趣味で始めたライティングが、いつのまにか仕事になっていた

趣味で始めたライティングが、いつのまにか仕事になっていた

―― まずは、立石さんのプロフィールを教えてください。

立石:ずっと趣味で小説サイトをやっていたのですが、立ち上げから3年後くらいに、とある会社さんから、恋愛系アプリのシナリオ執筆オファーをいただいたのがきっかけです。その後、本業は転々としつつ某ゲーム制作会社に入社しました。昔から経理関連の仕事をしていたので最初は受発注関連の業務をしていたのですが、やがて企画職につくようになったころ、これまた突然プロデューサーからのオファーでシナリオゲームのメインライターをすることになったんですね。そのあたりから本格的な流れになっていったのだろうと記憶していますが、体感としては、いつのまにかライターとして活動していました。現在、本業ではシナリオと音声収録のディレクションをしながら、副業でときどきタロット占いをしてみたり、ときどきライティングしてみたりと、まとまりのない日々を送っています。

―― なにかすごく気になるワードが流れていった気がしますが……。

立石:気にしないでください。

―― わかりました(笑)。では、現在のライターとしての仕事内容や働き方を教えてください。

立石:本業では現在、ディレクションメインなのですが、音声収録の現場で、尺の問題だったり、声優さんのお芝居で言いにくい箇所や感情が入りにくいセリフなどの変更をしなくてはならないことがあるのですね。そうした場合に、即興でセリフを考えたりしています。もともとあったセリフの意図を汲みつつ、キャラをもっと魅力的にするセリフで、かつ尺やお芝居のしやすさという課題をクリアできるセリフに修正します。同時にBGM制作において、音楽家のみなさんにどんな世界観を伝えたいのか、ということを言語化してお伝えするようなこともしていました。ほかには作品の世界観設定や、大枠のプロット作成、オリジナルキャラ作成などです。あとは、たまに他部署からの依頼で、対談や講演などのテープ起こしをしています。副業では、SEO対策記事、CM脚本、某団体さんの舞台脚本や、占い鑑定書を書いたりしています。

―― また出ましたね、気になるワードが……占い鑑定書ですか?

立石:話すとすごく聞くのが面倒くさくなると思いますし、しかも長くなります。

―― うーん、時間もないのでまたの機会にしますね。最初は経理関連だったと先ほどおっしゃっていましたが、ライターをめざしたきっかけはなんですか?

立石:もともと小説がとても好きで、こんな文章が書けたら、とは思っていました。でも、めざしてはいなかったんですよね。もちろん、やれたらいいだろうな、とは思っていましたが、自分のライティング技術なんて底辺も底辺だと思っていたので。だから趣味で小説を書いていた程度だったんです。ですがありがたいことにオファーがきて、「え、もしかしてこれで食べていけたりするの?」と思いました。あとから考えてみれば、昔から妄想をノートに書いて遊んでいたんですね。書いているときは夢中になって何時間でもやっていました。自分が真剣に楽しみながら取り組めるものは、こういうものなのかもしれないなと、漠然とした思いが出てきたという感じです。

―― なるほど。ではライターになるために、まず始めたことはなんですか?

立石:好きな作家さんたちの小説をすべて読んでから、とくに気に入った作品をピックアップしてまる写しをしました。それから大好きなドラマを小説化したらどうなるか、という実験もしました。目で見える風景を言語化する、登場人物の心理描写を書いていく、などです。そこから年間50本くらい、お題に沿った10分シナリオを脚本スタイルで書きました。とにかく、書くだけです。あとは積極的に、いろんな人からフィードバックをもらうようにしました。最初はムカつくんですけど(笑)、受け入れて直すと絶対に良くなるので。

本だな

―― あ、やっぱりそこはムカつくんですか(笑)。

立石:もちろんムカつきます。いいと思って書いてますから(笑)。でも読者側の違和感というのはとても勉強になるんです。こだわりもときにはいいですが、客観性はとにかく大事です。どんなにムカついても評価するのは読者なので。作品の完成は読者の評価があって初めて成り立つものだと思っているところがあります。

―― なるほど。ところで本業もライターということなのですが、副業ライターもされていますよね? 現在のお仕事スタイルにつながった経緯を教えてもらえますか。

立石:本業で書くというタスクがなくなってしまったというのが一番大きいです。書いていないと書けなくなりますし、偉そうにディレクションしているだけではライターとは言えないんじゃないかと。あっ、あくまで自分ごとで言っている個人的な意見ですので、ディレクションメインのライターさんのことが偉そうということではないですし、バカにしているわけではございません!

