プロフィールについて教えてください
看護師として20年間、現場で働きました。看護業務だけではなく病院全体での講習の実施、マニュアルや議事録の作成など幅広く経験しています。そして、2023年3月に病院を退職し個人事業主として開業、ライターとしての活動を始めました。
なぜ私が看護師からライターになったのか、不思議に思うかもしれません。私自身も退職直前まで、ライターになるとは考えていませんでした。今回は、私がライターになったきっかけや経緯についてお話ししたいと思います。
ライターをめざしたきっかけはなんですか?
私がライターになったきっかけは、コロナが流行したことです。私自身、ギランバレー症候群という持病があり、神経症状が後遺症として残ってしまいました。そして、風邪などでも全身から四肢のダルさや痛みが強く出てしまうのです。
そこで、コロナワクチンの接種は大きな負担となりました。当時の私は感染対策委員会の責任者と外来の主任として、最前線でコロナの対応にあたっていたのです。ワクチン接種は、決して強制ではありませんでしたが、私は自分の使命感と責任感から、接種を決めました。
接種しないことは周りのスタッフや他の患者さん、家族に感染を広げるかもしれないのです。そのうえ自分が感染して出勤できなくなると、現場の誰かに迷惑をかける…それだけは嫌でした。
しかし、ワクチンを接種するたびに、私は数日高熱と痛みで苦しみました。そして、現場から離れることを決意したのです。
ーそうだったんですね。他にライターになった理由はありますか?
コロナの流行以外にも、私がライターになった理由はあります。私は元々嫌と言えない性格で、周りのことを何より優先してしまいます。そのため、いつも自分の仕事を残してしまい遅くまで仕事をしていました。
また、迷惑をかけられるのは気にならないのですが自分のことで迷惑をかけるのは、自分自身にとって強くストレスでした。
会社や集団で仕事をするのではなく、個人で責任もってできる仕事、自分のペースでできる仕事を考えた時にライターという仕事に魅力を感じたのです。また、時間のなかで仕事量が多くても少なくても報酬が変わらない業務ではなく、一つの仕事の作業としてがんばった分だけ報酬が増える、または短い時間で済む業務に私は憧れました。
ライターになるために、まず始めたことはなんですか?
大切なのは、行動をすることです。私は看護師の仕事をしながら、WordPressで自分のホームページを作成し、毎日ブログを投稿していました。同じようにYouTubeも収益化という目標をたてて、どれだけ疲れていても毎日数時間かけて投稿をくりかえしました。
自己流だったため、わからないことも多かったです。それでも継続し、どちらもアドセンスの取得を達成しました。しかしコロナの流行によって、病院での仕事が多忙になり投稿ができなくなっていったのです。
退職時の有給消化時に少しでも次の準備として、自分のホームページを作り直しました。よりよい記事を作成するために、X(当時はTwitter)で『初心者、ライター、募集』で仕事をこまめに検索し見つけて応募しました。
ーXでライターの仕事があったんですか?
そうです。Xにライターの仕事があります。ライターの仕事を受注する方法は、クラウドソーシングに登録する方法や直接企業に応募する方法などもありますが、私はSNSを利用する方法を選択しました。私は気になった募集ツイートから4件応募し、最終的に4件とも採用してもらえたのが初めてのライターとしての仕事です。
ECサイト、ドローンスクール、バイナリーオプション、サブスク家電についての記事作成とYouTube台本についての記事でした。実はこのときに自分のブログを実績として応募時に使えたのが大きかったのです。このときの単価はだいたい1文字あたり0.7円~1.2円でYouTube台本が2円になります。
看護師の経験がライター業で活きていることはありますか?
