プロフィールについて教えてください

プロフィールについて教えてください

フリーライター歴17年のまちかと申します。

子ども向け作文教室の主宰、教育機関で作文を教える非常勤講師、ビジネスライティングのセミナー講師など、文章を書きたい人をサポートする仕事も兼任しています。

ライターをめざしたきっかけはなんですか?

ライターをめざしたきっかけはなんですか?

新卒入社した会社を結婚のタイミングで辞め、専業主婦ママとして暮らしていました。第一子が幼稚園に入園したあと、久々にできた自分時間でなにか仕事をしたいと思いました。転勤族だったので、引っ越しのたびに仕事を変えるのは落ち着かないなと。どこにいてもできる仕事をしたいと考えたとき、ライターを思いついたんです

わたしは子どもの頃から文章を読んだり書いたりするのが好きだったので、せっかく新しいことを始めるならなりたかったライターをめざそう!未経験だけどがんばろう!とわくわくしました。ママブロガーとして3年続けていた育児ブログの評判も良くて、手ごたえを感じていたからです。

しかし、家族は大反対。なれるかどうかもわからないなら趣味と同じ、収入が不安定だと家計の足しとして見通しが立たない、それなりに作業時間は取られるだろうからその分家族の負担は増えるだろう、と。

「わたしがわがままを言っているように思われてるんだ」と悲しい気持ちにもなりましたが、今振り返ると、フリーランス共通の悩みかもしれないと思います。

・なにより家族に負担をかけないこと
・半年後、子どもの幼稚園代(数万円)くらいの月収があること
・一年後、扶養内で働く主婦と同じくらい(8万円)の月収があること
・それを達成できないならライターの夢は諦めてパートに出ること

家族と話し合った結果、そのように約束した上でライターをめざすことになりました。具体的な数値目標があるのはいいことですが、ちょっときゅうくつな感じがしました。

余談ですが、その後もずっと収入面や家事育児の分担などでもめごとは続き、今では離婚してシングルマザーになりました。

ライターになるために、まず始めたことはなんですか?

ライターになるために、まず始めたことはなんですか?

最初の仕事をどうやってもらえばいいのか考えました。

2008年当時は、今のようにWebでライティングの仕事を探すのは難しかったです。クラウド系のアウトソーシングサイトでは1記事100円という信じられない募集ばかり。Web制作会社さんもライター募集を出しているところはまだまだ少なくて、「ネットじゃむずかしいな……」と感じました。

そこで、顔の見えるつながりから「ライターになりたいです」「ライティングの仕事をさせてください」と相談してみようと思いつきました

スーパーに置いてあったりポスティングされたりして手に取るフリーペーパーの編集部、公共施設で開催されている各種イベントの主催団体、起業した友人など、アポを取ったり参加してみたり直接会って話せるところで自分のやりたいことやできることを伝えるというスタイルでライター活動を始めました

現在のお仕事スタイルにつながった経緯を教えてください

現在のお仕事スタイルにつながった経緯を教えてください。

初めての仕事は、フリーペーパーのカルチャー面のライティングでした。

「プレス試写会があるけれど、編集部全員忙しくて行けないから、見に行って映画紹介記事を書いてみませんか?」と声をかけられました。原稿料は500円でした。その後は読者プレゼント記事のライティングやイベント開催レポートなども依頼されるようになりました。

記事はすべて大切に切り抜き、スクラップして持ち歩くようにしました。

女性支援団体、NPO法人、行政による起業家支援、ボランティアサポーターなど、会って名刺を渡したことある方々から「ライターになりたいって言ってたよね」「手伝ってもらえる?」と連絡をいただく機会が少しずつ増えていきました

メルマガ、ブログ、Webサイト、広報誌、パンフレット、チラシ、テキストなど。文章ならなんでも書きます!という勢いでがんばっていたことを思い出します。

皆さんとても優しくて、「これ、ライターめざしてる子ががんばって作ったんですよ」とあちこちで話題にしてくださるから、わたしに興味を持たれた方が個別に連絡くださるというかたちでさらにお仕事が広がっていく流れができました

同時期に起業した知人やフリーランスになった友人とは、「等価交換しよう」とお互いに仕事を頼みあってお互いの実績を作るという連携をしていました

たとえば、Web制作会社を立ち上げた知人のクライアントワーク(取材してコーポレートサイトに載せる文章を書く)を引き受ける代わりに、わたしのWebサイトを構築してもらう。

フリーデザイナーをめざす友人のプロフィールやキャッチコピーを考えてあげたら、わたしは名刺をデザインしてもらえる。

カメラマンとして独立したばかりの友人が「実績として公開させてもらえる被写体を探してるんだけど撮っていい?」と言ってくれて、すてきなプロフィール写真がもらえたお礼にブログ記事で告知するお手伝いをしたり。

その頃そんなふうに一緒にもがいていた仲間とは今でもつながりがあります。「いやー、お互いベテランになったよね」なんて笑いあったりする仲です。

ライターの大変なところ、きついところはどんなところですか?

ライターの大変なところ、きついところはどんなところですか?

