波風立てないための考え方

波風立てないための考え方

そもそもの私の人生のモットーは『波風を立てないこと』。トラブルを起こしたり、誰かと言い争ったりすることはできるだけ避けたい性分です。そんな感じでこの年まで生きてきたわけですから、波風を立てないためのノウハウもそれなりに蓄積しているのです。

波風を立てないことは、実は案外簡単で、たった一つの考えを愚直に守ればそれで実現できるのです。そのたった一つの考えは「よそはよそ、うちはうち」の精神です。あるいは「自分は自分、他人は他人」とも言えます。

ここで大事なのは、自分中心に当てはめるのではなく、自分の外のものを中心に当てはめることです。自分中心にこの考えを実行すると、ただ自己肯定感を上げるだけの考え方になります。

自分自身を認めることは必要ですが、結局のところ、自分の持っている常識や理念などを尊重することになり、他者の常識や理念と衝突してしまい、波風が立ってしまうのです。

私の言う「よそはよそ、うちはうち」とは、「よそにはよその常識や理念があるのだから、自分の常識や理念が通じない、理解されなくてもしょうがない」というある種の諦めの境地に近いものです。

先ほどもお伝えしたように、波風が起こるのは衝突が原因であり、衝突の原因はたいてい意見や主張の食い違いです。

さらに食い違いがなぜ起きるのかといえば、自分の判断の価値基準をこれまで培ってきた経験や常識に重きを置いて考えるから。つまり、自分が正しいと思っているからなんだと思います。

よく言われているように、戦争だって正義と悪の衝突ではなく、正義と正義の衝突によって起こります。悪を悪だと認識している場合は、間違いを正せば済みますが、自分が正しいと信じている場合は、間違いが間違いにならず、対処が難しいものなのです。

であれば、どちらかが“自分が正しい”という土俵から降りられれば衝突は起こらないと思いませんか?

正しさを曲げるのではなく、双方の正しさを尊重すること

正しさを曲げるのではなく、双方の正しさを尊重すること

なにをそんな当たり前のことを…

と思う人もいるかもしれませんが、自分の正しさを横に置いておくのは案外難しいもの。また、なんでそんなに諦めなければいけないのか、と不満を持つ人もいるでしょう。

ですが、別に私は自分の正しさを否定したり、自分の意見を曲げなければいけないと言っているわけではありません。

大切なことは、「正しい」と「正しい」をぶつけないことです。

どういうことかというと、自分の正しさを相手に押し付けないことです。自分が正しいという思いが強い人ほど、自分の正しさと異なることを主張されたときに、ついつい頭ごなしに否定に走ってしまうことがよくあります。

たとえば、部下が自分の教えたやり方以外で業務をしているのを見かけたとき、結果は出しているのに、ついつい怒ってしまったことはありませんか?

たとえば、恋人や家族と家のルール決めなどで、ケンカしてしまったことはありませんか?

たとえば、クライアントの要望やコンテンツの方向性などで、険悪な空気になってしまったことはありませんか?

議論をすることは大切ですが、自分が正しいという思い込みを持っていると、ついつい言葉がキツくなり、衝突の衝撃は大きくなってしまいます。これではただのケンカであり、意見のすり合わせをすることはできません。

どちらも主張が正しいと思っている場合、相手の意見は自分を否定するものや言い訳に聞こえてしまい、建設的な議論をすることはできなくなります。冷静に議論を重ね、落とし所を見つけるためには、いったん自分が正しいという考えから離れ、相手の主張をまずは受け止めることが大切です。

では、どうすれば、自分の主張をいったん取り下げることができるのでしょうか。

捨てようと思ってもなかなか染み付いてしまった自分の常識を脇に置くことはできるものではありません。

そこで、逆説的ですが、私の場合は「自分が最も正しい人間」であると強く信じるようにしています。これは極端なたとえではありますが、新興成金と財閥の違いのようなものだと言えるかもしれません。成金は身の回りをブランドもので固めたり、やたらと自己主張が強かったりしますが、何代も続くような超お金持ちはそういうことをせず、後で成金が痛い目を見る、なんて描写が漫画やドラマなどでもよくありますよね。

金持ち喧嘩せずは本当であり、正しさも芯の部分をしっかり持っている人は、相手の意見を聞く柔軟性も兼ね備えているものです。

そんな感じで自分が最も優れている、すべてわかっているという心持ちでいると、心に余裕ができ、些細な主張や否定などでは心が動かなくなります。

例にも挙げたとおり、この考え方は仕事の上でも非常に重要な考え方になってきます。なにより仕事、そして日常生活のいらぬストレスを避けるためにもおすすめです。

それでも自分の正しさを主張したい、通したいというのであれば、すべてを押さえつけられるだけの力を身につけることです。それもまた、ひとつの生き方だと私は尊重しますよ。

この記事を書いたライター

執筆者

じょん

一児の父でアラフォーライター。
Web制作会社にてライターとしてのキャリアを積みながら、副業ライターとして活動中。得意分野はエンタメ系。興味のある分野では作成する文章にも地が出がち。座右の銘は「ライターは文化的雪かき」。鈍く光る職...

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