「永遠」と「永久」に違いはあるの?

「永遠」と「永久」に違いはあるの?

まずは永遠永久について取り上げてみます。どちらの言葉もずっと続くことだと思いますが、どのように使い分けるのでしょう。調べてみました。

【永遠】

ある状態が果てしなく続く・こと(さま)。永久。永劫。とこしえ。

時間を超越して変わらないこと。



【永久】

いつまでも限りなく続くこと。時間の果てがないこと。また。そのさま。とこしえ。永遠。


※出典:『大辞林 第四版』三省堂

永遠の意味には「永久」があり、永久の意味には「永遠」があり、どちらの説明にもそれぞれの言葉が記載されています。同じ意味なのでしょうか?

他の辞典を調べてみました。

【永遠】

ーの真理。ーに帰らぬ人。あの姿は今後ーに見られなくなった。ー性

◯時間を超越して際限がないこと 

[注]「永久」は長く不変である状態にとどめ置こうという意思がある場合が多く、「永遠」は時・場所・意志に関係しないところで不変に存在すること。


【永久】 

ーの策を立てる。戦争をーに放棄する。ー歯[磁石]

◯将来いつまでも 


※出典:『角川類語新辞典』KADOKAWA

例文を考えてみましょう。

「永遠に変わらぬ愛を誓う」、と使いますが、「永久に変わらぬ愛を誓う」は違和感が感じられます。また「永久凍土」と言いますが「永遠凍土」とは言いません。

その他の例文として

永遠:この瞬間を永遠に記憶に刻んでおきたい

永久:この写真は永久に失われることのない宝物だ


などが考えられます。

永遠は時間を超えて状態が続く・時間的な概念がない、永久は形あるものが無限に続くといった印象を受けました

抽象的なものには「永遠」を使うといった認識で良いでしょう。

「重要」と「大切」の違いは?

「重要」と「大切」の違いは?

次に重要大切の違いについて調べてみました。

【重要】

物の根本にかかわっていること。非常に大事で大切なこと。また、そのさま。

【大切】

重要であるさま。肝要。大事。

価値が高いさま。貴重。大事。

丁寧に扱うさま。大事。

切迫するさま。緊急を要するさま。


※出典:『大辞林 第四版』三省堂

【重要】

ーな書類を紛失する。ーな地位につく。ー視する。ー参考人。
◯意義・必要性が大きいこと。 

[注]「重要」は客観的な価値に、「大切」は心情的な価値についていう傾向がある。


【大切】

ーな万年筆を落とした。語学を学ぶには練習がーだ。
◯おろそかにしてはならぬこと。なくてはならないこと。 


※出典:『角川類語新辞典』KADOKAWA

重要は客観的であること、大切は心情的であることを踏まえ、どちらにも使える「儀式」という言葉を用いて例文を考えてみました。

重要:成人式は、若者にとって新たな段階への重要な儀式です。

大切:我が家の大切な儀式の一つは、結婚記念日を祝うことです。


前後の文章の内容によっては、どちらを使っても問題はないように思えました。

重要と大切に関しては、客観的か心情的かを見極め使い分けが必要でしょう

異字同訓について

異字同訓について

最後に異字同訓について取り上げます。

今回は「みる」について調べてみました。漢字について確認してみましょう。

「見る」「観る」「診る」「看る」が挙げられます。

「みる(見る)」

1.視覚によって、物の形・色・様子などを知覚する。

2.(「観る」とも書く)風景などを、そこへ出かけて行って楽しむ。見物する。

3.(「観る」とも書く)芝居や映画、スポーツの試合などを鑑賞する。

4.文字・図などによって表されている内容を理解する。

5.存在を確認する。認める。ある「みられる」の形で用いることが多い。

6.判断を下すために、物事の状態などを調べる。

7.ア:判断する。評価する。

 イ:(「診る」とも書く)医者が体の様子を調べ、健康状態を判断する。診断する。

 ウ:うらなう。

 エ:鑑定する。

 オ:(「…からみて」などの形で)その立場に立って判断することを表す。…からいうと。

 カ:(「…にみる」の形で)ある限られた範囲を対象として結果・結論を導く。

8.(「看る」とも書く)悪い事態にならないよう、気を配って世話をする。

9.責任を持って指導・助言をする。

10.好ましくないことを身に受ける。経験する。

11.動作・作用が実現する。

12.会う。特に、異性と会う。また、男女の交わりをする。

13.夫婦として暮らす。


「みる(見る)」表記

[見る]は物の形や色を目で感じる。判断するの意。

「窓の外を見る」「テレビを見る」「朝刊を見る」「湯加減を見る」「世間を甘く見る」「見ると聞くとは大違い」

[観る]は見物する。眺める。芝居などを鑑賞するの意。「見る」とも書く。

「桜を観に行く」「芝居を観る」

[診る]は診察するの意。

「医者に診てもらう」「患者の脈を診る」

[看る]は気を配って世話をするの意。

「病気の親を看る」「病人を看る」


※出典:『大辞林 第四版』三省堂

すべてに「見る」の漢字を使っても間違いではないようです。しかし「観る」「診る」「看る」それぞれの漢字表記から、具体的な光景が浮かび上がってきます

「観る」からは「観劇」、「診る」からは「診察・診療」、そして「看る」からは「看護」が想像できるのでは?「お医者さんに見てもらう」ではなく「お医者さんに診てもらう」や「風邪をひいた子どもの面倒を見る」よりも「風邪をひいた子どもの面倒を看る」と記載した方が、活き活きとした表現に感じられるでしょう。

効果的な漢字の使い方といえるかもしれません。

言葉はやはり面白い

言葉はやはり面白い

文章の中にあふれている言葉や漢字には、その使いわけが難しく同じ意味のように思えるものもあります。その一方で、見た瞬間に内容が理解できる言葉もあり、改めてその面白さに気がつきました。言葉について調べることでより良い文章を書きたいという意欲も湧きます。

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この記事を書いたライター

執筆者

Ryomahan

薬剤師資格を持つライター。医療業界における薬剤師のあり方に疑問を抱き早期退職。趣味のウクレレ・サックスを演奏したり、英会話を習ったりして気楽に過ごしていたが、薬剤師としての経験を文章で役に立てることはできないかと思いライターに...

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