提案文・応募文ってそもそも何?
提案文あるいは応募文とは、Webライターの募集をかけている人や企業(以下クライアント)に対して「はい! 私、書きます!」と立候補する文章です。
履歴書のように決まりきったテンプレートがあるわけではないため、自分で内容を考える必要があります。
クラウドワークスやランサーズであれば、1件の募集に対して20〜30人のライバルが応募してきます。その中で自分自身をアピールし、相手に「この人に頼んでみよう!」と思わせなければなりません。
Webライターとして仕事をする以上、ここぞと思った案件をしっかり獲得する必要があります。良い提案文を書く力は必須スキルだと言えるでしょう。
ズバリ、受かる提案文とは?
では、良い提案文・受かる提案文とはいったいどういうものなのでしょうか。
結論から言います。
提案文は「ああ、この人に是非お任せしたい!」と思わせれば勝ちです。
もちろん経歴や実績に関して嘘をついたり、実力以上に自分を大きく見せる必要はありません。というか、これらをやってしまうと相手の期待値を上げ過ぎて、自滅する羽目になります。やめましょう。
ここからは、「私がライターさんの募集をした際に20名の応募があったら」と仮定して、具体的なチェック項目を紹介します。
①マナーがきちんとしている
インターネット越しと言ってもWebライティングは「お仕事」です。クライアントが個人であろうが法人であろうが、提案文を読むのは人間だということを意識しましょう。
「え、当たり前じゃない?」と思った人は大丈夫。おそらくこのラインで足切りされている可能性は低いです。
初めてのクライアントには「はじめまして」。過去にやりとりをしたことがある相手には「お世話になっております/ご無沙汰しております」。提案文を書くときにはきちんと挨拶から始め、文中では正しい敬語を使いましょう。
実はこの時点で20人中5人くらいお断りするイメージです。当たり前のようで意外と多いんですよ、できていない人。
[残り15人]
②こちらの質問やお願いに答えている
募集要項に書かれている質問やお願い事項は、すべて守りましょう。
クラウドソーシングで募集をしているクライアントは、多くの場合「提案文の中でこの項目に答えてね」という質問を用意しています。
- ライター歴はどれくらいですか
- 週(月)にどれくらい稼働できますか
- この分野の経験はありますか
などなど。
「報酬は◯◯円と入力し、源泉徴収のチェックを入れてください(外してください)」と書かれている場合もありますね。
これらの内容に抜けがあると、クライアントからは「この人、仕事で何かを頼んだときにも無視するのでは?」と思われてしまいます。こういった指示に関しては、とにかく厳守してください。
ここで4人くらいお断りするイメージです。特に金額に関する指示を見落とす人は、お仕事相手として不安になってしまうので原則お断りしています。
[残り11人]
③案件の内容を理解している
クライアントが何を依頼したがっているのか、把握したうえで応募しましょう。
- SEO記事を書いてください=見出し構造やKW(キーワード)の仕組みを理解している人が欲しい
- 金融に関する記事を書いてください=金融に関する知識がある人か、正しく調べて書ける人が欲しい
- BtoBの記事を書いてください=企業向けのかっちりした文章を書ける人が欲しい
適切な提案文を書くためには、まずは募集内容からおおまかな方向性を読み取る必要があります。
たとえば私の場合は、「教育系SEO記事の執筆をお願いします」といった募集をしたとします。この場合求められるスキルは「教育分野に関する知見がある」か「SEO記事を書ける」のどちらかです。
多くのWebライターにはSEO記事の執筆経験があると思うので、この場合は「私はSEO記事を書けます!」と立候補してもらえれば大丈夫です。
と言っても、ここで引っかかる人はそこまで多くない印象があります。情報をほぼそのまま使い回しているコピペっぽい人が減る程度です。
[残り10人]
④適切なサンプル記事の提示がある
Webライターの案件を獲得したいのであれば、サンプル記事を作り、提案の際に送りましょう。サンプル記事とは「私はこういう文章を書けますよ」という実力を相手に見せるための、自前の記事のことです。
