メンタル・モチベ低下によるスランプとは

メンタル・モチベ低下によるスランプとは

「なにも思いつかない、書きたいのに、書けなくて苦しい」

わかります。「よーしこのテーマで書くぞ!」と決めたものの、思ったように進まない。そのうち1文字も書けないまま夜が更けていく……てか気づいたら朝やん。と、このような状況はクリエイターならではの悩みであり、その原因はさまざまです。

step1:エゴと向き合う

こちらは精神面なので、当然のように心の話をしますが、「書けない」「苦しい」というのは感情です。感情は思考からやってきます。であれば、思考を変えればいいわけです。「そうは言っても簡単に変わらないから悩んでるんだよ!」という声が聞こえてきそうですが、変わらないのではないんです。変えたくないだけです。それ、趣味でやっています。我々の「葛藤」は無意識化が持つ趣味なんです。

さて、まずはスキル不足編と同じく、頭ではなく心に問いかけます。なぜそんなに素晴らしい作品が書きたいのか。認められたいから? 栄光を手にしてみたい? 賢いと思われたい? 自分をバカにしてきた人たちを見返したい? などなど。

「いいや違う、大切なことを伝えなければいけないんだ!」「なんで?」「なん、なんでって、真実を知らない人が多いから!」「だから?」「だから、自分が発信していかないと!」「なんで?」「それは……」「もうほかの人が書いたりしてない?」「し、してるけど」「じゃあ、なんで?」

という感じで、自分にずっと「なんで? どうして?」をくり返し、よーく自分の心と向き合ってみると見つかるんです。そこには必ず、エゴが存在しています。それが悪いわけではないので、このとき自分を責めないように注意してください。いまはその時間が必要なんだ、なるほど、自分はこう思ってるんだな。と、自分を俯瞰して見てみます。悩むことで悦に浸っている自分を認めることが第一歩となります。

要するに、多くの場合はプレッシャーを感じているのかなと推測します。しかし自分への過度な期待は禁物です。駄作になってもいいじゃないですか。それで命を取られるわけじゃありません。深刻になっている人の文章は読んでいて楽しくありません。あの三島由紀夫も非常にユーモラスあふれる人だったことは、彼のエッセイを読めば一目瞭然です。大切なのは「真剣さ」であって「深刻さ」ではないですから。

step2:とにかくリラックスできることをする

「なんでなんでどうして攻撃」は自分がスッキリするまでやります。少し緊張が解けたら、お部屋の環境を整えます。目の前がごちゃごちゃしていると頭もごちゃつきますので、なるべくスッキリとさせます。それが面倒くさいときは、寝ます。ほかにも、いい香りがするアロマを焚く、自然に触れる、ほろ酔い程度にお酒を飲む、好きな音楽を聴く、スーパー銭湯に行く、などなど、自分にとっての「癒し」をとことん実践します。

ここで注意していただきたいのは、あくまで「リラックス」を重視すること。「リフレッシュ」ではありません。みんなで騒ぎまくって暴飲暴食、激しめの運動、カラオケ、ダンス、などは気持ちが良くても一定のストレスを与えます。大切なのは、とにかく心と体を休めることです。「優雅さ」を意識したリラックス方法を選択してください。

step3:なにか書いてみる

すぐに書こうと思っていた文章に向かうのではなく、日記のようなもの、あるいは、いま自分のなかにある感情を思いのまま書きます。できれば手書きがいいと思います。思ったこと、感じたこと、書いている途中でイライラしてきたら、どんな罵詈雑言を連ねてもいいので書き殴ります。誰も見ないので飽きるまで思いきりやります。書き終わったら、ちぎって捨てましょう。可能であれば燃やします。

step4:なんでもいいので読む

気になっていた小説や、白熱したことのある漫画など、ワクワクしたり惹かれる本を読みます。外部からの刺激を自分に吸収させるのです。久々に引っ張り出した本などに新しい発見があるかもしれません。気になった文章は書き留めたりします。これをやると大抵、私の場合は触発が起きます。ここまできてようやく、意欲復活の可能性が出てきます。

step5:プロット度外視で書いてみる

さて、いよいよ書こうと思っていたものに向かいます。プロットを作成済みだった場合は、全削除します。勇気がない人は取っておいてもいいので、なるべく忘れるようにしてみてください。いきなり長文を書こうとせず、まずは短文から始めます。断食してた人がいきなり焼肉を食べたら消化器がパニックを起こすのと同じです。回復食から始めるように、文章もまずは短文からチャレンジします。

step6:文章を寝かせる

スキル不足編でも紹介している方法ですが、書き終わったあとは数日置きます。締切などがある状態で時間に余裕がない場合は翌日でもいいですが、この場合のスランプはすでにデビュー済みの作家でなければ締切はないと思うので、思い切って3か月くらい放置してください。その後、読み返します。3か月も経てば「え、こんなこと書いたっけ?」となるくらいに推敲しがいがあります。

step7:もう一度、文章を寝かせる

推敲が終わったら、また置きます。step7で自分の成長を大きく感じた場合はさらに3か月置くのもおすすめです。

step8:寝かせて推敲のあとに、フィードバックをもらう

まあいいかな、というところまで仕上がったら家族や友達に読んでもらい、意見をもらいます。周りに読んでくれる人がいない場合は、この時代ですからネットを活用して意見をもらうという方法も検討してみてください。

step9:フィードバックを反映

お気づきでしょうか。ここまできたら、もう書けるようになっています。実際に書いている自分を「頭おかしいんじゃないの?」というくらいに褒めまくります。自分の課題を自分の力だけで解決できた自分の価値を認めます。

充足感に満たされるまで、このプロセスを何度もくり返します。そうすると自然とわかります。「いまなら書ける」ではなく「書きたい!」の合図がやってきたら、スランプからの脱出成功です。いよいよスタートラインに立つことができたと感じたら、あとはその波に乗るだけです。

どうしてもブロック解除ができない場合は、自分を書く

step1〜9をやってみたのに、それでもうまくいかない場合は、強烈な「思い込み」が隠れている場合があります。しかしその原因を探ってみてもあまり意味はないので、とりあえずは放置しておくのが良いと思います。

とはいえ、「書きたいのに書けないんだよ!」状態であることはたしかなので、書きたいのであれば、私はいつも、さしあたって自分のことを書いてみます。ライターになっておられる方は、ほとんどの場合、最低でも20年ほどは生きておいでだと思いますので、20年のデータがすべて自分の頭にインプットされているはずです。記憶に残っている部分を、とにかく書いてみてください。自分を主人公にして小説風に書くのもいいですし、エッセイ風に、あの頃に考えていたことを書いてみても良いです。

その文章の節々に、ご自身がいまテーマにされたいことの源が必ず出てきています。ポイントが見えてきたら、そのシークエンスだけ切り取って、別の登場人物の視点に切り替えて文章を書き直してみてください。できれば自分にとって(その物事において)強い違和感を覚えた人がいいですが、その人が実在していても、していなくても構いません。俯瞰して書く、ということが重要です。

すべての人に有効とは限りませんが、私はこのような方法でスランプを脱出してきました。ただし、自分を書く作業はstep1〜9をやってみた人向けですので、その点はご注意くださいね。

この記事を書いたライター

執筆者

立石

本業ではゲーム制作のシナリオ・音声収録のディレクションをしつつ、副業ではSEO対策記事、CM脚本、占い鑑定書の執筆など幅広く活動中。ひと仕事を終えた後のお酒は格別。エンタメ関係のお仕事にも挑戦していきたい!

詳細を見る

タグ