―― 大丈夫です、わかっています(笑)。

ネガティブなフィードバックは結果的にポジティブになる

―― では、ライターの大変なところ、きついところはどんなところですか?

立石:ときには、まったく興味ないことを書かなくちゃいけないことですね。あとは自由度が低いです。自分ではこの流れでいいと思っているのに、「このキャラはこんなこと言いません」とか言われてしまう。「え、私が作ったキャラなのに!?」とか、普通にあります。これは作家さんでもそうだと思います。彼らには編集さんがいますから。フィードバックなしで自分の書きたいことだけ書ける方は、本当に大御所レベルだと思います。それこそ宮崎駿さんとか、倉本聰さんとか、それくらいの(笑)。とはいえ、あくまで想像なので、お二方もフィードバックが入ったりしているかもしれません。ですから、完全に自分の世界で書けるのは趣味でやってる小説と、あとは占い鑑定書くらいです。先に言います、スルーしてください。

―― はい(笑)。しかしそういった、きつい時はどんな風に乗り越えたんでしょうか。

立石:もうそれは仕事なので、やるしかないんですよね。厳しい言い方にはなるかもしれませんが、やってこそプロだと思います。でも、まったく興味のないことでも書いているうちに楽しくなるんです。新しい知識が増えることだったり、その経験が必ずあとで役に立つと思えば好きになってくるんです。自由度の低さのほうは、先ほども言いましたが直してみると良くなることのほうが多いので、勉強になると思って取り組みます。というか、フィードバック意見も反映させて、さらに自分のこだわりもちゃんと含めつつ推敲することが技術向上にもつながるので、ネガティブな意見は結果ポジティブになります。そしたらいつのまにか、きつさは無くなっていくものだと思います。

―― では、そんな仕事のやりがい、楽しいところはなんですか?

立石:全部が終わったあとのお酒が美味しいところですかね(笑)。

―― そこですか(笑)。

立石:すみません(笑)。もっと真面目に答えるなら、自分の頭の中だけで考えていたことが、人の感情を動かしたりする生き物みたいに変わっていく部分じゃないかなと思います。もちろん褒められたら嬉しい、という単純な部分は無くはないですが、個人的にはあまり結果は気にしないので。

―― なるほど。では最後の質問となりますが、ライターとしての目標や、やりたいことがあったら教えてください。

立石:古畑任三郎の脚本がほしいです。

古畑任三郎の本

―― はい?

立石:……ダメですか。まる写しがしたいんです。

―― いえ、ダメじゃないですけど……。

立石:あの脚本すごすぎて、絶対に勉強になると思うんです。なので、手に入れたいんですけど、ヤフオクとか見てもすでに落札済みのものばかりで、どこにもないんです。

―― はあ、そうでしょうね。

立石:もっと真面目に答えたほうがいいですか。いや私は大真面目なんですが。

―― そうですね。それ以外にもあれば、ぜひお聞かせいただきたいのですが。

立石:とにかくエンタメが好きなので、エンタメ関連のお仕事でお役に立てることがあればなんでもやってみたいです。

―― 今後もどんどん幅を広げていきたいということですね! では、読者の方で古畑任三郎の脚本をお持ちの方は、立石さんまでご一報を(笑)。

立石:はい、ぜひお願いします!

この記事を書いたライター

執筆者

立石

本業ではゲーム制作のシナリオ・音声収録のディレクションをしつつ、副業ではSEO対策記事、CM脚本、占い鑑定書の執筆など幅広く活動中。ひと仕事を終えた後のお酒は格別。エンタメ関係のお仕事にも挑戦していきたい!

詳細を見る

同じシリーズの記事を読む

タグ