看護師の経験は、ライターになるための強みになります。健康や医療に関する記事を書くときには、知識や経験が役立ちますが、それだけではありません。看護師がライターとして活躍するためには、以下のような要素がプラスになります。
文章力
看護師は、業務の中でさまざまな文章を作成します。看護記録や同意書・計画書などの書類、委員会や看護研究などです。これらの文章は、正確でわかりやすく、必要な情報を伝えることが求められます。これは、ライターにとっても重要なスキルです。
伝える力
看護師は、チームや次のスタッフへの申し送り、医師や他の医療従事者とのコミュニケーション、患者さんや家族の方への病状や検査の説明など、伝える力がものすごく大切な仕事です。それができないと、医療事故や不信感などのトラブルにつながります。
ライターも、読者に対して、自分の考えやメッセージを伝える力が必要です。
タスク管理能力
看護師は、業務の中で常に複数のタスクに対応しなければなりません。通常の業務に並行して患者さんの突発的な対応や医師からの指示受け、他部署への連絡などです。そのため、自然とタスクを管理できる能力が身につきます。
ライターも、複数の依頼や納期に対応できるように、タスク管理能力が必要です。
ライターをしていて気を付けていることはありますか?
ライティングの仕事を個人で受注する場合は、仕事であるということを忘れないでください。大切なのは相手にとって報酬を支払う価値を提供することです。「初心者ですが精一杯がんばります」「自信はありませんが、挑戦させてください」これは、自分に都合のいいことであってクライアントにとって何もメリットがありません。
そして基本的なビジネスマナーを大切にしましょう。「挨拶をする」「納期を厳守する」「レスポンスをできる限りマメに行う」「報告、確認をする」こういった、当たり前のことこそ大切なことです。
ー仕事を受注するときに気をつけることはありますか?
できるかぎり低単価の仕事は避けましょう。文字単価や記事単価が低すぎる業務は、メリットがありません。そのため、募集文には気を付けてください。良い条件のように見せて、条件に何かを付けていたり、テストライティングをものすごく低く設定している、業務と別に勧誘や登録を求めてくるなどがあります。
プロフィールや評価などを必ず確認して、信頼できるクライアントかどうかを確認しましょう。未払いや遅延払いなどのトラブルについても、ある程度起こりうることを念頭に入れておくことも大切です。
ライターをしていて大変なことはありますか?
私は、文章を書くことが好きで、ライターになりました。ライターとしての仕事は、自分の時間や自由度が増えたと感じています。自分のやりたいことをやれるということは、幸せなことですが、当然大変なこともあります。
まず、仕事を自分で受注しないといけないということです。会社員ではないため、仕事を与えられません。仕事を受注するために、時間や労力がかかります。
次に、フォローバックを受けるということです。クライアントから文章の修正や追加を求められることがあります。そのときは、申し訳ない気持ちと落ち込む気持ちがありますが、それ以上にまだまだライターとして伸びるということだと思っています。
相手は自分で直す方が早くても、時間をとって指摘してくれています。そのため、感謝する気持ちを忘れないでください。フォローバックをしてくれることは、今の自分より、また一歩良い記事を書けるチャンスなのです。
ライターとしての仕事は、今まで知らなかったことを沢山得られます。記事を書くための過程で、新しい知識や発見があります。新しい知識は、自分にとって新しい可能性が広がっていくと感じています。
ライターとしての目標ややりたいことがあったら教えてください。
もともと私は人に喜んでもらいたくて、笑顔が見たくて看護師になりました。そしてライターとしての目標は、読者に何か笑顔にできるものをプレゼントすることです。
人は何かを知りたい、行きたい、やりたい、買いたいと思ったときに、検索をします。記事に興味をもって読んでくれた方にとって、その時間が無駄にならないように、役立つモノを提供できることが私の願いです。
私自身、検索によって何度も助けられました。今度は私の提供する経験や情報などが、困っている誰かの笑顔になるなら最高ですよね。知るということは選択肢が増え、大切なものを守る武器になります。
大きな目標は、常に新しい情報を積極的に学び、ライターというよりクリエイターとして動画やイラスト、小説なども含めて自分の表現を続けていくことです。そして、看護師さんを含め医療従事者にとって、支えになれる場所や情報を創り出せるようになることが夢になります。
この記事を書いたライター
ほた。る
看護師として約20年勤務。4児の父。多様な科や部署で経験があり、救急対応BLSの資格取得や医療安全管理者、感染対策、中間管理職などの重要な役割やマニュアル作成、講習なども担いました。「周りの方が笑顔になれるよう、思いやりの心を大切に...