多くのクライアントはWordPressでサイトを構築しているため、こちらもWordPressで作成するのがベストではあります。が、最初はnote等の無料サービスで構わないと思います。
「適切な」サンプル記事とは何かと言うと、SEO記事の案件ならSEO記事をサンプルとして送るべきだということです。
SEO記事の案件なのに見出し構成のない個人ブログを送られても、クライアントは「この人は結局SEO記事を書けるの?」と判断に困ってしまいます。あるいはエッセイ的なコラムを依頼したいのにカチカチのSEO記事を送られても、判断材料にはできませんよね。
記事の分野まで合わせたサンプル記事があれば最高ですが、初めのうちは難しいと思います。「自分の取り組みたいジャンルで書いた、渾身の1本」を用意して使うのがおすすめです。
この段階では2つの観点からお断りすることになります。
1.サンプル記事がない/適切ではない→3人
2.サンプル記事の文章レベルが低い→3人
[残り4人]
→ここまで来たら、あとは総合的に判断して依頼するライターを決めます。
⑤やる気や情熱が見える
実は、①〜④のどれかが多少不足していても、やる気と情熱だけですべてを引っくり返していくライターさんが存在します。
クライアントも人間なので、明らかにやる気満々で応募してくれた人がいれば、やはりほだされてしまうのですよね。もちろん致命的に欠けていたらダメですが、「ちょっと目をつぶるか」と思ってしまう場面は多々あります。
提案文にテンプレートはないと先ほど書きましたが、実はネット上には「通過率を高める提案文テンプレート」のようなものが山ほど転がっています。
確かにいずれも①〜③をばっちりカバーできる内容になっているのですが、テンプレートに頼り過ぎると肝心のやる気が見えにくくなってしまいがちです。難しいところだなと思っています。
ちなみにわたしは、自分で募集をかけた際にXのフォロワーさんから情熱の塊のような超長文提案文をいただいたことがあります。知り合いだからひいき目に見てしまう部分はありますが、この人が応募で落ちることはないだろうなと思いました。
逆に「落ちる提案文」もある
受かる提案文があれば、逆に「これはどうやったって落ちるでしょう」という提案文もあります。
それはずばり、「①〜⑤の逆をいく提案文」。
①マナーを守らず
②クライアントの質問を無視して
③案件内容も把握しておらず
④サンプル記事もなく
⑤やる気もない
……さすがにほとんど見たことがありませんね(笑)。ゼロではないのが怖いところですが。
他には「初心者アピールをしている提案文」や「明らかにコピペの提案文」も通過しづらいと思います。このあたりは多くの人が発信している内容なので、今回は省略します。
まとめ|クライアント目線で「採用したい」と思える提案文を書こう
ここまで長々と書いてきましたが、結局のところは序盤にお伝えしたことが最も重要です。「ああ、この人に是非お任せしたい!」と思わせれば勝ちの部分ですね。
何度でも言いますが、クライアント側も人間です。
スキルがあることはもちろん最低条件ですが、その中でもなるべく信頼できそうな人、コミュニケーションを取りやすそうな人に仕事を依頼したいと考えています。
ということは我々Webライターは、自分のスキルを提示しながら「信頼しても大丈夫ですよ〜。コミュニケーション取れますよ〜。お力になりますよ〜」というアピールをしていけば良いのです。
もちろん、提案文が良ければ100%採用されるという世界ではありません。それは自分よりも素晴らしい経歴や実績を持つWebライターさんも大勢存在するからです。残念ながら、どうしようもない不採用というのも確実に存在します。
しかし、採用の可否に一喜一憂する必要はありません。「自分を採用するメリットを最大限アピールできたかどうか」を振り返りながら、提案文をブラッシュアップしていきましょう。
この記事を書いたライター
歌耶子
副業Webライター。本業は国語をこよなく愛する塾講師です。文章を読むのも書くのも好き過ぎて、ライターの世界に足を踏み入れました。休日は夫が引くほど長時間PCに張り付いて文章を打ち続けています。実はかなりのゲーマーで、個人では趣味のゲ...