結論!生成AIはライターの仕事を奪えない

結論!生成AIはライターの仕事を奪えない

先に結論から述べたいと思います。生成AIがライターの仕事を完全に奪うことは、難しいと考えます

内閣府が2024年7月に発表した資料「AIで変わる労働市場」によると、著述家はAIによって代替性の高い職業として示されてます。ライターも著述家の一種なので、そう考えるとAIによってとって代わる仕事だと思うかもしれません。

AIを活用したライター講座を受講する人のなかには、生成AIから出力された文章を、そのままクライアントに提出すればよいと考えている人もいます。「どのようなプロンプトを作れば、一発で想定した文章ができますか?」という質問もよく耳にします。

この質問がでてくるということは、現時点の生成AIでは合格点のテキストが出力できないということでしょう。私が指導に関わっているライター講座でも、生成AIが出力したテキストをそのまま提出することは推奨していません。生成AIが出力したテキストを推敲したうえで、完成させなければならないのです。

ライターにとって、生成AIとは自分の仕事を奪う敵ではなく、完成度の高いテキストを書くための相棒と考えたほうがよさそうです。

生成AIがライターの仕事を奪えない3つの理由

生成AIがライターの仕事を奪えない3つの理由

私は、生成AIを相棒としてライター業をしていますが、以下の3つの理由から、ライターの仕事を生成AIが奪うことはないな、と感じています。

理由1:情報に正確性や信頼性が担保されていない

私はプロレスが好きです。一度、好きなプロレスラーに関するコラム記事を書こうとして、生成AIに手伝ってもらいました。すると生成AIから返ってきた内容に、不正確な部分が含まれていたのです。生成AIによって出力された文章には、そのレスラーの親が全く別の人物に書かれていました。

さすがに、この部分が不正確だと文章全体の信頼性が高いとはいえません。出力された文章をもとに、自分で多くの修正が必要となりました。

今回は私が詳しいプロレスが対象だったのですぐにおかしな点に気がつきましたが、知見のない内容だとどうなっていたでしょう。結局ファクトチェックに時間がかかってしまい、生成AIを使うメリットが得られなかったかもしれません。

理由2:独自の視点と創造性を盛り込みにくい

クライアントがライターに依頼をする理由のひとつに、そのライター独自の視点や、創造性があるでしょう。以前、私に依頼する理由をクライアントに聞いた際「独自の視点で執筆してくれる」と評価いただいたことがあります。

生成AIによって出力されたテキストは、既存のデータに基づいて生成されるため、独自の視点や創造性を持ち合わせていません

夏目漱石が「I love you」の日本語訳を「月が綺麗ですね」と表現しましたが、生成AIにこのような翻訳は難しいでしょう。

理由3:複雑なコミュニケーションは難しい

ライターの仕事は、ただ与えられたお題に応える文章を書くだけではありません。取材記事では取材相手から話を引き出し、本人も気づいていなかった内容を文章化することだってあります。もちろん読者層を想定して、絶妙なニュアンスでの表現を求められることもあるでしょう。

生成AIができるコミュニケーションは、基本的な内容が多く、その人特有のニュアンスを理解したり、状況に応じた臨機応変の対応はまだ難しいです。複雑なコミュニケーションが必要な場面では、まだまだライターの価値は十分にあるでしょう。

生成AIが進化していくなかライターは何を磨くべきか

生成AIが進化していくなかライターは何を磨くべきか

ここまで生成AIがライターの仕事を奪えない理由を述べましたが、将来的にどうなるかはわかりません。日々進化する生成AIなので、いつか上記の課題をクリアしたサービスが登場する日が来るでしょう。

とはいえ、どれだけAIが進化したとしても、これだけは無理だろうというものがあります。それがコミュニケーション能力、特に「聞く」という点です。

生成AIはあくまでもこちらが指示をしない限り、返答してくれません。実際に下記のプロンプトを実行してみました。

「あなたは優秀なコーチです。目の前の選手がやる気を失っています。
彼のやる気を引き出すために、効果的な質問をしてください」

その返答が画像の内容でした。

とても人間とコミュニケーションをしているようなやり取りではありませんね。もし、あなたが「聞く」力を磨いて、良質なコミュニケーションができれば、クライアントは好印象を抱くのではないでしょうか

まとめ

生成AIはライターの仕事を奪うのか?という疑問に対して、AIライター講座のサポートをしている私が、現場で感じていることをもとにまとめました。

生成AIがライターの仕事を奪うわけではありませんが、これまで通りの働き方をしていれば、仕事を奪われてしまうでしょう。もしかしたらライターの仕事を奪うのは、生成AIではなく、生成AIを使いこなしているライターなのかもしれません。

もし、あなたがこれからもライターとして活動するのであれば、生成AIを相棒とし、生成AIにはできないコミュニケーション能力を磨いていくことをおすすめします。

生成AIの進化に悲観せず、むしろチャンスが広がると思って、うまく付き合ってみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

執筆者

にのまえはじめ

パーソナルトレーナー、システムエンジニアなど複数の顔を持つ複業ライター。得意ジャンルはアニメ・漫画、ゲーム、特撮などのサブカルチャー、IT・システム開発関連、インタビュー記事など。クライアントからは「執筆速度の速さ」「斜め上の考...

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