40代半ばからの一念発起

40代半ばからの一念発起

まずはプロフィールを教えてください

都内のIT企業に勤めて、今年で25年になります。自社内で使うシステムの開発と維持管理をするインハウスエンジニアです。

30過ぎに結婚、30代の終わりと40代半ばに出産しました。ちょうど出産のころ、会社の育休期間が3年間に延びたので、2度目の出産では育休を3年間取得しています。40代になってからの出産・育児はかなりしんどかったのと、間に出産を挟んでも20年以上働いているので、そろそろ少しのんびりする期間を取ろうかなと思ったためです。

なぜライターを始めたんですか?

きっかけは二つあります。私が育休で子育てに没頭している最中に、仲のいい年下の同僚が昇格して追い抜かれたこと。それとほぼ同時期に、転職2年目の妹が難関資格に合格し、管理職に抜擢されたことです。

私はマネジメントより一人で現場業務をやっているほうが好きだし向いていると思っていたので、管理職には魅力を感じていませんでした。

けれど、親しい2人が奮闘して新たな立場とよりいい給与を得ているのを間近で見て、「このままでいいのか」ともの凄い焦燥感が襲ってきて。完全に勢いで、育休中でもなにかできることはないかとクラウドワークスで仕事を探しはじめました。

ライターはキツイ…けれど続けたい理由

ライターはキツイ…けれど続けたい理由

ライターの仕事はどうでしたか?

正直、キツくて驚きました

私は本業では、ライター業界でいうディレクターに似た仕事をしています。クライアントの要望を聞きながらどんなシステムにするか検討し、設計書類にまとめて、外部のプログラマーに依頼し、出来上がったプログラムをテストして納品する……そんな感じの仕事です。

そのため、下請けのプログラマーの大変さは理解していたつもりでしたが、いざその立場になったら想像以上に大変でした。しかもWebライターは、初心者OKの仕事はめちゃくちゃ薄給ですよね。徹夜までしているのに時給が数十円だったので、忙しさを心配する夫に「これは趣味だから!」と稼ぎが目的ではないような言い訳をしてました。

今でも「Webライターは誰でも稼げる」みたいなアカウントを見かけると、チベスナ顔(チベットスナギツネのような虚無顔)になってしまいます。

それなのに続けたんですね?

「ガツガツやるのはつらいし、なるべく楽をしたい」タイプで覇気のない自分に、こんな負けん気があるとは思いませんでした。40代にして見つける自分の新たな一面……。

たぶん、与えられたテーマに沿って調べて書く、という作業が性に合っていたんだと思います

例えば、私は手芸が趣味ですが、自分でデザインを考えて作るのは好きじゃないんです。真っ白になってフリーズしてしまいます。けれど図案通りに作るのは好きだし、集中できます。既存のデザインでも、色や素材を変えれば雰囲気は変わりますよね。

自分はそういう性質なんだなと思います。ゼロから何かを生み出すのは向かない、けれどテーマを与えられたらがんばれる、という性質にWebライターの仕事が合致したのだと思います。

キツかった案件について聞かせてください

「令和の蟹工船」のような案件もありましたが、私がダメージを受けたのは、ある案件で自分の記事をすべて書き直されたことです。

訂正や修正ではなく、全Deleteです。フォローもフィードバックもなく、冒頭の5文字以外全部消されました。その時はあまりのショックで眠れず、先輩ライターに愚痴を送ったり周りに迷惑かけてしまったほどです。

どうやって立ち直りましたか?

眠れなくても納期はやってくるので、その後も胃薬を飲みつつその案件は続けました。

何か月たっても修正は減らず、精神的にもキツかったのですが、やめませんでした。私なりにインプットして、手は抜かずに必死に書いてました。必死にしがみついた結果、徐々に赤字が減って、お褒めの言葉をいただけるようになりました……というのは嘘です。

マンガのような展開は私には待っておらず、最後まで修正だらけでした。それでも、自分からは絶対に辞めないつもりで、毎回私のベストで仕上げて出しました。残念ながら認められなかったけれど、自分の「踏ん張り力」はついたかなと思っています。

ライターをはじめて得た「将来への欲」

ライターをはじめて得た「将来への欲」

ライターの仕事は今後も続けますか?

苦労話(きっと、私の原稿をチェックしていた方にとっても苦労話でしょう…)をしましたが、ライターを辞める気にはまったくなりませんでした。

体力と気力を削りながら案件をこなしていくと、同じ作業を前よりも楽にこなせていると実感が得られる瞬間があります。1週間かかっていたものが、5日になり、3日になる。それが自分の成長のように思えて嬉しいんです。

ジャンルを問わずに案件を受けていると、自分が興味のない分野の案件も来ます。仕事だからと渋々リサーチすると、思いがけず魅力的な世界と出会えたりする。深夜にリサーチが止まらないこともあります。

どんな形になるか分かりませんが、20年後もライターを続けていたいと思っています。

なるほど。では直近の目標などありましたら教えてください

1年後に仕事復帰を控えています。アラフィフの私にとって、本業と副業の両立はかなりハードでしょう。それなのに、ライターを辞める気が全くないので困っています。

もちろん、親業や主婦業もあるので、時間配分もキツくなりますよね。それでも、子どもとの時間はどうしても削りたくありません。そのため、1日2時間くらいの作業でどこまで稼ぎを増やせるかが課題です。

復帰までの1年は、インプットしつつ受注量を増やして「書く体力をつけること」に注力していくつもりです。やはり執筆体力を増やせばそれが時間的余裕を作ってくれると思うので……。

あと、ライターをはじめてから激太りしたので、とにかく痩せねばなりません。こちらはもう、危機的状況です…。

この記事を書いたライター

執筆者

吉沢つぐみ

首都圏在住の2児ママライター。IT企業勤務歴20年。育休中にはじめたライター業が楽しくなってしまったため、ミドフォーからのライター転身を目指して土台作り中。モットーは「誰かの役に立つ読みやすい記事」の執筆。特に不動産・住宅関連・観光...

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