子どもの変化をきっかけに、子育てと両立できる仕事を模索
ープロフィールについて教えてください
大学卒業後、大手珈琲店で働き、結婚退職。夫の転勤に帯同し、10年ほど転居を繰り返していました。次女出産後、介護現場で約6年勤務。働きながら介護福祉士の資格を取得しました。
その後、三女出産・育休中にコロナ禍と重なり、働き方を見直して、2022年2月からWebライターに転身。現在取材を中心としたライター活動をしています。
ーライターを目指したのは何がきっかけでしたか?
子どもの変化が大きなきっかけです。3人姉妹の長女の不登校と三女の入院という2つの出来事を経験し、「子どもたちの傍で働ける仕事」を考えるようになりました。
わが家は長女と三女が干支一回り年齢差があるので、子育ての期間が長いです。ライフスタイルの変化で働き方を見直す方も多いと思いますが、自分自身の人生を考えると「子育てと介護」が土台にあって、仕事をしているイメージです。
在宅でPC1台で始められるのと、自分でペースを組み立てられる自由度の高さがある。その時に探していた在宅ワークの中でも最善の方法が「Webライター」でした。
ーまず初めにライターとして始めたことは何でしたか?
クラウドソーシングに登録し、最初は契約を結ばず仕事を完了させればよい100~300文字ほどの短いタスク案件に挑戦しました。そして、徐々に公募案件に応募して、採用される仕事へと進んでいきました。
育児メディアで継続的に自分でテーマを選んで1,000文字ほどの記事を執筆できるように。亀の歩みだな……でも自分にとっては大きな変化です。
しかし、1か月ほど経つと不安が頭をもたげます。「このまま自己流でやっていて大丈夫なのかな」そんな思いから、ライターコミュニティへの入会を決めました。
コミュニティでは、全国各地のライターの方々と交流する機会に恵まれました。皆さんの経験談や助言は、私にとって貴重な情報源となり、子育てと両立できるライターの働き方を模索するうえで大きな支えとなりました。
先輩方からのアドバイスを受け、自身のポートフォリオを見直し、応募案件の幅を広げていきました。着実なステップアップを経て、ついにクラウドソーシングでSEO案件を受注するまでに成長したのです。
託児付きコワーキングスペースの利用をきっかけに取材ライターへ
ークラウドソーシング案件から取材ライターを目指す転機になった出来事はあったんですか?
三女が2歳半を迎えた頃、半年ほど託児付きコワーキングスペースを利用し始めました。そこで目にした取材ライター募集が、キャリアの転換点となりました。「そろそろ外出して取材する仕事にチャレンジできるかもしれない」。その思いと、募集との出会いは絶妙なタイミングでした。
ーすぐに軌道にのりましたか?
2件目までは順調でしたが、その後は思うように仕事が続きませんでした。この経験から、直接案件を獲得する難しさや、Web以外の媒体についての知識不足を痛感。
そこで、「ライター養成講座」で1年かけて雑誌や書籍の編集ライティングの基礎をオンラインで月に2回のペースで学びました。その後、より実践に近い形で3か月間「取材ライターのための個別サポート」を受けました。
この過程で、紙媒体制作の複雑さや、多くの人々の協力があって1冊の本が完成することを知りました。今まで「木を見て、森を見ず」だったなと思います。単に文章を書くだけでなく、出版の全工程を理解することの重要性を学べました。
理論だけでなく、実践的なスキルも磨きました。起業家へのインタビューでブックレットを作成したり、知人を相手に取材の練習をしたりと、着実に経験を積み重ねました。これらの経験を元に、自主制作記事を作成して営業を始めました。
ー現在の執筆スタイルは?
現在は、SEO記事の執筆から、取材を含む記事作成、起業家・経営者向けのランディングページ(LP)・ブログ代行まで、幅広い分野で活動しています。
SEO記事では、インターネットから膨大な情報を整理し、読者にわかりやすく伝えることに注力します。一方、取材記事では、インタビュイーから直接得た生の情報を元に、独自の視点で記事を構成します。
どちらの記事も好奇心を刺激されますが、現場で直接情報を得られる取材記事には特別な魅力を感じています。
変化の激しい時代に、どうありたいのか。これからも問いは続く
ー今の生活スタイルを選んで、ご自身や家族にどんな変化がありましたか?
以前は、働きながら家事や子どものことを一人で抱え込んでしんどくなっていました。
「なんでも自分がやらなきゃ」と思い上がっていたのかもしれません。
子育てをしながら、子どもに教わることの方が多いです。この仕事を始めるきっかけになったのも、視野を広げてくれた子どもたちのおかげだと思います。
今は、在宅勤務を基本としつつ、必要に応じて外出やオンラインでの連携を行う柔軟な働き方を選んでいます。子どもたちの体調不良や行事の際も柔軟に対応できるようになり、心にゆとりができたのはありがたいことです。
家事を子どもたちや夫と分担して、足りないところは補い合えばいいのだと、肩の力を抜いています。抜けすぎているかもしれませんが...… 家族とはオープンなコミュニケーションを大切にして、夫の協力も得られるようになりました。
ーライターとしてどうありたいですか?
私生活で経験したことから派生して客観的な視点をプラスして記事ができると考えれば、ライターの仕事も家庭も別々のようでいて地続きだと思っています。
今まで、仕事の「やり方」に偏っていたと思い、自分がブレないように「あり方」を整えようと思って「クレド」を作成しました。クレドとは、元々は企業の活動方針(ありたい姿)を簡潔に表した言葉で、個人としても持っておくとよい心持ちです。
- ライターとして、クライアントと良好なパートナーシップを築いていけるようになる
- 誰かの行動が前向きに変化するような、Webとリアルをつなぐ作品を作っていきたい
- 普遍的価値のある、後世にも残したい技術や人物を伝えられるような人でありたい
そのような思いに沿った仕事をお引き受けするようにしています。
ー今後の目指す方向性はありますか?
子育てと介護は実生活と仕事をつなぐテーマとして、当事者目線と客観的視点の両方で捉え続けたいです。40代、50代と経験を積み、広い視点で物事を見られるようになりたいですね。
ライターからさらにステップアップし、編集やディレクターの仕事にも挑戦してみたい……
今いる現状からはまだ先にある目標ですが、前向きな気持ちで仕事に向き合っています。
若い感性にも刺激を受けつつ、クリエイションを楽しみたいと考えています。
この記事を書いたライター
澤 優歌
三姉妹の母で元介護福祉士の専業ライター。リアルとWeb両方の活動で状況にマッチした作品を作るべく奮闘中です。介護、地域系を中心に取材・SEO記事を執筆しています。趣味はドライブと映画鑑賞、時々野球チームの応援でパワー充電!