フリーターから特別支援学校の教員へ

フリーターから特別支援学校の教員へ

ーーまず、さきのさんの経歴を教えてください。

大学に行きたいと漠然と思っていましたが、家庭の事情で難しく進学は叶いませんでした。

就職するにもまだどんな仕事に就きたいかも決められなくて、高校卒業後はしばらく家でぶらぶらと過ごしていました。

とりあえず何か仕事をしてみようとアルバイトを始めました。コンビニ、スーパーの品出し、鍼灸院での受付や診療補助とさまざまなアルバイトをしました。

次の仕事を探していたときに親から小学校の支援員の仕事を紹介されて、子どもは正直好きとはいえなかったのですが(笑)、学校で働くのは面白そうだなと思い応募しました

運よく採用していただいて実際働いてみると子どもと関わるのは思ったより楽しかったです。特に障害のある子どもとのやりとりが楽しく、もっと深く関わってみたいという気持ちが芽生えてきました。

しかも勤務先に中学生の頃お世話になった保健室の先生がいたんです。その保健室の先生にも「子どもと関わる仕事に就くのはどう?」と何度か勧められたのをきっかけに、教員免許を取得しようと一念発起しました。

通信制の大学に入学して小学校の教員免許を取得し、特別支援学校の教員になりました

ーー最初から教員になろうと思っていたわけではなかったのですね?

はい、全く思っていませんでした。進学もできなかったし、性格もおとなしくて人前にでるような子どもではなかったので、将来、教員になるとは思いもよらなかったです。

しかし、ご縁があって特別支援学校の教員になったら、出会う子どもたちは個性豊かで可愛くて、すっかりはまってしまいました。今思い返しても毎日刺激的で面白かったです。

仕事でのつまずきからライターという仕事に出会う

仕事でのつまずきからライターという仕事に出会う

ーー特別支援学校の教員としてやりがいを感じていたさきのさんが、ライターの仕事に出会ったきっかけはなんですか?

転機は小学校の特別支援学級の担任になったことでした。ちょうどコロナが流行り始めた頃で学校現場も混乱していました。慣れない状況下での初めての担任や遠距離通勤のせいか心身に不調をきたすようになってしまったんです。そのまま体調が戻らなくてやむなく仕事を退職しました。

退職して家で休んでいた時にWebライターという仕事を知りました。すごく興味は持ったのですが、当時の自分には、会社に所属せずに個人で働くなんて全く想像つかなくて……。自分には無理だろうと思ってあきらめてしまいました

結局、Webライターを目指さずに、事務職に転職してフルタイムで働き始めました。

ーーそこからまたライターに興味を持ったきっかけは何ですか?

仕事をしていない期間に当時お付き合いしていた方と一緒に暮らすようになりました。その後、フルタイムで仕事を始めてからしばらくして結婚しました。

結婚生活は楽しくもありましたが、家事と仕事の両立が始まってからしんどいなと思うことが増えましたね。「ああ、在宅で仕事したいな」という気持ちが高まってきて再びWebライターという仕事に関心をもちました。

Instagramなどで未経験からWebライターになっている方々の発信を見ているうちに自分でもできるのではないかと思い、クラウドソーシングに登録しました

ーーライターの仕事を始めてから仕事は順調でしたか?

最初こそテストライティングに合格して仕事を受注できたものの、その後はなかなか受からなかったです。自分でも書けそうな案件はとにかく応募しましたが、何の返答もないことがほとんどでした。

たまに合格して喜んでいると、高額なライティング講座に誘導されたり、詐欺まがいの案件に遭遇したり……。危ない目にも遭いました。

ーーなかなか厳しいスタートでしたね。他にも大変なことはありましたか?

始めたときはフルタイムで働いていたので、書く時間を確保するのは思っていたより大変でした。でも、せっかくテストライティングに受かって仕事を受注できたので、がんばらなければと意気込んでいましたね。疲れた体に鞭打って書いていました

それになかば勢いでクラウドソーシングに登録したので記事の書き方もよくわからなくて、とにかくクライアント様からのフィードバックをもとに何度も書き直しました。

ーーそれでも続けてこられたのはなぜですか?

やはり書くことが好きだったからだと思います

昔から憧れていた「書く仕事に就きたい」という夢が現実になるかもしれないと感じていたからがんばれたんだと思います。

ライターを始めた頃は、記事の書き方や提案文の書き方もよくわかりませんでした。必要な知識やスキルを身につけようと、オンラインコミュニティに入ったり、添削講座に申し込んだりしましたね。

そうやって学んでいくうちに、だんだんと提案が通ったり、テストライティングにも合格するようになってきてとても嬉しかったです。

次第に、仕事を発注してくれたクライアント様にも喜んでもらえるようになり、「もっといい記事書こう!」というモチベーションにつながっていきました。

ーー現在も副業でライターをしているのですか?

はい、現在も副業でライターをしています。フルタイムの仕事で副業は難しいと考え、事務職は任期を更新せずに退職しました。

とはいえ、ライターだけではまだ収入が不安定だし、収入の柱がもう一つ欲しいなと思っていました。できれば慣れている仕事である程度収入が見込める仕事を探していたところ、現在の小学校の支援員の仕事にたどり着きました。

支援員として障害のある子どもに関わるのも楽しいし、ライターの仕事も好きなので、今が一番充実しているかもしれません。

ライターとして仕事の幅を広げていきたい

ライターとして仕事の幅を広げていきたい

ーー普段はどんなジャンルの記事を書いていますか?

主にSEO記事を書いています。ジャンルは、障害福祉分野が多く、障害者施設を運営している会社のホームページに掲載されるお役立ちコラムを書いています。過去には、美容やエンタメ、社員教育についての記事を書きました。

ーーライターの仕事のやりがいはどこにありますか?

障害福祉分野や教育分野は自分のやってきたことが活かせるので、ライターとして自分の関わってきた分野に貢献できることにやりがいを感じています。

今までなじみのないジャンルの記事を書く場合は、書くのに苦労することもありますが、その分新しい知識を得られます。それが自分の生活に活かせることもあるし、単純に知らなかった世界を垣間見れるのも魅力の一つです。

確実にライターをしていなかった頃より、自分の人生が豊かになってきているなと感じています。

ーーライターとして今後どうしていきたいですか?

今はSEO記事を中心に書いていますが、取材やインタビュー記事にも挑戦していきたいです。また、YouTubeの台本を書くことにも興味があります。高校時代に演劇部で脚本を書いたり、シナリオ講座も受講したりしていたので、これから挑戦していきたいですね。

働き方としては、支援員の仕事も楽しいのでしばらくは副業で続けると思います。

しかし、専業ライターになることも考えてない訳ではありません。以前は「フリーランスなんて絶対無理!」と思っていたので自分でもびっくりですが、それだけ見える景色が変わってきているのかなと思います。

今までも、人とのつながりや流れで思わぬところにたどり着いたので、これからも、人とのつながりを大切にしながら、そのときどきで興味を持ったことを一生懸命やっていきたいです。

この記事を書いたライター

執筆者

さきのめぐみ

小学校で支援員をしながら副業でライターとしても活動中。フリーターから通信制大学に入学し教員免許を取得。特別支援学校の教員として働いていました。子どもの頃から書くことが好きで、現代詩やシナリオも書いています。人の心がほっとあたた...

詳細を見る

同じシリーズの記事を読む

タグ