペレーターはすでに自動化が進んでいます。ほかにも、作業手順が決まっている業務やデータ分析など、AIによってかなり効率化が進みました。
昨年のインタビュー記事で、マイケル A.オズボーン教授は「今後、さらなるブレークスルーが起きる可能性はありますが、少なくとも今見通せる範囲の将来においては、人間の立場は安全だ」と述べています。
※引用:生成AIブームはこの後どうなる?オックスフォード大のオズボーン氏が語る将来 | 日経クロステック(xTECH)
AIが仕事に与える影響についてはさまざまな議論がなされているものの、具体的な数値や数量による分析はあまりありません。そのなかで、2023年のゴールドマン・サックスの調査を元にした結果によると、アメリカの場合のAIによる自動化比率が30%以上の業務には以下のものが挙げられます。
- 事務・管理職 46%
- 法務 44%
- 建築、エンジニアリング 37%
- 生物、物理、社会科学 36%
- 金融業務 35%
- 地域・社会サービス 33%
- 経営 32%
- 販売 31%
※参考:日本は生成AI本格導入すれば「失業率25%」になる(東洋経済オンライン)
では、ライターの仕事はどうなるのでしょうか?AIによって、ライターの仕事のほとんどが自動化される可能性は十分に考えられます。定型的なフォーマットで書かれる文章は、AIによってあっという間に生成できます。
しかし、今のところすべてのライターの仕事がAIに奪われるわけではありません!
AIができないこと:創造性と共感力
AIは、大量のデータから学習して文章を生成します。しかし、人間の創造性や共感力を必要とする文章は、まだAIには難しいような気がします。
創造力とは、既存の枠にとらわれず新しいアイデアを生み出す力。AIは過去のデータに基づいて文章を生成するため、創造的な文章を生み出すのは難しいのかもしれません。
共感力とは、相手の気持ちに寄り添い理解する力。AIが真の意味で人間の感情を理解できているとは思いません。表情や声のトーンから感情を読み取るなどの非言語コミュニケーションができないのだから、共感に基づいた文章も当然ながら生み出せないと思います。
以下のような文章は、AIには生成できない可能性が高いでしょう。
- 独創的なアイデアや視点に基づいた文章
- 感覚的な経験に基づいた文章
- 読者の感情に訴えるような文章
- 複雑な人間関係や社会問題などのテーマを扱った文章
AIは膨大なデータから知識を得ることができます。しかし、人生経験や知恵は持ち合わせていません。これらの文章は、ライター自身の経験や知識、そして人間としての感性がなければ書けないのではないでしょうか。
人の感情を動かす文章を生み出せるのは、人間にしかできないこと。AIが進化し続ける未来においても、人の気持ちを汲んだりクリエイティブな作業をしたりする仕事が全部消えてしまうとは、私は思いません。
ライターの将来:スキルアップの重要性
AI技術が進歩すればするほど、ライターの仕事にも大きな影響を与えるのは確かです。そのうえで「AIを使いこなすスキル」と「AIでは代替できない能力」を身につければ、最強のライターになれるはず!
- AIツールの機能を理解する
- 明確で具体的なプロンプトを与える
- AIツールが出力した結果を分析する
これらのスキルを磨きAIを効果的に活用すれば、ライターは質の高い文章を生み出せるようになるでしょう。
- 新しいアイデアを生み出す創造性
- 読者の気持ちに寄り添う共感力
- 情報の正確性の裏付けし、社会的な責任を果たす倫理観
これらの能力は、AI技術の進歩によってますます重要になるのではないでしょうか。人間ならではの強みがあれば、AIに潰されることはありません。自ら考え行動したり相手の感情を汲み取ったり、人生経験を積むことでAIでは代替できない能力が身につくと思います。
AIと仲良く共存できるライターを目指そう!
ChatGPTが登場してから、ライターにとってAIの利用は身近になりました。執筆時間の短縮などのメリットがあり、今ではほとんどのライターがAIライティングツールを使っています。しかし、専門性が求められるコンテンツ作成には向いていなかったり、不自然な文章になる可能性もあるので注意が必要でしょう。
私は、仕事の効率化につながるのであれば積極的にツールは使うべきだと思います。思考が固まって、いい考えが浮かばないときは相談相手になってくれますよね。自分で考える能力が衰えるのは嫌なので、AIに助けてもらい共存するのが理想です。
「AIさん、取材は任せられないけれど文字起こしはお願い!」とか「ユーザーの検索意図を満たす構成を考えて!」みたいな感じで(笑)。
AIとの競争ではなく共存が大切だと思いつつも、いつかAIが意識を持ったらそのときは本当にライターの仕事は奪われるのかも⁉︎
この記事を書いたライター
わたなべ
Webライター&ディレクター。オンライン学習塾のコラムや起業家さまのブログ執筆を中心に活動中。子育てに思い悩む日々を過ごしながらも「自分の人生は自分のもの」と気づきライターの道へ。コーヒーとチョコレートと自分の時間をこよなく愛する...