幸せの価値観を見つけた30代
ーーまずご経歴からお伺いしたいのですが、大学院に7年いらっしゃったとか!?
はい、その通りです。大学卒業後から7年間、西洋美術史や哲学を中心に専攻していました。
もともと好奇心が旺盛で、自分なりに分析して考えを構築することが好きでした。まわりの友達が就職し出世を重ねる中、全く別の人生を歩みはじめた。そのことが今の価値観の形成、ひいてはライターという現在の立ち位置につながっていると感じます。
ーーなるほど、具体的にどういうことでしょうか。
自分の人生について、じっくり考える時間が幸いにもあったということです。
たくさん本を読み、映画を鑑賞し、国内や海外にも一人旅をしました。今思えば大変恵まれた時間でした。もちろん論文執筆や討論発表は大変でしたが。
その過程で、自分の幸せの価値観が徐々に構築されていきました。わたしにとって幸せとは、家族とじっくり時間を共有することです。
故郷の淡路島と神奈川の2拠点に根差し、自分の好きなことをする。それ以上はありません。
ーーおもしろい! でも、葛藤や焦りはありませんでしたか?
良い質問ですね(笑)たしかに、いま言葉にすると簡単なことですが、思い返すと学生時代、自分の想いに反する抵抗感はありました。
安定した企業に勤めたり、出世してお給料を上げる道が本当の幸せだとも思っていました。
徐々に徐々に、時と考察の積み重ねで、今の考えに至りました。
29歳で社会人デビュー、36歳でフリーランスライターへ
ーー29歳で社会人デビュー、年齢面で苦労はしましたか?
感じる暇もありませんでした。とにかく働きたい、という熱意を強く持って就職活動をしました。
人は皆なにかしらの長所があります。その人にしかない経験があります。わたしの場合は学生生活で培った集中力と、文章が好きな点を猛烈にアピールしました。人間的な経験を求めている企業も多いと感じています。
ーー36歳の現在までに、3社をご経験されておりますね。
先ほど申し上げたように、価値観を形成してから就職をしたことが大きいです。出世や昇進ではなく、自分のキャリア形成のプランを組み立てる意識で動いていました。
・1社目はジャーナリスト事務所でのスポーツライター
・2社目は通信販売会社のコールセンター
・3社目はIT企業の広報
見事に業種も職種もバラバラです。でも、自分の軸を持っていれば関係ありません。
どんな経験もその人の武器になります。
私の場合、ライターとして読者に情報や気持ちをお伝えするスキルに全てのキャリアが役立っています。営業で磨いた言葉遣いやIT企業で体験したスピード感は、だれにでもあるものではないと思います。
ーーなにかをはじめるのに、遅すぎることはないのですね。
わたしはそう信じて行動してきましたし、実際年齢は関係ないと思います。もし少しでも年齢を気にして遠慮していたら、いまのわたしはないでしょう。
自分が歩んできたキャリアに自信を持って進むべきです。能力も経験もないと自分で思いこんでしまうのは、勿体ないことです。
どうやってライターになったの?
ーーずばり聞きます。どうやってライターになりましたか?
自然とそうなったと言う表現が正しい気がします。
そもそもライターには年齢や性別、能力は関係ありません。
「なにかを伝えたい」「ことばが好き」「表現したい」という気持ちが重要です。
わたしの場合は日本語が好きで、文学的な表現を好みます。詩や短歌もつくりますし、言葉で表現することに喜びを感じます。
WebライターといえばSEOライティングやセールスライティングの時代です。それらもこなしつつ、文学よりのライターというところに、自らの個性を置いています。もちろん経験のあるスポーツライティングも得意とするところです。
肩に力を入れる必要はありません。
わたしがいまMojiギルドに巡り合えたように必ず出会いとチャンスが訪れます。行動あるのみです。
ーーライターになって幸せですか?
いまが一番幸せです。
自分のペースで、好きな場所で、大いに自分の力を発揮できることは幸せに尽きます。
仕事の依頼を直接いただける、ということがライターの醍醐味だと思います。その人だけが持つ魅力や能力を、必要としてくださるということなのですから。
ーー今後の目標を教えてください
ライティングの経験を積みながら、分野を問わずさまざまことにチャレンジしていきたいです。
スポーツの記事も書いてみたいし、取材や旅行記にも取り組んでみたい。法律の勉強もしていきたいし、以前経験のあるラジオパーソナリティにも改めて挑戦してみたい。やりたいことは尽きません。
プライベートでは家族との時間を大切に、かけがえのない日々の積み重ねを、詩や短歌に残していきたいです。
地元の神奈川県はもちろん、故郷の淡路島についてもどんどん発信していきたいと考えています。
この記事を書いたライター
淡路すあま
兵庫県神戸市出身。大学院の文学研究科を修了し、29歳でスポーツライターとして社会人デビュー。その後2社を経て、現在はフリーランスライター。大学野球を中心に観戦する野球好き。取材やインタビュー記事を得意とする。一人旅が趣味で、各地の...