わたしの場合は、スケジュール調整です。

ライターとして仕事が波に乗ってきた頃、わたしは3児のママになっていました。小学生、幼児、乳児です。

だいたいいつも誰かが体調をくずしています。病気のための通院以外にも、予防接種や健診や各種行事や習い事の送迎など、かなり時間が取られます。子どもが学校で大けがして救急車で運ばれたことも、病気で入院したこともありました。

いちばんきつかったのは、締め切りの相談をしたとき編集さんに「子どもを理由に使えて便利ですね」と笑われたことです。事情ではなく言い訳だと思われているんだ、フリーランスの信頼関係ってなんだろうとずいぶん悩みました。

他にも、いろいろあります。

取材の準備をしているとき、保育所から「子どもさんお熱です。すぐにお迎えお願いします」と電話がありました。編集部にその相談をすると「リスケは絶対無理です。このクライアントは大口で、怒らせるわけにはいきません。なにがなんでも取材に行ってください。すっぽかしたら二度と依頼しません。業界出禁にしますよ」と言われ、できるだけ早く仕事を終わらせてからお迎えに行きますと保育所に電話すると「子どもさんのことが心配じゃないんですか!?39℃ですよ!?もし急変して何かあったらどうするんですか!?親ですよね!?」とお叱りを受け、板挟みになったりしました。

結局、すっぽかしてないのに出禁になりましたし、保育所は退所しました。どっちを取るかで悩んだところでどっちも失うのだなと、大人なのに大泣きしましたね。

きつい時はどんな風に乗り越えましたか?

きつい時はどんな風に乗り越えましたか?

このようなきつい思いをしているのは自分ひとりだけではないと思ったので、フリーランスの仲間と協力しあえる仕組みを作りました

具体的にはチームで制作を受けるというスタイルです。

誰かが大変なときは誰かが助ける、個人では受けられない大きな仕事もみんなのマンパワーをいかして受注することができる、わからないことや知りたいことを気軽に相談できる仲間がいる。顔の見える関係性を大切にしたかったので、同じ地域のクリエイターさん達と手を取りあいました

プライベート面を含む助け合いですと、「子どもが熱出した!」「いいよ、かわりに取材に行く(原稿を書く)よ」だったり、代理ができない案件の場合は「子どもが熱出した!」「いいよ、○○ちゃんはうちで看病しとくから打ち合わせ行っておいでよー。どんな仕事?がんばってるねー」だったりします。

普段から家族ぐるみでよく知る相手ですので、子ども達も慣れていて、お互いに安心。こういう関係性はとてもすてきだなと思って一緒に築いていきました。そうやって助け合って仕事しながら育てた子ども達が、今では社会人になっていたりするので感慨深いですね。

仕事のやりがい、楽しいところはなんですか?

仕事のやりがい、楽しいところはなんですか?

仕事を取りに行くより、一緒に仕事を作るところにやりがいを感じています

わたし自身、奪いあったり、誰かを蹴落としたりということがとても苦手なので……。わたしがライターをめざしていたとき、目をかけてくださった方々から学んだ点も多いと思います。

得意な人が得意なことをやる。苦手なことはそれが得意な人に任せられるようになる。やりたい人にはチャンスを惜しみなく与える。誰かがやってみたいと言ったことに、仲間のみんなが知見とスキルを提供する。結果、どんどん大きくなっていくんです。やれることも、やりたいことも。お互いに。

それがとても楽しいと思います。ライターになると決めた17年前からそれがずっと楽しいので、こういう仕事のやり方もありなんだなと答え合わせをしながら花丸をもらっている気分です。そう思える仕事を続けることができて、わたしは幸せだなと思っています。

ライターとしての目標ややりたいことがあったら教えてください

ライターはフリーランスですが、いつまでも体力勝負というわけにはいきません。

わたし自身も患っている持病があり、寝る暇を惜しむような心身を削る働き方はできないなと思っています。働き方をゆるめるには、と考えたとき「複業」がキーワードになるかなと。副業ではなく、複業。パラレルキャリアの考え方です

わたしは、知り合いから「子どもの作文の宿題を手伝おうとするとけんかになっちゃう」と相談されたのをきっかけに、作文を教える仕事を始めました。教室というかたちにしてもう12年になります。

書けなくて困っている子ども達の話を聞いていると、原稿が進まなくて悩んでいるライターと一緒だなと感じます。どうやって準備をするのか、どうやって書いていくのか、心を砕きますよね。すべては「伝える」ために。

わたしは教員免許を持っていませんが、書く仕事をしている人間として子ども達をサポートすることならできると思いました。「自分は書けない」と落ち込んでいた子が「こういうふうに工夫したら書けるんだね」と笑顔になるとき、文章を仕事にしている人間が書き方を教える意味がわかったような気がしました。

ライターさん達が収入の柱をもうひとつ作りたい時、「作文講師」を選択肢に入れてもらえるように、体系化できたらいいなと思っています。作文教室の主宰として、いちライターとして、ライターが教える作文メソッドを広く伝えていきたい!というのが、わたしが今後やりたいことです。

この記事を書いたライター

執筆者

まちか

フリーライター・作文講師。専業主婦からママブロガーとなり、ライターに転身後、タウン情報誌編集部や新聞社に中途採用され働くなどパラレルキャリアなライティング人生。作文教室を主宰したりライティングセミナーに登壇したりと、「書く」こ...

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